更新日: 2024.10.02 22:59
KTMS 2024スーパー耐久第5戦鈴鹿 レースレポート
KTMS
ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第5戦 SUZUKA S耐
2024年9月28日(土)〜29日(日) 鈴鹿サーキット(三重県)
入場者数:9月28日:6,300人 9月29日:7,900人
ペースの良さを活かしトラブルフリーで追い上げ
今季3勝目を連勝で飾りポイントリーダーに
■PRACTICE 特別スポーツ走行/STMO専有走行
9月26日(木)〜27日(金)
天候:曇り/晴れ 路面:ドライ
7月の第3戦オートポリスでは、レース終盤に燃料系のトラブルを抱えながらもチーム一丸となってノーミスで戦い抜き、シーズン2勝目を飾ったKTMS GR YARIS。迎えた第5戦鈴鹿は、その嬉しさも糧に連続優勝を目指して万全な体制で乗り込んだ。
今回は前戦に比べてウエイトハンデが増加したため、この鈴鹿では主にセットアップを変更し、トラブルの原因となった燃料タンクを徹底的にメンテナンス。 今回は一條拳吾、奥本隼士、小林利徠斗の3名のドライバーで9月26日(木)の特別スポーツ走行からレースイークに臨んだ。曇り空となったこの日は決勝でのあらゆる天候と展開を予想し、ユーズドタイヤでライフ確認を兼ねてぞれぞれが周回。2回の走行で一條が合計7周、奥本が合計9周、ツーリングカーでは初めての鈴鹿となる小林は24周を周回。KTMS GR YARISとしては、奥本が記録した2分21秒827がベストタイムとなった。
一夜明けた9月27日(金)、雲があるものの晴天のなか行われた2回の専有走行では、決勝を想定してロングランに専念。1回目では一條が22周、2回目では奥本が23周、小林が12周をこなした。ニュータイヤでもユーズドタイヤでもバランスが良いことを確認したが、タイムとしてはまわりのライバル勢も速さをみせている。
KTMSはあくまで決勝レースを重要視しながら、翌日の公式予選へ準備を進めた。
■QUALIFY 公式予選
9月28日(土)
天候:曇り 路面/ドライ
決勝ペースに手応えを感じていたKTMS GR YARISは、9月28日(土)の午後2時からスタートした公式予選で週末でとなる新品タイヤを使用してアタックに挑んだ。まずは、Aドライバー予選で一條が2分18秒360をマークする。続くBドライバー予選では奥本がデグナーでコースオフする場面もあったが、幸い車両に影響はなく再度アタック。2分08秒058を記録し、合算タイムで#6 ランサーとは0.956秒差の2番手につけた。
チームは予選が“ヤマ場”だったというが、予選の後には「かなり自信を持って挑めた」と一條も語っており、KTMSはしっかりと乗り越えてみせた。Cドライバー予選でも、小林が2分21秒726をマーク。チームにとっても非常にポジティブな予選となり、決勝での手応えとともに、2戦連続優勝に向け決勝に万端の準備を整えることになった。
■RACE 決勝レース
9月29日(日)
天候:曇り 路面/ウエット〜ドライ
迎えた決勝当日の9月29日(日)は朝から厚い雲が垂れ込めていたが、決勝を前に雨が降り出し、ウエットコンディションへと変化。幸い決勝前には天候、路面とも少しずつ回復へと向かったが、午前11時45分に幕を開けた決勝レーススタート時は、まだ水飛沫が上がる状態だった。
KTMS GR YARISは一條がスタートを務め、1周目を完了した時点でAドライバーハンデ。ここから着実に追い上げを図るべくコースに復帰するが、コース上では他クラスの車両のアクシデントにより、FCYが導入されチームにとってやや厳しい展開を強いられる。ただそれに動じることなく一條は落ち着いてマシンを走らせ、少しずつ前を走る#7 ランサーとの距離を詰めていくと、開始1時間ほどでこれを捉えることに成功し、一條はファーストスティントを終えて今度は小林にステアリングを託した。
しかし、ピットアウトした直後タイミングでまたもFCYが導入されることになり、チームとしては好機を逃してしまう。それでも小林は安定したラップで着々と周回を重ね、レース折り返し頃にはついに表彰台圏内にまで順位を戻す。小林は安定したペースで33周を走り切り、自身のスティントを終えた。
続いて乗り込んだのは、予選でも速さをみせた奥本。今回速さをみせたシビック勢のペースには及ばずも、自身のドライブに専念し、燃費走行をしながら周回していく。すると、中盤頃には#95 シビックがアクシデントに見舞われ、残り1時間30分ほどでガレージイン。小林のスティントでは一時的にトップに出る場面もあったが、これにより正真正銘の首位へと浮上する。
ライバル勢のトラブルに助けられた部分もあるものの、ドライバー各々の落ち着いた走りとチームの完璧なピット作業、そして諦めずに走り進めた結果が結びついた。奥本も29周をこなしてピットへ戻ると、最終スティントを一條に託した。その後も、大きなトラブルなく前戦オートポリスに続く2連勝とゴールを目指して淡々と周回を重ねていく。
一條は、レース全体がアクシデントが多いなか、最後まで安定したラップで首位を守り切り、2位となった#72 シビックに24.373秒差のリードを築いた状態でチェッカー! 決勝におけるペースの良さを結果に繋げ、KTMS GR YARISにとって嬉しい連勝、今季3勝目となった。また、オートポリスでのトラブルも徹底的に対処していたことで、今回はトラブルなく走り切ることができた。
KTMS GR YARISはこの勝利でポイントリーダーに上り詰めた。残り2戦に向けても、この鈴鹿での勝利はチャンピオンシップを考えても重要で、終盤戦への好スタートを切ったと言えるだろう。次戦岡山はコーナー数も多く、コース幅が狭いサーキット。こちらも重要な一戦であり、最終戦富士に向けて少しでもポイントを多く稼ぎたいところ。チームは3連勝、今季4勝目、さらに王座奪還に向けてチーム一丸となって準備を進めていく。
■DRIVERS & ENGINEER VOICE ドライバー&エンジニアコメント
一條 拳吾 KENGO ICHIJO
決勝ペースにはかなり自信があり、雨が降り追い風だと思いましたが、意外とライバルのペースが良く苦戦していました。ペースを上げるには燃費もタイヤもきつく、そのなかでできる限りのことをして結果的には#95 シビックのトラブルにも助けられましたが、クルマも最後まで壊れず安定したペースで走れたことが勝因だったと思います。これでポイントリーダーになったので、次の岡山はコーナー数が多くコース幅も狭く有利になるので、この勢いで3連勝を目指して頑張ります。
奥本 隼士 SHUNJI OKUMOTO
連勝は最高ですね。予選でコースアウトがありましたが、チームの皆さんも『攻めた結果で仕方ない』と言ってくださり、クルマも思っていたよりダメージなく、決勝もすごく良いバランスで走ることができました。S耐ならではの特性が違うクルマで、ライバルの皆さんもクリーンにバトルしてくださり、僕自身も経験値が上がりましたし、そのなかで優勝できたのはすごく嬉しいです。取りこぼさなければ結果もついてくると思うので、この後も全部勝つつもりで頑張りたいです。
小林 利徠斗 RIKUTO KOBAYASHI
ロングランのペースの良さは毎戦ありましたが、クルマも重くなりまわりも進化しているので、僕のなかでどれだけ戦えるか不安でした。僕はあまりペースが良くありませんでしたが、一條選手と奥本選手に助けられて、チームとして優勝することができて本当に嬉しいです。また次戦も良いレースができるように頑張りたいです。ウエイトやハンデもありますが、一戦一戦のレースを大切にしたうえで結果的にタイトルも獲れると思っているので、やるべきことに集中していきたいです。
上田 昌宏 MASAHIRO UEDA 神戸トヨペットエンジニア
想定したラップより少し速いペースで周回しながら、ドライバーのみんなもしっかりと燃費も確保して走ってくれたので、この結果に結びつきました。ただ、1回目、2回目のピットのタイミングで、ピットアウトした瞬間にFCYが出たりとチャンスを逃してしまったのは、僕の至らない点だと思うので、次回までに改善していきたいです。次戦の岡山もしっかりと結果を出すことで、最終戦の富士に繋がると思いますし、少し心に余裕を持って最終戦に挑みたいですね。