2023年のWEC世界耐久選手権は3月17日、セブリング・インターナショナル・レースウェイで開幕を迎えた。このIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とのジョイントイベントでは、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドが勝利を飾り、耐久レースの新時代をスタートさせた。
キャデラック、ポルシェ、フェラーリら新規参入勢が増えたハイパーカークラスでは、細かい話題も尽きない。その他のクラスを含め、レース後のセブリングのパドックから、各種トピックスをお届けしよう。
■亡き父に捧げられた勝利
トヨタは、セブリング1000マイルレースでWEC通算40回目の優勝を果たした。7号車のクルーであるマイク・コンウェイは18勝目を挙げ、WEC史上3番目に勝利数の多いドライバーとなった。彼はこの勝利を、昨年亡くなった彼の父親に捧げた。
セバスチャン・ブエミは、8号車トヨタGR010ハイブリッドで1分47秒885のファステストラップを記録した。ブエミはレース中盤、7号車小林可夢偉に対してコース上でタイムを失い首位の座を明け渡したが、これについてトヨタは次のように説明している。
「セブ(ブエミ)は、非常にアンラッキーなトラフィックにつかまった」とテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロン。
「彼のペースは可夢偉と同じようなものだったが、彼は3周もひどい目にあったのだ。トラフィックが密集していて、彼をブロックした。これが、(7号車との)ギャップを生んでしまった」
さらに8号車は、最後のピットストップで、左フロントコーナーでメカニックが転倒し、7号車に比べ11秒の遅れをとった。バセロンは、メカニックが無事であることを確認した。
8号車のブレンドン・ハートレーは、コンウェイのリードを2秒以内に縮めてチェッカーを受けたにもかかわらず、トヨタは最終ピットストップ時のまま順位を凍結するという、従来からのチーム内の取り決めに従った。
「マイクはイージーに走っていたんだ」とバセロンは言う。
「ブレンドンはリズムを保つためにまだプッシュしていたが、順位は凍結された」
■プジョー9X8はアクチュエーターにトラブル
プジョー9X8は2台ともアクチュエーターに問題があり、チームは次戦ポルティマオのレースではこれを変更する予定だ。
テクニカルディレクターのオリビエ・ジャンソニーは、「この問題があることは知っているし、すでに取り組んできたことでもある」と語った。
「そのためにいくつかの解決策を講じたが、(セブリングの)レースでは使用できなかった。レース序盤にこのような問題が発生するとは思ってもいなかった」
フォーメーションラップでのギヤシフトの問題に加えて、94号車プジョーは、メーカーがこれまで直面したことのないハイブリッドシステムの問題にも見舞われていた。
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フェラーリは、499Pのタイヤデグラデーションを改善する必要がある、とGTとスポーツレースカーの責任者であるフェルディナンド・カンニッツォは語っている。
「2スティント目の終盤に苦戦したのは明らかで、次のレースではもっと注意を払うことになるだろう」
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チーム代表のルカ・チャンセッティによると、708号車グリッケンハウス007はイグニッションスイッチに問題があったという。
「エンジンを再始動する方法がなかったんだ」とチャンセッティは語った。
「クルマは戻ってきたが、残念ながら(ピットではなく)テントの中に牽引されてきたので、再始動は許されなかった。そうでなければ、5分後には再びレースに参加できたはずだ」
今回のセブリングは、ポディウム・アドバンスド・テクノロジーズ社とヨーストが運営するこのチームにとって、8カ月ぶりの走行となったため、厳しいイベントとなった。
「(第2戦)ポルティマオは簡単ではないが、スパとル・マンは我々のマシンの長所に、より合致している」とチャンセッティは語った。