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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.05.12 10:00
更新日: 2022.05.13 16:30

apr GR86 GT 2022スーパーGT第2戦富士 レースレポート

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スーパーGT | apr GR86 GT 2022スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 450km RACE
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:29,000人
5月4日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:44,000人

発展途上のGR86 GTは産みの苦しみ苦戦の時期……。
それでもノートラブルで2戦連続完走!

 ゴールデンウィークの富士スピードウェイに、久々に活気が戻ってきた。思えば、一昨年は開催できず延期され、昨年は大幅に人数制限した上での有観客レースとあって、本当にコロナのせいで寂しい限りだった。しかし、今年は3年ぶりに行動制限も無くなったことによって、多くの観客が詰めかけていた。

 そんなスーパーGT第2戦、「FEV HOTEL FUJI GT 450km RACE」は観客にとっても、モチベーションを授けられるドライバーにとっても最高の環境下での開催となった。

 aprは今年も2台体制。うち1台をトヨタGR86に改め、「apr GR86 GT」として不動のコンビ、永井宏明選手と織戸学選手に託す。タイヤは引き続き、信頼のヨコハマタイヤを使用する。なお、今回は第3ドライバーとして、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権やスーパー耐久に出場するTGR-DC育成ドライバーの平良響選手を加えている。開幕戦の岡山国際サーキットでは、安定方向に振り過ぎたセットが裏目に出てしまい、予選ではQ1突破ならず。

 22番手から臨んだ決勝レースでは、今年のGT300規定車両の現実を思い知らされることとなった。何しろ抜けないのである。BoPによる性能抑制は、決勝レースほど大きな影響を及ぼし、FIA-GT3勢にまったく歯が立たない状況を強いられてしまう。それでも永井選手と織戸選手は粘り強い走りを見せ、なおかつ諦めない姿勢が実を結び、終盤に相次いだアクシデントにも乗じて13位でゴール。これがスープラやプリウスも含めた兄弟車の中で2番目だったというあたりに、どれだけ苦境を強いられているか理解してもらえるのではないか。とはいえ、「apr GR86 GT」の扱いやすさや安定感、素性の良さをより確認できたのは、デビュー仕立ての車両としては最高の収穫ではあった。状況が打破されるのを待つ前に、積極的にメイク&トライを重ねていくのがapr本来の進め方である。可能性のある限り!

2022スーパーGT第2戦富士 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/平良響)
2022スーパーGT第2戦富士 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/平良響)

公式練習 5月3日(火・祝)9:00〜10:35

 今回もまた、搬入日には雨が降ったものの、いざGTマシンが走り出すとなると天候は回復。好天の元で、公式練習が行われた。開始時の気温は13度、路面温度は18度だったが、時間の経過とともに高まっていき、最終的にはそれぞれ19度、27度まで上昇。この時期としては、想定どおりのコンディションとなっていた。

 最初に「apr GR86 GT」に乗り込んだのは織戸選手。持ち込みのセットが当たって、計測3周目には1分37秒106と、セッションベストのタイムを記録したことから、早々と交代した永井選手も1分37秒513と、上々のタイムを記していた。続いてドライブしたのは、平良選手だった。「apr GR86 GT」には初乗車ながら、昨年スポットでGT300クラスに出場経験を持つことから、軽妙な走りを披露する。

 平良選手も1分37秒962をマークし、早い段階から3人ともタイムを揃えてきたのは、実に心強いところだ。そして、ほぼ1時間経過したところで、再び織戸選手が乗り込み、決勝セットの詰めやタイヤ選定を行なっていく。ラストのGT300クラス専有走行では永井選手がドライブし、最終的な確認も行うまでに。予選、決勝に向けた準備は、しっかり整えられた。

公式予選Q1 5月3日(火・祝)14:00〜14:10

 今回、予選Q1に「apr GR86 GT」はA組での走行となった。このセッションを担当したのは織戸選手。気温は16度、路面温度は23度と公式練習の終盤より低くなっていたため、ウォームアップは入念に行われていた。計測3周目から織戸選手はアタックを開始し、まずは1分36秒693をマーク。続けてのアタックは、逆に1分36秒818とタイムを落としてしまう。その結果、Q2進出にコンマ4秒及ばず11番手に甘んじ、残念ながらQ2進出は果たせなかった。

永井宏明選手
「本当に接戦のQ1だったので、あと少しの頃だったんですけど、その少しが遠くて……。決勝に向けて今、みんなでどうやって追い上げられるか、考えていこうと思っています。長いレースですから、うまく作戦を立ててやっていければ、きっとチャンスはあるはずです」

織戸学選手
「もうちょっとのところが、うまく決まりきっていなくて、はまっているわけじゃないんだけど、決まりきっていない。本当に、我々の車はぴったり合わないと持ち味が出せないので、もうちょっと決めていかないと。乗っていて、ああ……というロスがあるんでね、そこをまとめないと。もうちょっと頑張ります」

平良響選手
「ちょっとしか乗れていないんですけど、去年のRCFの経験もあるので、GTには特に問題なく乗れているんですが、GT300車両とFIA-GT3という違いはあるので、そこには少し戸惑いもありました。特にセクター3でのコーナリング特性の違いに、ちょっとびっくりしたって感じはあります。決勝も今の予定では乗るので、決勝に備えてドライビングにも改善の余地もありますから、そこは見つめ直します」

金曽裕人監督
「もう少しで、GR86とシンクロできそうです。少しでもストレートで最高速を延ばそうとしたことが裏目に出たところもあり、状況は把握できています。GR86の素性の良さもあり概ねマシンは良好であり明日のレースは長丁場なので、着々と背後から上位を目指します。それにしても、吸気制限にてストレートが遅いのがいかんともしがたい。でも欲張るとダメ、そんな状況です」

決勝レース(100周) 5月4日(水・祝)14:30〜

 今回は初めて450kmレースとして開催され、2回の給油を伴うピットストップが義務づけられている。ということは1回はドライバー交代を行わずにショートスティントにしたり、タイヤも無交換や2本交換にしたりすることもできる。そういう戦術の駆使で、一気に順位を上げることが期待された。

 決勝日の富士スピードウェイは44,000人もの観客が訪れ、天候にも恵まれて最高のコンディションとなっていた。20分間のウォームアップには、今回のスタート担当、永井選手から「apr GR86 GT」に乗り込み、4周の計測の中で1分38秒826を記録。最後は平良選手のドライブとなった。

 さて、スタート直前の気温は21度、路面温度は32度と、やや高め。そのあたりがどう影響を及ぼすか?

 22番手から決勝レースに臨んだ永井選手は慎重に、まずはポジションキープでオープニングラップを終える。後方では早くもその周に、最初のピットストップを行うチームもあり、4周目、5周目あたりにも続々と。これはやはり戦術の妙が結果を大きく左右しそうだ。そんな中、「apr GR86 GT」は周囲の戦況に惑わされることなく、淡々と周回を重ねていく。

 そして15番手にまで順位を上げた28周目に、最初のピットストップを行い、ここで織戸選手と交代する。いったん順位を落とすも、ピットタイミングの違いがあるため、再び順位がじわりじわりと上がっていくことが期待された。

 しかし、そんな矢先の38周目にヘアピンでクラッシュがあり、FCY(フルコースイエロー)が出され、間もなくセーフティカー(SC)が導入される。

 ドライバーの無事が確認されるが、ガードレールの損傷が著しく、スタートから1時間25分経過した45周目には赤旗が出されて、レースは中断となる。

 ほぼ30分かけてガードレールは修復されて、レースは再開。SCによる2周の先導の後、グリーンシグナルが灯される。それからわずか6周後。GT300車両がストレートでスローダウン、ピット寄りを走行して白旗も掲示されていたが、そこにトップを争うGT500車両が3台連なって近づいてくる。

 トップはなんとか回避したものの、2番手の車両が避けきれずにコントロールを失い、スタンド側のガードレールに激突してしまう。2度目の赤旗が出されて、レースは再び中断に。

 ガードレール修復の間に、坂東正明GTA代表によって、クラッシュしたドライバーが大事に至らず、怪我もないことがアナウンスされ、場内一同がほっと胸を撫で下ろす。しかし、時間は刻一刻と経過していき、やがて最大延長時間にも迫ろうというタイミングで、ようやく再開が発表される。とはいえ、残り時間はわずかに10分。結局、SC先導のままチェッカーが振られることとなった。

「apr GR86 GT」は、2回目の給油をSC明けに行う予定だったが、再開直前に「給油回数義務はなし」と発表とされていたから事なきを得るも、果たして正しい裁定だったのか? 結果として18位というリザルトを得たものの、手も足も出ず、不完全燃焼間の残る一戦になってしまった感は否めない。鈴鹿サーキットで5月28〜29日に開催される第3戦も、引き続き450kmレースとして開催される。今度こそフルディスタンスの戦いとなって、ドラマティックなレースになることが期待される。

2022スーパーGT第2戦富士 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/平良響)
2022スーパーGT第2戦富士 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/平良響)

永井宏明選手
「赤旗が2回も出て、本当に大変なレースになってしまいました。僕たちは作戦も悪くなかったのですが、このような大きなクラッシュで最後までレースが出来なかったのは痛手ですが、何より怪我人が出ず安全に終われただけで満足です。
なので、次に向けてはセットアップも作戦も、もっとうまく調整できるようにやろうと。次の鈴鹿はホームコースですし、また長いレースなので、しっかり合わせられるように、みんなで考えていきたいと思っています」

織戸学選手
「今回も今ひとつ我々の車は決まっていなかったので、すこし厳しい展開でした。良かったのは、いろんな人に大きな怪我がなかったこと、それだけで充分です。次は30号車のホームコース、更に頑張ります」

平良響選手
「こういう展開だったので走ることはできませんでしたが、チームの中でレース見た雰囲気では、足りない部分はあったんですけど、毎セッション決まってきた実感はあったので、また次回以降のレースが楽しみです。長距離レース3回を今年は乗車予定になってますので、もっと皆さんとデータを共有して頑張りたいと思います」

金曽裕人監督
「大きなクラッシュがあったので、こういう終わり方は仕方ない。大事に至らず、安全第一。それが最高の結果。鈴鹿のレースはすぐなのですが、この1週間後に富士でプライベートテストをする予定。そこで今回レースで、やり残したもの、やるべきだった事を検証します。次戦は永井選手のホームコースでもあり沢山の皆様が応援に来られると伺っております。昨年は、両ドライバーも佐橋エンジニアも絶好調でしたのでご期待ください」


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