雨上がりで蒸し暑さの残るなかで行われた2021年のスーパーGT第3戦鈴鹿。GT500クラスは、ニッサンGT-RニスモGT500勢が1-2-3を独占した。
昨年も同陣営の1-2フィニッシュはあったのだが、表彰台を独占したのは2014年の第3戦オートポリス以来7年ぶり。レース後のニッサン陣営のパドックでは関係者たちの笑顔であふれていた。
優勝したMOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)のみならず、2位のCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)、3位のリアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/佐々木大樹)も要所要所で光る走りを見せて表彰台を獲得したのだが、その結果に対する思いは“人それぞれ”という印象だった。
7番グリッドからスタートしたCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは前半を担当した千代が、序盤に2台のホンダNSX-GTを追い抜くなどアグレッシブな走りを披露。その後、4番手まで上がったところでアンダーカットを狙い20周目にピットインした。この戦略が見事的中し、全車がピットストップを終えるころにはトップに浮上した。
「300の集団が出てきたときにピットに入ったのがうまくいったのと、自分がアウトラップでプッシュしたことで、後半スティントをトップからスタートすることができたので、そういう意味でも戦略とかチームワークを含めても、今回はうまく出し切れたんじゃないかなと思います」
そう振り返ったのは後半スティントを担当した平手。一時は2番手以下に5秒以上のリードを築いたのだが、アンダーカットを狙って早めにタイヤ交換をした分、終盤はタイヤが厳しくなってしまったという。
「僕たちは23号車と比べてもサクセスウエイトが20kgも重い状態ですし、彼らが4~5周後にピットインしているので、状況的に3号車の方が辛くなるのは分かっていました。でも、とにかく前に出ないとレースができないと思ったので、アンダーカットがうまくいったのは良かったです」
平手にとっては2019年第7戦SUGOで優勝して以来となる表彰台。苦しい時間が続いていた分、この結果には安堵の表情を見せていた。
「“やっと”という感じですね。でも、GT-R勢はこの鈴鹿を狙ってきていましたし、天候も(レース結果に)左右したのかなと思います。そのなかで僕たちミシュランのタイヤ選択が当たったと思います。逆にブリヂストン勢がそのあたりで苦しんでいたということを聞いています。だから天候が味方してくれた部分はありました」
「ニッサン陣営としても、僕たち3号車としても前半に一発良い結果を残したいという想いはあったので、それを狙っていたサーキットで獲れたのは大きかったと思います。ニッサン勢、そしてずっと応援してくれたニッサンファンのみなさんにとっては最高な1日になったと思います」