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F1 ニュース

投稿日: 2024.03.04 12:00
更新日: 2024.03.03 18:45

F1参戦60周年を迎えたホンダの活動と、角田への期待「表彰台に上がれると信じている」/渡辺康治HRC社長インタビュー

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F1 | F1参戦60周年を迎えたホンダの活動と、角田への期待「表彰台に上がれると信じている」/渡辺康治HRC社長インタビュー

 HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長が、2024年のF1世界選手権の開幕戦が行われたバーレーン・インターナショナル・サーキットを訪れた。今年はホンダが初めてF1に参戦してから60年という節目の年であり、渡辺社長はそれを祝うロゴがあしらわれた特別なシャツを着用していた。

 渡辺社長は60周年という記念の年を迎えたことについてや角田裕毅に対する期待、またアストンマーティンにパワーユニット(PU)を供給する2026年に向けて進めている準備について語った。

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──今年は1964年にF1に挑戦したホンダにとって、F1初参戦から60周年となる記念の年です。

渡辺康治HRC社長(以下、渡辺社長):テクニカルパートナーを組む各チームで仕事をしている我々のスタッフは、それぞれのチームのユニホームを着用していますが、それ以外でサーキットを訪れるホンダのスタッフは私が今日着ているホンダのシャツを身につけることになっています。そのシャツに60周年を祝うロゴをあしらっています。このシャツはF1グランプリ以外の今年国内外で開催されるホンダが主催したり、参加するさまざまなイベントでホンダのスタッフが着る予定です。

渡辺康治HRC社長インタビュー
HRCの渡辺社長が着用しているシャツの背面には、ホンダのF1参戦60周年を祝う特別なロゴがあしらわれている

──ホンダにとってのF1活動とは?

渡辺社長:我々の挑戦の象徴であり、ホンダにとって大事な活動です。そのことを我々レース会社のホンダ・レーシングだけでなく、本田技研(工業/本社)も強く思ってくれていることに、我々としても勇気をいただいています。

──渡辺社長も今年で60歳だと聞いています。ホンダのF1活動と同い年ですね。

渡辺社長:私が生まれた年に挑戦を始めたのかと思うと、感慨ひとしおです。その後、ホンダの歴史を勉強し、ホンダを目指し、86年にホンダが初めてコンストラクターズ選手権をウイリアムズとともに勝ち取った後の87年にホンダに入社しました。その自分がホンダのレース活動を行うホンダ・レーシングの社長に就き、いまは60年の重みを感じるとともに、身が引き締まる思いです。

渡辺康治HRC社長インタビュー
2024年F1第1戦バーレーンGP ヘルムート・マルコ(レッドブル モータースポーツコンサルタント)、ローレン・メキース代表(RB)、渡辺康治HRC社長

──2026年に向けてはいかがですか。

渡辺社長:お互いそれぞれの領域の情報を交換しながら、我々はHRC Sakuraでリアル・ビークル・ダイナモの上で、実戦の状況を把握しているという状態です。

──エンジンの開発は単気筒の段階ですか。

渡辺社長:はい、現在は単気筒です。ただ、初期段階のキーとなるのは電動化なので、バッテリーとモーターを集中的に開発しているという状況です。想定している目標、数値に対して、着実に進化しています。

──ヨーロッパの拠点について教えてください。

渡辺社長:基本はイギリスを考えています。現在はHRC Sakuraにパワーユニットを戻してメンテナンスしていますが、今後は前戦基地にメンテナンスをできるような設備を整えて、HRC Sakuraにも戻すことなく、そちらでメンテナンスしていく予定です。

──角田裕毅(RB)の5年目に向けて。

渡辺社長:2025年に向けて(残留するに)は、さらにハードルが上がっていると思います。ただ、(レッドブルとは)2025年まで我々と一緒にやっていくので、(角田が)勝てるドライバーであれば、彼らも当然、乗せたいでしょう。私が定期的にレッドブルと行っているミーティングのなかで言われているのは、『今年の成績次第』。彼らも期待していますし、その期待に応えるためには、私自身の個人的な感想ですが、最低でも表彰台に上がること。もちろん、ミーティングで『表彰台』という言葉は出ていませんが、トップチームへ行くには、それくらいの活躍をしないと行けないと考えていますし、彼ならできると信じています。また、それは本人が何よりも感じていると思います。

──アストンマーティンへ移籍させることは考えていないですか?

渡辺社長:考えていません。私は角田には『ホンダに縛られずにやっていってほしい』と言っています。我々が2026年からアストンマーティンとパートナーを組むからといって、ホンダ育成のドライバーがホンダと一緒にアストンマーティンへ行かなければならないということはありません。大切なことはホンダ育成のドライバーがどのチームであれ、世界のトップで活躍すること。それが一緒のチームだったら、最高だということです。

角田裕毅(RB)
2024年F1第1戦バーレーンGP 角田裕毅(RB)

──岩佐歩夢選手についてはいかがですか。

渡辺社長:スーパーフォーミュラに参戦し、タイトルを目指しながら、ビザ・キャッシュアップRBのシミュレータードライバーをやるということを聞いています。

──リザーブドライバーや金曜日ドライバーになることは?

渡辺社長:いまのところ、私は聞いていません。乗れたらいいし、話があれば、バックアップはしたいです。

──今年はFIA F2とFIA F3にホンダ育成のドライバーがいません。

渡辺社長:今年のフランスのF4に加藤大翔選手が参戦します。現在16歳の加藤選手は、2023年にホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)のフォーミュラクラスを首席で卒業した有望なドライバーなので、期待しています。

──今年のFIA F2にはトヨタの宮田莉朋選手が参戦しています。どのように見ていますか。

渡辺社長:同じ日本人として、頂点を目指す戦いに挑んでいることを応援していますし、日本のモータースポーツ界にとっても大切なことなので、彼の活躍を期待しています。

2024年FIA F2第1戦サクヒールを終えた宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)

──クリスチャン・ホーナー代表の問題を、ホンダはどのように見ていますか。

渡辺社長:まず、我々ホンダには行動規範というものがあり、それに則った形で企業としての倫理観を持って、社員は行動し、コンプライアンスを徹底しながら、株主や関係企業とお付き合いしています。今回の件に関しては、レッドブルから直接説明は受けていません。したがって、我々が知っている情報は報道を通してのものなので、我々にはそれ(レッドブルが第三者機関を通して出した結論)が正しいのかどうか判断できません。ですから、我々が望むのは判断した結果を透明性を持って世の中に伝えるべきだと思っています。また、テクニカルパートナーのホンダ・レーシング(HRC)としては、この問題が早期に解決してくれることを望んでいます。これからミーティングがあるので、我々としてもそのなかでそのことを言うべきだと考えています。

クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)
2024年F1第1戦バーレーンGP クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル/写真右)


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