2021年に初年度開催を迎えた電動ワンメイクSUVによるオフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』シリーズで、レースコースの設計にも貢献しつつ、欠員が出た際にリザーブとして代役参戦するという“Joker Drivers(ジョーカー・ドライバー)”の役割を担っていたユタ・クラインシュミットが、アプト・クプラXEに正式加入することが発表された。
史上唯一の女性ダカールラリー総合優勝経験者で、現在58歳の“砂漠の女王”は、これにより第3戦『Arctic X Prix』よりマティアス・エクストロームと強力なペアを結成し、最大出力400kW(約544PS)を発生するフルエレクトリックSUV『e-CUPRA ABT XE1』をドライブすることとなった。
地球環境保全活動とその啓蒙、さらに男女平等の理念を採用するまったく新しいEVオフロード選手権として幕を開けたエクストリームEだが、その新選手権でティモ・シャイダーとともにコースダイレクター的な役職を務めて来たクラインシュミットは、チームの要求に備えて「バックアップ要員としてステアリングを握る可能性もある」とした条件に従い、「私はこの新しい挑戦、アプトチームとの協業、そしてもちろんマティアスとの本格的タッグ結成を本当に楽しみにしている」とレギュラー参戦への意欲を語った。
言わずと知れた2001年のダカール覇者であるクラインシュミットは、アプト・クプラXEのレギュラーに抜擢されながら第2戦『Ocean X Prix』を欠場したクラウディア・ヒュルトゲンに代わって、自らが設定に関与したダカール近郊ラックローズの特設コースですでに実戦参加を果たしている。
「このようなオフロードイベントで最高のパフォーマンスを発揮するには、テストやラリーへの参加など集中的な準備が必要ね。でも残念ながらBMWとの契約により、プロとして仕事を両立し、高い時間のコミットメントが果たせないことが分かった」と語ったのは、2005年VLNニュルブルクリンク耐久シリーズでの優勝経験を持ち、今回正式にチーム離脱を表明したヒュルトゲン。
「エクストリームEファミリーでの経験にとても感謝しているし、アプト、クプラ、そしてユタ(・クラインシュミット)がこの先のシーズンで最高のパフォーマンスを発揮できることを祈っている」