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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.05.12 05:20
更新日: 2024.05.12 10:46

異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】

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ル・マン/WEC | 異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】

 上位陣のピットストップにより、赤旗前に3回目のルーティン作業を終えていたJOTAの12号車が実質トップに浮上する。ポルシェの同門6号車が僅差に続く展開となり、この2台は3番手以下に対し1分5秒ほどのリードを持つこととなった。

 レースは残り1時間5分。7番手に順位を下げた99号車ポルシェが、平川からハートレーにバトンタッチした8号車トヨタをオー・ルージュで攻略。約7秒前方で3番手を争う2台のワークスフェラーリと小林可夢偉駆る7号車トヨタの一団に次なる照準を合わせる。

 トップを行くアイロットの12号車ポルシェとエストーレが乗り込んだ6号車ポルシェの差は、残り1時間の時点で3秒ほど。5番手51号車と99号車ポルシェのギャップも3秒ほどに縮まった。2台のフェラーリに挟まれる形となっている可夢偉は残り50分、ラソース(ターン1)で85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2と軽く接触するが大事には至らず。この直後アンドラウアー駆る99号車ポルシェがアンダーカットに打って出る。

 6号車ポルシェは残り42分のところで最後のピットストップを行い、続く122周目に首位の12号車ポルシェがピットイン。タイヤ4本交換だったワークスチームに対し左側2本交換でコースに復帰した。この作業の違いにより両車のタイムは12秒に拡がる。

異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】
7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース

 3番手で7号車トヨタを徐々に引き離しにかかっていた51号車も左側のタイヤのみ交換。翌周、7号車と50号車が同時にピットに入り燃料補給のみで出したフェラーリが先行する。トヨタは右側のタイヤを換えて51号車の直前でコースに復帰したが、残り27分を切ったところでケメルストレートでライバルの先行を許した。また可夢偉組7号車のさらに1周あとに最後のピット作業を行った8号車トヨタは、99号車ポルシェに6番手の座を奪われている。さらに、フレッシュタイヤの99号車は7号車も攻略し5番手に浮上した。そのトヨタ7号車には85号車ランボルギーニとの接触に非があるとして5秒加算ペナルティが科された。

 後方の順位変動を尻目に12号車ポルシェはその後も快調に飛ばし、12秒のリードを保ったままトップチェッカー。プライベート・ハイパーカーチーム初の総合優勝を同門のワークスチームを従えるかたちで果たした。2位でフィニッシュした6号車ポルシェは選手権ランキングのリードを拡げることに成功。表彰台の最後のひと枠にはクラス最後尾からスタートした50号車フェラーリのクルーが立っている。

 4位以下は51号車フェラーリ、プライベーター2位となった99号車ポルシェ、トヨタの8号車と7号車という並び。そして8位にはプライベーター3位となった83号車フェラーリが入っている。9位は35号車アルピーヌ、10位の93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)までがポイントを獲得した。

異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】
ポルシェ・ワークスの6号車を抑えて優勝したプライベートチーム、ハーツ・チーム・JOTAの12号車ポルシェ963(ウィル・スティーブス/カラム・アイロット組) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース
異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】
優勝したハーツ・チーム・JOTAの12号車ポルシェ963(ウィル・スティーブス/カラム・アイロット組) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース

■ガス欠で優勝候補が続々と脱落

 LMGT3クラスは、アイアン・デイムス85号車の序盤の独走から一転、最後の最後まで勝負の行方が分からない展開となった。

 女性ドライバー3人組がドライブするピンクのランボルギーニは、4時間目のルーティン・ピット作業で59号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)に先行を許し、その後コース上で91号車ポルシェにもかわされ3番手まで後退する。

 赤旗が出されたタイミングではマクラーレンをかわした91号車がトップに浮上する一方、この直前にピットストップに入った85号車は5番手となった。レースが再開されるとハイパーカークラスと同様に、赤旗前にルーティン作業を済ませていたクルマの優位性により女性チームのランボルギーニがトップに返り咲く。

 残り55分、2番手の92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ピュアレクシング)を約5秒リードしてピットインした85号車は、タイヤ交換時の作業ミスでタイムと順位を失ってしまう。代わってクラストップに立ったのは59号車マクラーレンだった。

 しかし、その後方には92号車ポルシェをコース上で攻略した60号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・リンクス)が迫る。フランク・ペレラがドライブする60号車は3秒ほどのギャップがあった首位59号車にあっという間に追いつくと、ラ・ソースで並びかけて一気にオーバーテイクする。だが、これで終わらない。2番手に下がったマクラーレンは燃料が足りずスプラッシュ・アンド・ゴーを余儀なくされるが、4番手となっていた85号車も残り5分タイミングで、さらには60号車もファイナルラップに入るところで緊急ピットインが必要となった。

 この状況のなかマンタイ・レーシングが走らせる92号車(マンタイ・ピュアレクシング)と91号車(マンタイEMA)はステイアウトを選択する。これでトップに立った92号車は残りわずかとなったガソリンを保たせるため姉妹車に首位を譲る。ファイナルラップで3番手からトップに駆け上がった91号車そのままトップフィニッシュを飾り、姉妹車のポルシェとともにワン・ツー・フィニッシュを達成した。スピードの面ではライバルを凌いでいたランボルギーニ勢の60号車(アイアン・リンクス)と85号車(アイアン・デイムス)が3位&4位。クラス5位にはユナイテッドの59号車マクラーレンが入った。

異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】
LMGT3クラスで初優勝を飾ったマンタイEMAの91号車ポルシェ911 GT3 R(ヤセル・シャヒン/モリス・シューリング/リヒャルト・リエツ) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース

 日本勢はDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3がシングルフィニッシュの7位でポイントを獲得した。また、宮田莉朋が最終走者となった78号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)も10位に入り選手権ポイントを得た。一方、姉妹車で木村武史が乗り込んだ87号車レクサスは厳しいレースとなり最終的に14位。小泉洋史組82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)は序盤のパンクなどが響き12位に終わった。佐藤万璃音組95号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)はマシントラブルによってリタイアを余儀なくされている。

 開幕3戦を終えたWECの次なるラウンドは、伝統ル・マン24時間だ。“世界三大レース”のひとつに数えられる同レースの第92回大会は6月12日から16日にかけて、フランスのサルト・サーキット(正式名称:ル・マン24時間サーキット)で開催される。

異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】
59号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース
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60号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・リンクス) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース
異例の“赤旗&延長”大波乱のWECスパでプライベーターが金星。ワークスポルシェを従え初優勝【後半レポート】
LMGT3クラスで優勝したマンタイEMAのクルー(ヤセル・シャヒン/モリス・シューリング/リヒャルト・リエツ組/91号車ポルシェ911 GT3 R) 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース
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ハイパーカークラス(総合)の暫定表彰式 2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース


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