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投稿日: 2023.04.22 21:20
更新日: 2023.04.22 21:21

ドタバタでも光る野尻智紀&TEAM MUGENの強さ。一転のQ2進出決定に“20〜30秒”でセット変更を即断【第3戦鈴鹿予選】

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スーパーフォーミュラ | ドタバタでも光る野尻智紀&TEAM MUGENの強さ。一転のQ2進出決定に“20〜30秒”でセット変更を即断【第3戦鈴鹿予選】

 鈴鹿サーキットで行われた2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の予選Q1・Bグループ。全車がタイムアタックを終えて、王者・野尻智紀(TEAM MUGEN)は7番手となり、一時はQ1敗退かと思われた。

 ところが、Q1・Bグループで1分37秒252を記録し、5番手につけていた小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が、シケインでコースオフを喫していたため、走路外走行の判定で、該当タイムが抹消。傍らでリアム・ローソンがQ2に向けて準備を進める中、“敗北ムード”が漂いかけていた野尻の1号車付近だったが、急いで準備に取り掛かり、Q2に出走。見事3番手タイムを記録し、選手権を争う上でのダメージを最小限に抑える予選を披露した。

 その“ドタバタ劇”のなかでは、動じないメンタルに、そして冷静な決断と確実な作業に、王者の“強さ”が凝縮されていた。

■「無線も外して打ちひしがれていた」一瀬エンジニア

 野尻本人は、Q1のアタックを終えた時点で、Q2進出への手応えはなかったとのこと。すぐに無線で「すみません」とチームに謝り、ガレージに戻ると足早にマシンを降りていた。そこから可夢偉の走路外走行の判定で、状況が二転三転し、それに付き合う形で、野尻もヘルメットを脱着などを行っていたという。

「3回くらいヘルメットを脱ぎましたね(笑) そこは僕にどうにかできる問題ではないし、ジャッジする側の判断を待っていたので、なんか『もう、好きにしてください!』という感じで、走れるなら走るという、割とフラットな感じでした」と野尻。Q2に関しては、ある意味で吹っ切れて臨めたところが、うまくいったところもあるのかもしれない。

タイミングモニター上に現れては消える「走路外走行検証中」の文字に反応する野尻智紀(TEAM MUGEN)
タイミングモニター上に現れては消える「走路外走行検証中」の文字に反応する野尻智紀(TEAM MUGEN)

 同じく、野尻を担当する一瀬俊浩エンジニアも「僕はQ1終わって、無線機も外して、裏でうちひしがれていました」とのこと。そこから数分で状況が一変し、「16時30分くらい(Q2開始5分前)に、メカニックから『7号車が検証中になったから、用意して!』と言われて、そこで驚いて準備を始めました。だから、正直(Q2に向けて)何も用意していなかったです。そこを、もうちょっと自分も(Q2へ)上がる可能性があると聞いていたら、もうちょっとやっていたかなと言う感じでした」と、インターバル当時の状況を振り返った。

 いずれにしても、朝のフリー走行から手応えはなかったという1号車陣営。一瀬エンジニアも「鈴鹿テストがあまり調子良くなかったので、テストを踏まえて、こういう方向性でいったら走るかな? という感じで調整していきたのですけど、いまいち“ピン”と来るところがなく、良い感度は得られなかったです。Q1に向けても、けっこう変えたんですけど、ダメでした」と言う。

「Q2でとにかくタイムを出すために、何が必要か? を聞いて『とりあえずダウンフォースを出してくれたら、なんとかなる』ということだったので、フロントのダウンフォースを増やしました」

 野尻と話し合い、Q2へのセット変更を決めるまでにかかった所要時間は、およそ20~30秒だったという一瀬エンジニア。結果的に3番手タイムは出せたのだが、それについては、次のように分析した。

「僕たちもQ2で、なぜあんなにタイムが上がったのか? が謎ですね。ただ、ひとつ言えることは、SF19と比べて(今季からの新型車両であるSF23は)“スイートスポット”が狭いなという印象です。それを外してしまうと、何をやっても感度が出なくて、美味しいところ入ったら、ダウンフォースも上がってタイムも出てきました」

「あとは、Q1からQ2にかけて、路面温度が下がったのが、大きかったのかもしれません。テストの時も路面温度が下がった時に強かったので、そこが助けになって、Q2のあのタイムを出せたのかなと言う感じです」

 そうなってくると、気になるのは日曜日の決勝レース。一瀬エンジニアは、トップを獲れるほどのパフォーマンスはいまのところ見出せていない様子だ。

「ロングに関しては、富士で2日間レースをして、いろいろ見えたかないうところはあります。前回(鈴鹿テスト)のロングは、野尻さんが久しぶりにスピンするくらい、ダメダメなセットアップでしたけど、今回はそこそこ走れるのかなという感じはしています」

「トップ3で帰ってられれば、御の字かなと思っています。ダメージリミテーションですね」

 TEAM MUGENのメカニックたちは、19時30分にはサーキットを後にする様子がみられたが、おそらく一瀬エンジニアにとっては、決勝での挽回に向けて、長い夜を過ごすことになりそうだ。

Q1を終えてガレージに戻される野尻智紀の1号車。この後、野尻はいったんマシンを降りる
Q1を終えてガレージに戻される野尻智紀の1号車。この後、野尻はいったんマシンを降りる


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