GP2第11戦アブダビの決勝レース1は、今季のGP2で唯一となるナイトレース。F1の予選が終わり、完全に陽が沈んだあとの午後6時40分にスタートを迎えた。この週末でも夜間のセッションは決勝レース1だけであり、昼間とはまったく異なるコンディションにセットアップを合わせる技量が問われる。

 スタートでトップに立ったのはポールポジションのピエール・ガスリーで、王者ストフェル・バンドーンが2番手をキープして続いた。3番手ミッチ・エバンス、4番手アレックス・リンまでグリッドどおりの順位となるが、5番グリッドのラファエル・マルチェッロだけは発進加速が鈍く、後退。9番グリッドの松下信治は好加速でマルチェッロの前に立ったものの「タイヤのグリップレベルが低くて、ブレーキングも慎重にいかざるをえなかった」ためにターン1で両側から抜かれ、その後も次々と抜かれて4周目には14番手まで後退してしまう。いつもと違うコンディションがマシンのフィーリングに影響を及ぼした可能性も十分にある。

「タイヤの内圧なのか何なのかわかりませんが、最初の数周はとにかくグリップがなくてペースが上げられなかったんです。ふだんはタイヤのタレはリヤから来るのに今日はフロントのグリップがどんどん落ちていきました」

 首位と4番手を行くDAMS勢も、あっというまにスーパーソフトタイヤのデグラデーションが進む。2番手のバンドーンは、4周目にターン7で鮮やかにガスリーのインを突いて抜き、トップへ。その後は大きくペースを落とすDAMS勢によって大渋滞が起き、その間に首位バンドーンは後続に5秒以上の差をつけてしまった。

 スーパーソフトのデグラデーションは大きく、スタートタイヤに選んだ上位勢は6周目にそろってピットへ入り、ミディアムへと交換。これによってバンドーンらは、いったん14番手以下へと下がることになった。

 代わって首位に立ったのは、ミディアムタイヤでスタートしたうちで最上位のマルチェッロ。その後ろに同じ戦略のアルテム・マルケロフ、ジョーダン・キング、アンドレ・ネグラオ、アーサー・ピック、アレクサンダー・ロッシと続き、松下は6番手。しかし7周目にニコラス・ラティフィがターン20でノーマン・ナトのインを突いて絡み、2台がストップしたことでバーチャルセーフティカーが導入される。このタイミングによって松下とピックの間には14秒もの差が開いてしまい、大きなタイムロスを強いられた。

 9周目にバーチャルセーフティカー解除となると、松下は前走車よりも0.5〜1秒速いペースで追走して19周目にはピックの背後につく。しかしオーバーテイクはなかなかできず、遅いペースにつきあわされて走ることになってしまう。22周目にはDRSを使ってターン8でオーバーテイクを果たしたものの、直後のもうひとつのDRSゾーンで抜き返されてしまった。

「それまではずっと首位のマルチェロと同じペースで走れていたのに、ピックに引っかかってからは、あっというまに離されてしまいました。あれが痛かったですね。でも僕のタイヤもかなりタレてきていたので、どうしても抜ききるところまでいけませんでした」

 松下は23周目にピットに入り、スーパーソフトタイヤへ交換。そこからファステストを記録しながらプッシュするが、スーパーソフトスタート組の最後尾アレックス・リンから11秒も後方の10番手に。しかも「スーパーソフトタイヤは2〜3周でタレてしまい、最後は右フロントがまったくグリップしない状態になってしまいました」と言う松下は、29周目にナタナエル・ベルトンになす術なく抜かれてしまった。結果は11位とポイント獲得すらできず「レースペースには自信があったのに、これは予想外でした。本当にくやしい。明日のレースに向けてセットアップを見直さないといけません」と雪辱を期した。

 首位のマルチェッロは25周目にピットイン、2番手でコースに戻って、タイヤが冷えているアウトラップもポジションを守り切った。その他ミディアムスタート勢も25周目にピットインを済ませると、再びバンドーンが首位に。そのまま危なげなく走り切ったバンドーンが悠々と今季7勝目を挙げて、王者の風格を見せつけた。2位はマルチェッロ、3位エバンス、4位ロッシ、ピットスピード違反で5秒加算を科されたガスリーは5位をキープするのが精一杯だった。

 今シーズン最終戦となる決勝レース2は、日曜の午後2時20分(日本時間19時20分)スタート。レース1では慣れないコンディションに苦しんだドライバーたちも、レース2ではいつもどおりの熱いバトルを見せてくれるはず。2015年を締めくくる好レースを期待したい。

本日のレースクイーン

うらら
2025年 / スーパーGT
ENEOS GIRLS
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年6月号 No.1608

    [特集]レッドブル 角田裕毅
    5つの進化論

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円