「昨年末にピットレポーターの就任が決まりました。そこから(レースの)勉強をはじめ、勉強会を開いてもらったりもしました。過去の映像を観て自分なりに勉強はしましたが、実際サーキットに来てみないとわからないところもあり、現場に来てから本格的に勉強がスタートしたという感じですね」
「開幕戦から比べると慣れましたが、まだ慣れたという感じではありません。専門用語が満載なスポーツだから奥が深すぎるし、今でも勉強をしています」
「レースを扱うウェブサイトも見ますし、高橋二朗さんに聞いたり、プロデューサー、ディレクターに聞くこともあります。あとは当事者であるドライバー、監督に話を聞きに行くとすごくわかりやすかったりします」
そう語る竹内さんは、慣れていない前半戦のうちはピットでの立ち回りがわからず苦労を重ねたという。
「ピットにいるスタッフや関係者もわからず、どのチームのピットにいればいいか、どのタイミングで誰に話を聞けばいいか、何をレポートすればいいかなど、正直まったくわからなかったので相当苦労しました」
「見当違いな人に話を聞いた経験もあり、タイヤメーカーの方にマシンの状況や戦略を聞いてしまったことがあります。本当に誰にインタビューすればいいかわからず、コミュニケーションのミスが多発していましたが、だんだん誰がどのポジションに就いているかわかってきたので話は聞きやすくなっています」
「チーム関係者と顔見知りになって話をするようになり、ピットに行くとレース中でも状況を教えてくれるし、マシンに不具合が起きた時も教えて頂けるようになりました」
プレッシャーがかかる現場で経験を積み、楽しめるようになるまで時間を要したという竹内さん。苦労した経験とは反対に、嬉しかったことを聞くと、「優勝インタビューをした後に、勝ったチームの関係者の方たちが『ありがとう』、『またいつでもピットに寄ってね』と言いにきてくださったことです。一緒に喜びを分かち合えたと思ってもらえたんだなというのがすごく嬉しかったです」と語った。
「人との繋がりが増えてくるとチームの事情もわかってくるので、優勝は自分も喜べるしすごく楽しくなってきました」
「レースは本当に面白いです。展開が変わるのはすごく早いし、レース時間は長いですが、その間にいろいろな展開があるので、ずっと観ていないとわからなくなります。最初から最後まで集中して観なければいけませんが、その分最初から最後まで興奮して楽しめます」
「でも、レースを楽しむという前にプレッシャーがすごいので、楽しめるようになるまで時間がかかったと思います」
多くのスーパーGTファンが観ている中継で、ピットレポーターを担当することは相当なプレッシャーがかかることがわかった。では、竹内さんにとって、そんなプレッシャーがかかる状況のレースの世界のピットレポーターという役割を担うにあたって、もっとも大切なことはなにか。竹内さんは、この仕事に必要なスキルとして「コミュニケーション能力」を挙げた。
「自分だけでは何が起きているのか把握できないことがすごく多いです。新しくレポーターを始める時は、基本的にみんな周りの人たちに状況を確認しないといけません」
「実際にトラブルが起きた時、どのようなトラブルかを確認してから放送席に呼びかけなければならないので、周りの人たちに聞ける環境を自分で作っていける力があった方がいいですね。それがないと厳しいし一番大事なことだと思います」