レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2023.09.12 11:56
更新日: 2023.09.12 12:15

給油ミスの影響/4台のハイパーカーから部品押収/「ラリーのおかげ」でクラッシュ回避etc.【WEC富士決勝後Topics】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | 給油ミスの影響/4台のハイパーカーから部品押収/「ラリーのおかげ」でクラッシュ回避etc.【WEC富士決勝後Topics】

 ハーツ・チーム・JOTAのドライバー、ウィル・スティーブンスは、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタがJOTAのLMP2チームメイト(28号車)をスピンさせたことによるドライブスルーペナルティがなければ、彼らの38号車ポルシェ963はこれまでで最高の結果を出せていただろうと語った。

「あれがなければ、4位を獲得できたかもしれない」とスティーブンスは語っている。

カスタマーチームのハーツ・チーム・JOTAが走らせる38号車ポルシェ963
カスタマーチームのハーツ・チーム・JOTAが走らせる38号車ポルシェ963

■燃料を満タンにできなかったポルシェ963

 トヨタのWECテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、スタート前に燃料を満タンにできなかった6号車ポルシェ963のミスがレース結果に影響したと感じている。

「そのことで、彼らは最初のスティントを短くせざるを得なくなった。そして、その次のスティントでは相当に燃料をセーブしなければならなかった」とバセロンは述べている。

「彼らは40周走らなくてはならなかった。彼らはスプラッシュを避けるために燃料をセーブしなければならなかった。そのおかげで、我々は巻き返すことができたんだ」

レース中盤に白熱した6号車ポルシェ963と2台のトヨタGR010ハイブリッドによる首位争い
レース中盤に白熱した6号車ポルシェ963と2台のトヨタGR010ハイブリッドによる首位争い

 しかしながら、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、スタートでトップを奪った6号車のローレンス・ファントールが通常よりも6周早く最初のスティントを終えることになり、レース中に燃料セーブが必要になったことの影響が大きかったとは見なしていない。

 マネージングディレクターのジョナサン・ディウグイドは、給油ミスについて次のように語っている。

「これは手順上の問題である、我々の側で解決する必要がある。最終的には、レース結果に大きな影響はなかったと考えている。だが、そうなる可能性はあった。したがって、我々はこれらの件についてクリーンにしておく必要がある」

 ポルシェ963は今季最も競争力のある状態の6号車が3位表彰台を得たが、5号車ではパワーステアリングに問題が発生、彼らは最後尾でフィニッシュした。

決勝中にトラブルが発生した5号車ポルシェ963
決勝中にトラブルが発生した5号車ポルシェ963

■2度目の富士を迎えたプジョー9X8、課題はトラクション

 プジョー9X8陣営は、ツイスティな第3セクターの低速コーナーでのトラクション不足に苦しみ、モンツァで見せた競争力を取り戻すことができなかった。

 マニュファクチャラーのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニーは、この結果について「予想していた通り」としながらも、プジョー9X8は2台ともほぼクリーンなレースをしたと述べた。

 彼らの主な後退要因となったのは、LMGTEアマのアイアン・リンクス60号車ポルシェ911 RSR-19との接触により、93号車がスピンを喫したことだ。

 エンジンカバーを外してのチェックのため、彼らはピットインを強いられた。「クラッチをチェックする必要があったんだ」とジャンソニーは語っている。

 一方、怪我をしているニコ・ミューラーに代わって代役参戦したストフェル・バンドーンは、94号車でプジョーでの初レースを楽しんだ。「クルマにはすぐに馴染めたし、2スティントはとても良かった」とバンドーンは述べている。

ストフェル・バンドーンも代役参戦した94号車プジョー9X8
ストフェル・バンドーンも代役参戦した94号車プジョー9X8

■正式リザルトは『但し書き』付きに

 レース終盤に導入されたFCY(フルコースイエロー)の際、13台の車両がスピード違反の審議対象になった。この違反についてはすでに審議は終了しており、レースの正式結果は日曜夜に発表されているものの、このリザルトには条件が付けられている。

 2号車キャデラックVシリーズ.R、6号車ポルシェ963、7号車トヨタGR010ハイブリッド、50号車フェラーリ499Pから押収された部品の最終検査が行われることになっているからだ。これらの検査がすべて終了することが、正式リザルト確定の条件となっている。

 レース後のテクニカル・デリゲートのレポートによれば、このほかにハイパーカークラスで車検対象となった94号車プジョー9X8からは、パーツは押収されていない。

■ニュータイヤでまさかの失速

 チームWRT41号車は、LMP2クラスでWEC通算8勝目を挙げ、このクラスでの通算勝利数を歴代2位に伸ばした。WECのLMP2クラスは今季限りで廃止となり、WRTは来季、BMW Mハイブリッド V8とともに最上位クラスへと移行することになっている。

 ル・マンでクラス優勝したインターユーロポル・コンペティション34号車のアルベルト・コスタ/ファビオ・シェラー/ヤコブ・スミエコウスキーの3人は、富士では9位に終わり、LMP2ドライバーズタイトル獲得に向けて厳しい状況に直面している。チームWRTの勝利により、41号車のロバート・クビサ/ルイ・デレトラズ/ルイ・アンドラーデ組がポイントリードを拡大したからだ。

 インターユーロポルのチーム代表であるサッシャ・ファスベンダーは、彼らの34号車オレカは速いときもあったが、シェーラーがグッドイヤーの新品タイヤを履いた直後に、大きく順位を落としたと語った。

「アルベルトがスティント終えたとき、彼は平均的に強かった。もっと深く分析する必要があるが、ファビオがニュータイヤを履いていたときのスティントは、どういうわけかとても遅かったんだ」

インターユーロポル・コンペティションの34号車オレカ07・ギブソン
インターユーロポル・コンペティションの34号車オレカ07・ギブソン

■初の富士で悪天候という悲運

 LMP2クラスに2台を送り込んでいるアルピーヌは、36号車で5位入賞を果たした一方、35号車は3周遅れの11位に終わった。シグナテック・チーム代表のフィリップ・シノーは、35号車のペース不足の原因を、オリ・コルドウェルとミモ・ロハスのサーキット経験の浅さに求めた。

「ミモとオリは、(プラクティスで)コースをつかむためにドライでは5周ずつしか走れなかった」とシノー。

「スタートではミモがブロックされ、すぐにタイヤのトラブルに見舞われた。彼のスティントを短縮することにしたが、アンドレ(・ネグラオ)とオリが懸命に努力したにもかかわらず、その差はすでに広がっていた」

アルピーヌ・エルフ・チームの36号車オレカ07・ギブソン
アルピーヌ・エルフ・チームの36号車オレカ07・ギブソン

* * * * * * *

 次戦、シーズン最終戦の舞台はバーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われる8時間レースとなる。決勝は11月4日土曜日、現地時間14時にスタートし、日没後にフィニッシュを迎えることになる。


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

関連のニュース