NASCAR SPRINT CUP SERIES
第32戦 Good Sam Club 500
開催日:10月23日
超高速バトルで5台の“トヨタ カムリ”がトップ10入り
10月23日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第32戦「Good Sam Club 500」が開催された。
今季2度目の開催となる、NASCARで最も1周が長い超高速オーバルであるタラデガは、新規定車両になってから2台のみが連なって空気抵抗を低減する「タンデム・ドラフト」でのバトルが続いており、ドラフティングパートナーの選択もレースを左右。2台ずつのペアで、320km/hの超高速スピードで3ワイド、4ワイドでの大迫力のバトルを展開する。
22日(土)午前11時15分から予選が行われた。トヨタ勢は、全車トップ20に入れず、ケヴィン・コンウェイが20番手、ボビー・ラボンテが21番手、スポット参戦のマイケル・ウォルトリップが23番手につけ、13台の“トヨタ カムリ”が決勝へ進出。“チェイス”を戦うデニー・ハムリンは31番手、カイル・ブッシュは34番手と後方スタートとなったが、コース幅が広く、ドラフティングで激しく順位の入れ替わるタラデガでは上位進出のチャンスも多く、レース中の追い上げに期待がかかった。
23日(日)午後1時22分、2.66マイルオーバルを188周(500.08マイル:約800km)して競われるレースがスタート。
序盤から、それぞれ26番手、30番手からスタートを切ったケイシー・カーンとブライアン・ヴィッカーズのチームメイト同士によるペアが好調に順位を上げ、8周目には首位争いに加わった。Ky.ブッシュもチームメイトのジョーイ・ロガーノとペアを組み、20周過ぎにはトップ10圏内に浮上した。一方で、ペアの相手を失ったハムリンは失速。中団グループのパックからも脱落したハムリンは、周回遅れとなってしまった。
25周目にコース上の異物により初のイエローコーション。これでハムリンは“ラッキー・ドッグ”を獲得しトップと同一周回に復帰。全車ピットへ向かうと、カーンとヴィッカーズはタイヤ2本交換作戦を採り、トップに浮上、再スタートとなった。
しかし、カーンとヴィッカーズは、アウト側でのバトルの中で行き場を失い、一気に後退。かわって、Ky.ブッシュとロガーノのコンビが順位を上げ、33周目にこの日初めてKy.ブッシュが首位に立った。
65周目、イエローコーションが出ないまま、再び上位争いに復帰していたカーンとヴィッカーズが先陣を切ってグリーン下でピットイン。しかし、その直後、目の前で急に車線を変えてピットに向かおうとした車両とロガーノが接触。ロガーノは車両の左前部を大きく破損し、2度目のイエローコーションとなった。
先にピットへ入っていたカーンとヴィッカーズはポジションダウン。また、Ky.ブッシュもピットレーンでのスピード違反ペナルティを科され、トップと同一周回の最後尾近く、35位まで後退を余儀なくされてしまった。
再スタート後はもう一回のイエローコーションを経て、ハムリンとペアを組んだKy.ブッシュが、2台で猛烈な追い上げを開始。レースが折り返しを過ぎた90周目には、Ky.ブッシュが再び首位へと返り咲いた。
しかし、104周目、ハイスピードバトルの中で、Ky.ブッシュのアウトサイドにいたA.J.アルメンディンガーがスピンを喫し、Ky.ブッシュと接触。ここに後続勢が突っ込み、多重クラッシュ。すぐ後ろにいたハムリンはかろうじて避けたが、Ky.ブッシュは車両に大きなダメージを受け、ガレージでの長い修復を余儀なくされてしまった。
Ky.ブッシュは、ピットの懸命な修復により、11周遅れでコースに復帰。また、先のクラッシュで3周遅れとなっていたロガーノは、他に周回遅れの車両が居なかったことも幸いし、それまでに出された3回のイエローコーション連続で“ラッキー・ドッグ”を獲得し、120周目過ぎには首位と同一周回に復帰。その後、ダメージ跡の残る車両にもかかわらず、首位争いにも加わった。
トヨタ勢を引っ張ったカーンとヴィッカーズは、129周目にカーンがまさかのスピンを喫したが、幸いにもどこにもぶつかることはなく、それでも30位以下までポジションを落として再スタート。再び素晴らしい走りで上位へと復帰すると、150周過ぎには、ロガーノらと首位争いを展開した。
174周目には中団グループにいたB.ラボンテがコントロールを失いクラッシュ。再スタート後の181周目にも他車のクラッシュでイエローコーションとなり、186周目に残り2周での再スタートとなった。
イン側2列目と3列目にヴィッカーズ、カーンが並び、マーティン・トゥルークス・Jr.とデイビッド・ロイティマンのチームメイト同士も10、11番手からの再スタート。上位勢が3ワイドでの激しいバトルを展開する中で、この再スタートを20位と24位から切ったウォルトリップとハムリンが一気に順位を上げ、上位に浮上。
最後は、ヴィッカーズとカーンが5位、6位。ハムリンが8位。ウォルトリップが9位、トゥルークス・Jr.が10位でチェッカーを受け、“トヨタ カムリ”は5台がトップ10フィニッシュを果たした。カーンはこれで5戦連続のトップ10フィニッシュ。
多重クラッシュからのレース復帰後、最後まで走り抜いたKy.ブッシュは、33位まで順位を上げてフィニッシュ。しかし、ランキングでは首位と40ポイント差の6位へと後退。ハムリンは11位へとひとつ順位を上げた。
次戦第33戦は10月30日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで行われる。
ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「長い一日だった。このレースは非常に神経を使う。まだ私の感覚は160km/hのままなので、眠れるまでにこの後2時間はかかるだろう。今日はチームの2台が共に素晴らしい仕事をした。ケイシー(カーン)と私は、どちらが前にいたとしても、何度か後方に下がることになっても、その後首位争いに加わっていた。最後は何台かに引っかかる形となり、逆転は叶わなかった」