2017年F1第11戦ハンガリーGPは、ステアリングトラブルを抱えながらセバスチャン・ベッテルが優勝。キミ・ライコネンはメルセデスの攻撃に耐えきり見事2位でフィニッシュした。ニッポンのF1のご意見番、今宮純氏がハンガリーGPを振り返り、その深層に迫る──。
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鉄壁な援護に徹した2位キミ・ライコネンにセバスチャン・ベッテルは感謝。残暑見舞いに彼が好きなウオッカをたくさん贈らねば……。フェラーリ起死回生『83回目の1-2フィニッシュ』、この大量43点は二人で二等分してもいいくらいだ。
メルセデス勢の攻撃に耐えつつすべてのコーナーで全く隙を与えなかったベテラン。その苦しさを訴えるリアルな声がラジオ無線から流れた。勝てるマシンの手ごたえがありながらチームメイトに仕掛ける突撃は慎み、価値ある2位をチームにもたらす。
ハンガリーGP出走15回で表彰台8回(1勝と2位6回)、これはミハエル・シューマッハー以上の最高記録。毎年母国から多くのファンがやってくるのもこの実績があるから。
ピットで見物するフェラーリ首脳陣(会長や顧問)はこの戦いぶりをどう受けとめたか。予選1-2、決勝1-2、イギリスGP“惨敗”を払拭する“完勝”はベテランのチームプレイによるものだった。
それがはっきり分かったのがスタート。おそらくベッテルとライコネンはあらかじめ互いにフォーメーションを決めていたのだろう。
有利なPPからベッテルがダッシュ、そのテールにつきライコネンはスリップストリーム効果を使う。そしてベッテルは理想的な右イン側に振る。ライコネンは逆に左アウト側へ。長い1コーナーまで“ブロックライン”を形成、2列目メルセデス勢を封じ込む。それは成功。
もう一つの狙いもあった。メルセデス勢を封じてしまえば、3列目レッドブル勢がすかさず来るはず。案の定、ダニエル・リカルドはバルテリ・ボッタスを捕らえ、血気盛んなマックス・フェルスタッペンが2コーナーに突進。