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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.09.16 15:08

Max Racing 2021スーパーGT第5戦SUGO レースレポート

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スーパーGT | Max Racing 2021スーパーGT第5戦SUGO レースレポート

Max Racing
レース結果報告書
2021 SUPERGT Rd.5 スポーツランドSUGO

日時 2021年09月11~12日
■車両名 たかのこの湯 GR supra GT
■場所 鈴鹿サーキット
■ゼッケン 244
■監督 田中哲也
■ドライバー 三宅淳詞/堤優威
■チーム Max Racing
■リザルト 予選9位/決勝9位

「かわいがり」!?
ポイントリーダーの証、サクセスウェイト100kgで臨んだ初SUGO

 我がMax Racingは、スーパーGT挑戦2年目にして念願の初優勝を前戦、鈴鹿で達成しました。そこまでの3戦でも着実にポイントを重ねてきたこともあり、ポイントランキングでもトップに浮上。累計ポイント数✕3で計算されるサクサスウェイトは上限の100kgに到達して第5戦SUGOを迎えました。

 昨シーズンはコロナ禍への対応によってシリーズ開催サーキットが制限されたために、SUGOはチームとして初走行。GT300規定のGRスープラを走らせるのも初めてなら、若いドライバーふたりにとってもスーパーGTにおけるSUGO戦は初体験です。

 SUGOはアベレージスピードが高く、かつコース幅が狭いのでアクシデントのリスクも高く、さらに1周が約3.6kmと短いためにレース周回数は多く、必然的にGT500に追い抜かれる回数も増えて、これによってもリスクが高まります。

 才能がありながらも、ステップアップのエリートコースに乗り切れなかった若いドライバーにチャンスを与える。こうしたチームオーナーGo Maxのコンセプトで選ばれた三宅敦詞と堤優威が、この難コースを舞台に100kgのウェイトを抱えた逆境でどのような力を発揮するのか大いに注目される一戦となりました。

 9月11日土曜日の公式練習では、今回もまず優威が持ち込んだ2種類のタイヤ選択をしました。この時点でタイムは4〜5番手につけて走り出しの感触は良好でした。セットアップを確認した後、三宅に交代。ロングでの感触を確認します。公式練習全体のタイムランキでは18位でした。しかしこのタイム順をみても全く不安はなかったと田中哲也監督は言います。「まだ路面ができていない最初に2セットを使ってアタックしているので、そこは心配していなかったです。中古(タイヤ)のタイムをみていたらトップ5くらいいけるのではないかとも期待が持てました。その反面、上位はとても僅差だったので公式練習でニュータイヤの感触を確認している優威にQ1をやってもらうことにしました」。

 GT300クラスの予選Q1は今回もAB2グループに分けて実施されました。Aグループ出走の優威は1分18秒737のタイムで7番手となりQ2進出のミッションをクリア。ステアリングを三宅に託しました。三宅は1分18秒456とさらにタイムを伸ばして9番グリッドを確保。この時点でポイントランキング2位、最強のライバル56号車の前です。

「欲を言えばもう少し前、なんとか3列目に入れたかった。このクルマの場合、コーナーで稼がなければいけないので、その分ウェイトも効く。でも100kgを積んでいることを考えたら充分な予選だと思います。それにボクらだけが飛び抜けて100kgを積んでいるわけではなく比較的ランキング上位がウェイトを積んだ状態なので、ウェイト差でみたらそれほど大きくないとみることもできます。ここで1点でも2点でもいかに獲りこぼしをなくすかがチャンピオン争いでは重要で、そのことは自分自身が肝に銘じてドライバーにもチームにもしっかり伝えています」。

 スポットライトが当たらなくても、タイトル獲得のためにはその地道な努力が必要だということを経験豊富な哲也監督は説きます。

田中哲也監督(たかのこの湯 GR Supra GT)
田中哲也監督(たかのこの湯 GR Supra GT)

 また、チャンピオン獲得だけがチームの目的ではないと哲也監督は続けました。「ドライバーの育成とチームのステップアップも目標で両方しっかり取り組めています。メカニックも作業時間を短縮して、1周でも多く周回してアイテム確認を増やそうと考えたり、ドライバーも、もう少しあそこを詰めればタイムアップしたのではないかと考えている。ふたりとも昨夜(土曜夜)ホテルに帰って風呂に入って考えていたら思いついたと、同じことを指摘していました。以前、鈴木亜久里さんに言われて納得したことがあります。世界一速いドライバーは世界一クルマのことを考えていると。こういう点にも進歩を実感できます」。

 SUGOのスーパーGTレース初体験のふたりにとって、決勝に向けてドライバーとしてGT500もGT300も知り尽くしている哲也監督のアドバイスは貴重です。

「彼らもGTではSUGOは初めてなので知らないことばかり。タイヤのタレや、接触のリスク、最終コーナーアウト側のタイヤカスとかワナがあって本当にいろんなことが起きる。GT500が無理やり入ってくることもあるし……。あらゆることを想定しておかないとミスにつながる。この前(前戦鈴鹿、首位走行中の終盤に優威がS字コーナーでGT500と接触)みたいに中途半端に(インを)開けていると当てられる。あの場面でも譲るか、明確に閉めるか、どちらかにすればよかった。たまたま生き残ったからよかったけども。それに、GT500でも今回SUGOが初めてのドライバーがけっこういるから、余計に危ない」。決勝は哲也監督が想定したとおりの展開になりました。

 決勝に向けては、サクセスウェイト100kgでストレートも遅く、ブレーキングも厳しくコース上でのオーバーテイクは困難と判断して、ピット作業でポジションを稼ぐ、左片側2輪交換の戦略を採りました。無交換となる右側タイヤの摩耗については、公式練習におけるロング想定の走行内容から問題ないと判断した結果でもあります。

 前半スティント担当の優威にとっては、無交換の右側タイヤを守りつつペースを維持して上位ポジションを狙う、難しいミッションが与えられました。後半スティント担当の三宅は、タイヤが厳しくなっても、ピットで押し上げたポジションを守らなければなりません。与えられた使命の難しさは優威以上だったかもしれません。


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