レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.08.15 12:33
更新日: 2022.08.15 12:34

apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第4戦富士 レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第4戦富士 レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round 4 FUJI GT 100Laps RACE
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
8月6日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:18,600人
8月7日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:29,300人

450kmの長距離決戦
予選の低迷から挽回し、11位でゴール!

全8戦で争われるスーパーGTは第4戦を迎え、これにてシリーズ前半戦を終了。富士スピードウェイを舞台に『FUJI GT 100Laps RACE』が開催された。

2台体制で挑むaprが、コンビ結成4年目の嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託すのは、お馴染みの TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)「apr GR SPORT PRIUS GT」。

タイヤは引き続き信頼と実績のブリヂストンを使用する。なお、今回は100周、450km強の長丁場のため、第3ドライバーの登録も可能であることから、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦中で、スーパー耐久では嵯峨選手のチームメイトとして、ともに戦う小高一斗選手を加えている。

今年は総じてGTA-GT300車両2URV8エンジン搭載車8台にとって、苦難のシーズンとなっている。ここまでの3戦で表彰台をも一度も許されず、厳しいBOPによってポテンシャルを封じ込まれているからだ。

もちろん、『apr GR SPORT PRIUS GT』も例外ではないばかりか、昨年のオートポリス優勝以降、スーパーGT唯一のハイブリッドを積むプリウスのBOPはその極みとさえ言える。

ハイブリッドシステムと現在のレギュレーションとのアンマッチは想像以上に大きく、ここまで19位、22位、そしてリタイアと、予想さえしなかったほどの窮地に立たされているからだ。少しでも改善すべく、プライベートテストを幾度か行い、あの手、この手を尽くしてはいるのだが。

公式練習 8月6日(土)9:00〜10:35

当初の天気予報では、レースウィークの富士は土曜日まで降雨を免れず、日曜日だけ天気に恵まれると伝えられていた。それが近づくほどに修正されてはいったが、早朝は霧に覆われていた。

直前に行われるはずだったFIA-F4の予選はキャンセルされるも、公式練習が始まろうという頃には霧が晴れて、オンタイムでの開始が許された。

今回も最初に『apr GR SPORT PRIUS GT』のシートに収まったのは中山選手。開始と同時にピットを離れたが、路面がまだ濡れていたため、すぐに戻って待機し、コンディションの回復を待つこととなった。

再び走り始めたのは、開始から30分ほど経過したタイミング。もちろんドライタイヤでの走行が可能な状況となっていた。中山選手は最初の走行で、1分39秒181を記録する。その後、ピットで綿密なセット変更が行われてから、いよいよ小高選手が初走行。

2周の計測ではあったが、1分38秒908を出して適応力の高さもアピールした。

ラストのGT300クラス単独の時間帯には、再び中山選手が乗り込み、さらにセットは詰められていった。今回はこの後にFCYテスト、さらに復活のサーキットサファリが実施され、嵯峨選手はそこからの走行に。特にサファリではまだバスが走っている状況ながら1分40秒台を連発。コースを離れたところから小高選手が乗り込むと、今度は1分39秒台の連発で、最終チェックを済ませていた。

2022スーパーGT第4戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)
2022スーパーGT第4戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)

公式予選Q1 8月6日(土)15:00〜15:15

今回、金曽裕人監督がQ1担当として起用したのは小高選手。公式練習でも好タイムを記録していたことから、若手のホープに大役を任せることとなったのだ。

A組での走行となった『apr GR SPORT PRIUS GT』は、気温21度、路面温度は28度と、この時期としてはあり得ないほど低かったことから、普段以上に入念にウォームアップを行っていく。アタック開始は、実に計測4周目からとなった。

1分37秒814を、まず記した小高選手は、さらにコースを激しく攻め立てていく。しかし、1分37秒791と、わずかな短縮に留まり、あとコンマ6秒及ばずQ1突破ならず。Q2を担当する中山選手にバトンをつなぐことはできなかった。

嵯峨宏紀選手
「僕はFCYとサーキットサファリを少々走っただけですが、フィーリングは悪くないんです。しかしタイムと一致しないんです。原因の一番はストレートでの最高速差、こればかりはドライバーでは埋められない。その中でも、まだまだやらなくてはいけない事はあると思います。いずれにしても、長いレースですから、諦めずにコツコツやっていくしかないと思っています」

中山友貴選手
「しばらく時間が空いて、その間に行ったプライベートテストで得られた情報などを盛り込んで、今回走り始めましたが、コースに適合できていない部分がいくつかあったので、特にブレーキング時の姿勢を修正してもらっていました。今回は硬めのタイヤで小高選手が予選を走って、残念ながらQ1を突破できず後方からのスタートになりますが、ロングランに向いたタイヤチョイスなので、できる限りいいペースをキープして、挽回できるように頑張ります」

小高一斗選手
「プリウスで初めてアタックさせて頂きました。車のバランスはそれほど悪くありませんでしたが、ハイブリッドは、その重量とパワーバランスと回生ブレーキがドライビングに対して難しいのも印象的でした。それに加えて、硬い方のタイヤを選んだことで、10分間ではタイヤが温まらずに終わってしまい、厳しかったですね。明日の決勝、長いレースのことを考えて選択したタイヤなので、今日の我慢が明日、報われればいいな……と。絶対、暑くなった方がいいですね。明日の決勝では、諦めず頑張ります」

金曽裕人監督
「予選で上位には行けませんでしたが、明日の決勝で『爆裂作戦』を考えていたので、そのために硬めのタイヤを選んでいました。ですから、予選ではそれなりに沈むとは思っていたんですが、もう少し行けたかな……と。明日は、この曇り空じゃなくて、天気が好転することを予想して、硬いタイヤを生かしたレースをします。明日、ド・ピーカンになって「やりよったな、こいつら!」って思わせる予定です。常にトライし続けるaprに、ご期待ください!」

2022スーパーGT第4戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)
2022スーパーGT第4戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)

決勝レース(100周) 8月7日(日)14:00〜

今回はレース中の給油は2回が義務づけとなっているが、ドライバー交代やタイヤ交換に対しての制約はない。このあたりをどう落とし込むかも、順位を左右する要素ともなりそうだ。

まして『apr GR SPORT PRIUS GT』は、予選で硬めのタイヤを選んでいたのを、明らかにしただけに。しかし、決勝のスタート進行と併せて行われる、20分のウォームアップはどんよりとした雲が浮かんで、願ったとおりの条件にはあらず。最初に走った中山選手は、1分39秒台を連発するも、一抹の不安が残される。そればかりか、マシンがグリッドに並べられた途端に、大粒の雨が降り始める。各チーム、グリッドにウェットタイヤを持ち込むも……。

だが、どのチームも交換しなかった。雨はすぐやんだからだ。しかも、フォーメイションラップが間もなく始まろうというタイミングでは、最終コーナーの向こうにようやく雲の切れ間が見え始めた。さらに久々に実施された、静岡県警によるパレードランの時には、すっかり上空に青空が広がるまでとなり、願っていた条件が整えられたのだ!気温は27度、路面温度は31度がスタート時の温度。この日差しなら、まだまだ上がり続けるに違いない。

23番手からのスタートだった『apr GR SPORT PRIUS GT』ながら、中山選手はオープニングラップだけで、いきなり19番手に浮上。ちなみに2台がすでに1回目の給油を終えていた。そして中山選手は5周目に早くもピットイン! 予定どおり給油のみ行って、タイヤは交換せず、中山選手はコースに送り出される。前後には同じクラスの車両はおらず、これでマイペースでの周回も可能になった。

ライバルも早めの給油だけを行う中、作戦も決まり中山選手は徐々に順位を上げ、28周目には10番手に浮上。

バトルを繰り返しつつ、8番手まで上がった、ほぼ折り返しの43周目に嵯峨選手と交代する。当初はタイヤ完全無交換も作戦として考慮されていたが、大事を取って4本とも交換。このピット作業中に順位を落としはしたが、まだ最後のピットを終えていないチームも多く、再び嵯峨選手が上がってくる可能性は十分にあった。実際、その時が訪れた66周目に『apr GR SPORT PRIUS GT』は12番手。ポイント圏内も見えてきた。

77周目にはトップを走行していた車両がタイヤトラブルで遅れ、またひとつ順位は上がる。だが、序盤は1分39秒台を連発したラップタイムが、1分40秒に乗せるのが精いっぱい。前は見えているのだが、嵯峨選手はプッシュの利かぬ状態となっていた。

ポイント獲得まで、あとひとつ及ばず、11位には終わったものの、予選から12ポジションのジャンプアップを成功させた。次回のレースも今回同様、450kmレースとして開催され、8月27〜28日に鈴鹿サーキットが舞台とされる。兆しを見せ始めた『apr GR SPORT PRIUS GT』は、まだまだ諦めることなく戦いに挑む。

2022スーパーGT第4戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)
2022スーパーGT第4戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)

嵯峨宏紀選手
「スタート早々にピットインして、ドライバー交代なしで、残りを二等分というのは、最初から決めていた作戦です。最初のうちに入って、GTA-GT300車両は最高速が異常に遅いので、みんなと反対側のクリアな状態で走ったほうがいいんじゃないか、というのはうまくいったと思います。小高選手に来てもらったのに、作戦から乗せてあげられなくて申し訳なかったんですが……。自分のスティントは、最初のうちは良かったんですけど、後半になって路面温度が下がってきたせいかアンダーステアが少し強くなり、ペースを上げられなくなりました。車のバランスも、レース内容も悪くはなかったんですが、もう少しアベレージを上げないと駄目です。ただ、現状でやれることはすべてやりました」

中山友貴選手
「バランスは最後まで、悪くは無かったのですがどうしても特定の区間の差が大きく地味にタイムが伸びなかった。作戦もタイヤも良かったのに、車両の速さが足りなかったです。特にストレートは厳しく1コーナーが遠く感じました。その中でもロングは安定しており、今年のベストセットでした。まだまだ、先のベストがあるはずなのでチームと議論を重ねて後半戦に向け前向きに進めていきたいです。次も450kmレースなので、先ずはポイント獲得を目標にコツコツと前進します」

小高一斗選手
決勝の作戦から、僕は決勝を走れなかったんですけど、課題はたくさんありそうだと感じました。チームと戦うのは次の鈴鹿450kmまでですけど、僕にできることは、ちゃんとマシンのインフォメーションを伝えて少しでも進化に貢献したいと思います。また、鈴鹿に向けて頑張ります」

金曽裕人監督
「タイヤ無交換作戦を狙っていましたが、やはり安全マージンを取りたいという消極的な自分の判断もあり、嵯峨選手の交代時に換えました。しかし、中山選手が履いていたタイヤは残量も問題なく無交換は可能な範囲でした。他車にタイヤトラブルが頻発した450kmレースに於いて、その心配が無く耐久力と安定感においては、ブリヂストンタイヤに勝るものなしでした。正直もう少し前からスタートできて、完全無交換作戦を実行できていれば、もっと上位は狙えたと思います。あとひとつの順位が遠かったな、という感じです。今回、ロングディスタンスに合う状態をつかめたというのは、ひとつの光明で……。それと小高選手を起用したことによって、ものすごくフレッシュな意見も聞くことができました。次戦の鈴鹿も450kmレースなので、ご期待ください」


関連のニュース