2021年F1にデビューしたミック・シューマッハーとニキータ・マゼピンは、ともにハースF1チームで初めてのシーズンを送っている。ふたりはどのように学び、つまずき、成長していくのか。キャラクターの異なるふたりのルーキーのデビューシーズンを、英国人ジャーナリスト、クリス・メッドランド氏が観察していく。今回は第2戦エミリア・ロマーニャ編だ。
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イモラのレースが複雑なコンディションの下で行われ、あれほど大混乱の展開になったにもかかわらず、ハースのルーキーがふたりとも完走できたのは驚くべきことだ。最悪の場合、チームは多額の修理費を負担しなければならない状況に陥っただろうが、ふたりはしっかりと貴重な経験を積み、有意義な一日を過ごした。
ジョージ・ラッセルとバルテリ・ボッタスが高速でクラッシュした後、メルセデスのトト・ウォルフ代表は、高額の修理費がかかることを嘆いた。今年はバジェットキャップが定められているため、壊れたパーツの交換に予算を使うと、その分、開発費用を削らなければならないのだ。
ハースにとっては、バジェットキャップは大きな問題にはならない。彼らはリミットぎりぎりで活動しているわけではないため、少なくとも財政規則を気にすることなく修理することができる。しかし、今年、最大限のリソースを2022年型マシンの開発に使おうとしているハースにとって、今季型の修理に費用を回すのはうれしいことではないはずだ。
つまり、ハースのふたりにとって、今年は高額の費用がかかるようなクラッシュを避けることが重要だ。イモラではその点はおそらく許容範囲に収まったし、ふたりのパフォーマンスも心強いものだった。
金曜日は幸先が良いとはいえなかった。バーレーンで悲惨な週末を送ったニキータ・マゼピンはイモラでの挽回を期していたはずだが、FP1序盤にさっそくスピンオフしてしまった。さらに、セッション終了直前には最終コーナーでクラッシュしてマシンをとめた。大きなプレッシャーがかかっていたのだろう。
チーム代表ギュンター・シュタイナーは、FP1とFP2の間に行われたFIA記者会見において、マゼピンはどうすれば苦境から抜け出せるのか、いつごろまでパフォーマンス向上の兆しを待つ覚悟があるか、といった質問を受けた。そういった質問にシュタイナーはうまく対応し、マゼピンの苦戦について興味深い視点で語った。
ロシアの富豪の息子であるマゼピンは、F1デビュー前に、多額の金を積んで最高のマシン、つまり旧型メルセデスで一連のテストを行ってきた。2020年末にソーシャルメディアに投稿した動画が物議をかもすまでは、アブダビテストで最新型メルセデスに乗る予定もあった。それはかなわなかったものの、マゼピンはタイトル獲得マシンで走行経験を積んできたのだ。
もちろんドライバーにとって最速のマシンに乗るのは良い経験だ。だがシュタイナーの考えでは、マゼピンはメルセデスのマシンに慣れてしまい、それほど競争力が高くないハースのマシンを扱うのに苦労しているのだという。そのために彼はマシンに過剰な期待を持ち、行き過ぎてミスを犯す、というわけだ。
チームメイトのミック・シューマッハーは、さまざまなチームでテストを行ってきた。アブダビではハースに乗り、今年のマシンがどういうものなのかをある程度把握してシーズンに臨んだ。そのため、難しいマシンに乗っても比較的うまくコントロールできているのかもしれない。