今週末、ツインリンクもてぎで開催されるスーパーGT最終戦。カルソニックIMPUL GT-Rを駆るジョアオ-パオロ・デ・オリベイラにとっては、悲願のGT500初チャンピオンに向けて重要な1戦を迎えることになる。
オリベイラは、2006年にハセミ・モータースポーツからGT500デビューを果たすと、翌年にはKONDO RACINGへ移籍しセパン戦でチームに初の優勝をもたらした。その後も毎年勝ち星を挙げ、2010年にはTEAM IMPULから参戦していたフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)でシリーズチャンピオンを獲得。その活躍を買われ、2011年からはスーパーGTでもTEAM IMPULのステアリングを握っている。
フォーミュラ・ニッポンでのチャンピオンを獲得後、彼は次の目標として「スーパーGTでもチャンピオンを獲りたい」と掲げ続け、GT500チャンピオン獲得にこだわってきた。
「僕の目標として、参戦するカテゴリーでは常にトップに立ちたいと思っているし、それに近い場所には最低限いたいと思っている。スーパーフォーミュラでも最終戦までチャンピオン争いができたし、スーパーGTでも同じ。最終戦まで各カテゴリーで頂点を争っていたし、その環境下で自分が戦えるというのは楽しい。自分のモチベーションにもなるよ。もちろんプレッシャーを感じることもあるけど、チャンピオンの可能性がないまま最終戦を迎えるよりかは全然いいよ。昨年、一昨年は残念な結果に終わってしまったけど、今年はチャンピオンへの可能性も高くなっている。ベストを尽くすよ」
ただし昨年までのGT500を振り返ると、シーズン中に必ず1勝は挙げるものの、最終戦ではタイトル争いに絡めない状況が続く。チャンピオンの可能性が一番大きかった昨年も、オープニングラップでPETRONAS TOM’S RC Fと接触し後退。千載一遇のチャンスを逃してしまった。こういった失敗を踏まえ、今季は「確実にレースをする」ことを徹底。それが今季未勝利ながらポイントランキング首位を維持していることにつながっている。
「今年はとにかくクリーンなレースに徹して、まずは確実にチェッカーを受けポイントを稼いでくる。これを徹底している。クラッシュを避けて確実な走りをする。これが今年は実行できていると思うんだ。SUGOでは失敗が多かったけど、それ以外のレースではうまくいっている。これが最終的にチャンピオンを獲得する上では重要なことなんだ。どうやってマシンをゴールまで運ぶか、どうやってコンスタントにポイントを稼いで最終戦までつなげていくか、それを常に頭の中に置いてレースをしてきた。それが今年のランキングトップにつながっているのは間違いないね」
そうして1ポイントずつ積み重ねて迎える最終戦。彼にとっては、ポイントリーダーとして迎える初めての最終戦となる。しかし、タイトル争いは接近しており、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-Rがわずか2ポイント差で2位につけているほか、12号車を含めた6台がチャンピオンの可能性を残している。
最終戦については「もてぎは全車がノーウェイトになるから、僅差になることは確実。特にテストのデータを見ても僕たち以外にレクサス勢も速そうだから、簡単にはいかないレースになるかもしれない。でも、最終コーナーまで絶対に諦めないし全力で攻め続ける」と慎重ともいえるコメントで意気込む。しかしそれは、悲願のチャンピオン獲得に向けて高ぶる気持ちをコントロールし、最終戦も同じように「着実で力強い走り」に徹しようと、自分に言い聞かせているようにも見えた。
参戦10年目、数々の“トライ&エラー”でひと回りもふた回りも大きくなったオリベイラ。悲願のスーパーGTチャンピオン獲得をかけた大一番が、いよいよ始まる。