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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.03.19 19:13

トヨタに勝つため必要だった“60秒のマージン”。アルピーヌ、燃料は節約せず/WEC第1戦

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ル・マン/WEC | トヨタに勝つため必要だった“60秒のマージン”。アルピーヌ、燃料は節約せず/WEC第1戦

 WEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルレースを制したアルピーヌ・エルフ・チームのニコラ・ラピエールは、ハイパーカークラスのライバルであるトヨタGR010ハイブリッドに対して1回多くなる追加ピットストップのマージンを作り出すため、「レース全体にわたってプッシュしていた」と語った。

 2年目の新規則適用除外措置を受け、今季もノンハイブリッドLMP1車両であるアルピーヌA480・ギブソンで最高峰クラスに参戦するチームは、3月18日にアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催されたシーズン開幕戦で、初めてのWEC総合優勝を飾った。

 ポールポジションからスタートしたラピエール/マシュー・バキシビエール/アンドレ・ネグラオは、3時間すぎにトヨタ7号車ホセ・マリア・ロペスのアクシデントが発生するまでに、トヨタGAZOO Racingの2台に対して90秒近くのリードを築いていた。

 アクシデントからの再開直後、トヨタ8号車が燃料補給のための追加のピットストップを行っていたこともあり、一時アルピーヌは1ラップ以上をリードする展開となった。

 しかし燃料タンク容量の違いなどから、1スティントあたりの周回数はトヨタに比べて数周短く、最大8時間で争われるレースでは少なくともトヨタに対して1回多い、ピットストップが必要な状況ともなっていた。

「僕らはレース全体にわたってプッシュしていた」とラピエールは語っている。

「最後に1回多いピットストップを行うためには、1分間のギャップを築く必要があった。そのためにプッシュしなければならなかった。赤旗の際には75秒ほどリードしていたので、追加のピットストップをしても大丈夫だっただろう。でも、見た目ほど簡単ではなかった」

「とても良いレースだった。僕らにとってはクリーンなレースだったね。イージーではなかったけど、ペース、戦略の面で、僕らはとても良い仕事ができた」

 ラピエールによれば、アルピーヌ陣営はレースペースではトヨタが彼らにもっと接近してくるものと予期していたというが、それは起こらなかった。

「予選よりはギャップが少し近くなったけど、驚きだったね」とラピエール。

「グリッケンハウス(007 LMH)も最初は遅かったが、最終的にはとても良いラップタイムを刻んでいた。彼らは僕らのペースとほぼ同じだった」

「正直なところ、ギャップがかなり大きかったので驚いた。トヨタはこの冬に多くのテストを行い、タイヤサイズも変更してきたので、彼らはもっと速くなるものと予期していたんだ」

「ここはとても特殊なトラックだ。もう少し通常のトラックに近い(第2戦)スパでは彼らがどんな位置にいるのか、見てみよう」

「彼らに近づけるのは、僕らにとって良いことだ。勝ちを望むなら、トラック上でのペースの面で僕らにアドバンテージは必要だ。1回多いピットストップが必要なんだからね」

「昨年はペースもなかったし、戦える領域にもいなかったので、去年のレースよりも面白かったよ。少なくともいまはペースが良く、前線で戦うことができて素晴らしい」

2022年WEC開幕戦を制したアルピーヌ・エルフ・チーム
2022年WEC開幕戦を制したアルピーヌ・エルフ・チーム

 リタイアした7号車トヨタはポイントを獲得できておらず、ハイパーカーのチャンピオンシップにおける初期のリードによって、アルピーヌはシーズンの残りを楽観視できているとラピエールは言う。

「セブリングは(ロングレースのため)多くのポイントを獲得できる」とラピエール。

「勝利で得られるのは(通常の1.5倍の)38ポイントだ。これはかなり大きい。あとはレース・バイ・レースでポイントを獲っていきたい。他のトラックではこれほどのアドバンテージがあるとは考えていないので、状況は少し異なってくるだろう」

「だが、最初のレースで初勝利を収めるのは、良いことだ。我々はそれを手にした。戦略的にもミスのない、力強いレースだった。この点は、将来に向けても良いことだ」

 チームを運営するシグナテックの代表であるフィリップ・シノーによれば、チームはピットストップ分の時間を稼ぎ出すために純粋なペースを刻んでいたため、燃費走行は論外であったと述べている。

 昨年のWECのレースでチームは、トヨタらル・マン・ハイパーカー勢に比べて燃料タンク容量が少ないことを克服するため、1スティントの周回数を延ばすべく、しばしば燃料を節約して戦っていた。

「我々は、燃料を節約しなかった」とシノーは語っている。

「正直に言って、我々はプッシュしていた。1スティントあたり25周を走り、1度は26周もこなした。これはプッシュしてギャップを作り出すという戦略の選択であり、1ラップのリードを築き上げた」

「我々はレース序盤、ギャップを作るためにとても懸命にプッシュした。すぐに、少なくとも1回多いピットストップが必要であることが確認できた。その後、その戦略はコントロール下に置くことができた」

 ハイパーカークラスのBoPが、アルピーヌの車両に対して良い状態に感じるかと尋ねられたシノーは、次のように答えている。

「昨年から、我々はこのプロジェクトを信頼してきた。とくにチーム、経営陣において、大幅な改善があった。そしてとりわけここがセブリングというコースであることもポイントだ。このトラックは、我々のクルマにより合っている」

「我々は、もっと多くの困難を予期していた。しかしマシンをセブリングで走らせてみると、ドライバーたちはとても運転がしやすいと言った。彼らはクルマにとても満足していたよ」


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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