全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの第3回合同テスト2日目午後のセッション(13〜15時)が富士スピードウェイで実施され、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が1分23秒431というトップタイムをマークし、最終セッションを締めくくった。松田次生が2番手に続き、TEAM IMPULがセッションワンツーを占めている。
2日間4セッション、全8時間がドライコンディションとなった富士合同テスト。この最終セッションにはアンドレア・カルダレッリが登場し、PETRONAS TOM'Sの1号車のステアリングを握っている。また、Project μ/cerumo・INGINGの39号車には当初予定とは変わって、シーズンレギュラーだった国本雄資が搭乗。それ以外は午前の面々が継続して各車のコクピットに収まり、今季最後の合同テストセッションを走った(出走全18台。DOCOMO DANDELIONは40号車が伊沢拓也、41号車がジャン-カール・ベルネイ)。
好調ぶりが目立ったのは松田だ。「最後、セクター2まではJPよりいいタイムを出せていたんですが、セクター3でシフトミスしてしまいました。欲を言えば、午前、午後と連続トップで終わりたかったんですけどね」と、残念な思いもありつつ、予選さながらの激烈なタイム合戦となったセッションをチームメイトとのワンツーで終え、その表情には充実感が満ちていた。
「予選じゃなくてテストなので、ミスも来季への課題にできますし、クルマの状況もいい。チームメイトと刺激し合いながらタイムを出せたのも良かったですね。いいデータも取れました。チームタイトル奪還と、スーパーフォーミュラ初年度王者に向けて頑張ります」と、チーム残留は既定路線であるような意気込みを見せており、自身5年ぶりのタイトルへ早くも照準ロックオンした雰囲気であった。
松田は今回、2013年テストタイヤを新品状態で試すことはできなかったが、ユーズドでのロングランを経験しており、「同じマイレージの従来タイヤと比べてコンマ4秒くらいラップタイムがいい。このタイヤを使いたいですね」と好フィーリングを語った。
その新タイヤについて、ブリヂストンの細谷良弘氏は「まだスペックは確定ではなく、今後、詰めていきます。トヨタさん、ホンダさんの開発によってエンジン性能がどんどん上がっていますし、2014年の新マシン導入も意識しつつ、より操縦安定性に優れた、そしてタレの来ないタイヤにしたいと考えています」との旨を語っている。
この日のランチブレイクには、BSの細谷氏と寺西康雄氏、そしてトヨタの永井洋治氏にホンダの坂井典次氏といったタイヤ/エンジンの開発責任者たちがJRP白井裕社長とともにメディア懇談会に臨んでいる。
席上、システムEの開発進捗状況について坂井氏から「バッテリーセルを従来のものより“大電流”の出し入れが素早くできるものに変更しています。今回は主に3〜5速全開でパワーアシストする仕様でのバランス取りを試していますが、6速でもフルアシストさせて走ってみたところ、最高速が14km/h伸びました(308→322km/h)」との報告があり、「オーバーテイクシステム的な使い方」への一定のメドが立ちつつある状況を窺わせた。
また今回はシステムE開発車の「燃料タンクを縮小して、その前方部分にバッテリールームを設けました」とのことで、システム総重量自体はほとんど変化していないものの、重量配分の面ではより良い状況でのテスト臨戦であったようだ。今回2日間の開発車のベストタイムは1分25秒849で、総合トップの2.5秒落ちという水準だった。
現在、システムEはホンダ側が基礎開発を進めており、2014年導入の2リッター直噴直4ターボについては、現行の3.4リッターV8を片バンクのみ使って走る“1.7リッター仮想エンジン”での基礎開発をトヨタが進めている。当面は両社分担でそれぞれの基礎開発を進めていくことも、坂井氏、永井氏、白井社長から報告されている。
Fニッポンとしての最終走行日程を終えた各チーム/メーカーは、スーパーフォーミュラ初年度にして、FN09ラストイヤーとなる来季2013年を前に、冬の“静かなる開発競争"へと突入。そしてドライバーたちは、熱いストーブリーグを戦いながら、4月14日決勝の開幕鈴鹿ラウンドのグリッドを目指すことになる。