2019年F1第12戦ハンガリーGPは、メルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を飾り、初のポールポジションからスタートしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは2位表彰台となった。レース中盤、2ストップ作戦に切り替わったハミルトンは作戦に半信半疑のまま力走を続け、ついにレース終盤にフェルスタッペンをオーバーテイク、見事な逆転劇となった。そんなハンガリーGP決勝を無線とともに振り返る。
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F1第12戦ハンガリーGP決勝でポールシッターのマックス・フェルスタッペンが1コーナーを制した瞬間、レースはレッドブル・ホンダのものになったと直感した人も少なくなかったのではないか。事実、第1スティントはフェルスタッペンの思惑通りにレースは進んだ。
最初の綻びは20周目、1回目のピットストップが近付いてきたところだった。
フェルスタッペン:グリップが少し落ちてきた。
レッドブル:了解。
フェルスタッペン:これまで通りのグリップはもうないよ。
しかし、レッドブルはフェルスタッペンをピットインさせない。後方のフェラーリ勢とのギャップを見て、彼らの前にコース復帰できるようになるまで引っ張りたかったからだ。
フェルスタッペン:大きくグリップを失っているよ!
レッドブル:了解。
そう言ってから2周後の25周目ようやくピットインする。
2番手を走るメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは1回目のピットストップでアンダーカットを狙うのではなく、第1スティントを引っ張ってオーバーカットを狙っていた。
ハミルトン:このペースでOK? やろうと思えばもっと飛ばせるよ。
メルセデス:了解。このタイヤを良い状態にキープし続けよう。
しかし、フェルスタッペンがピットインした翌周、タイヤ交換の準備をしながらもこれを撤回した。
メルセデス:第1スティントを引っ張るよ。いまはまだ(フェルスタッペンの逆転について)アンセーフな状況だ。
ハミルトン:これ以上速くは走れないよ!
オーバーカットが難しいと見ると、メルセデスAMGはさらに引っ張ってフェルスタッペンよりもフレッシュなタイヤで第2スティントに勝負を賭ける戦略を採った。
31周目にピットインしたハミルトンは6周若いタイヤでアタックを仕掛ける。
レッドブル:HAM(ハミルトン)が後ろに来た。タイヤがフレッシュな間にアタックしてくるはずだ。
そこからの猛攻をフェルスタッペンは巧みにしのぎ、38周目にはターン4でサイドバイサイドにまでなったがハミルトンが飛び出してアタックは一時中断となった。
ハミルトン:一体どうしたら良いんだ!?