2021年F1にデビューしたミック・シューマッハーとニキータ・マゼピンは、ともにハースF1チームで初めてのシーズンを送っている。ふたりはどのように学び、つまずき、成長していくのか。キャラクターの異なるふたりのルーキーのデビューシーズンを、英国人ジャーナリスト、クリス・メッドランド氏が観察していく。今回は第7戦フランスGP、第8戦シュタイアーマルクGP、第9戦オーストリアGPの3連戦を振り返る。
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長く厳しいシーズンを最後方で戦うチームにとって、3連戦は楽なものではないが、ハースはいくつかポジティブな要素を得て、3週間を終えた。ルーキーのニキータ・マゼピンとミック・シューマッハーにとっては、さらなる成長のための絶好の機会になったといえよう。
フランスGPの会場ポール・リカールは、ルーキーにとってうってつけのサーキットだ。高速でありながら低速コーナーもあり、広々としたランオフエリアが備わっている。コースオフしても、バリアに衝突する可能性は低いわけだ。
ところがシューマッハーは、予選でクラッシュしてしまった。
金曜はチームにとって非常に励みになる一日となり、シューマッハーは自信を深め、予選Q2進出も可能ではないかと考えていた。シーズン序盤には思いもしなかった、ポジティブな状況だ。だからドロップゾーンすぐ上に位置していた時に、最終ランで少しでもタイムを引き上げようとプッシュした、シューマッハーの気持ちは理解できる。
だが彼はやりすぎてしまった。セクター1の終盤にスピンし、リヤを失ってウォールにヒット、これによって赤旗が提示された。チームは再び多額の修理代を負担しなければならなくなったものの、一方でセッションが早期終了したことで、シューマッハーはQ2に通過した。
「彼はそれまでよりも、あと少しだけプッシュしようとしていた」とチーム代表ギュンター・シュタイナーは説明した。
「実際、我々はかなりいい仕事をしていた。もちろん、ああいうことは望んでいなかったが、起きてしまった。彼はマシンの感触を少しずつ、つかみつつあったのだが」
競争力のないマシンに乗るシューマッハーだが、Q2に進出することを今年の目標のひとつとしていた。ただ、シュタイナーはフランスGPの予選結果をQ2進出として心底喜べるものとは考えていない。
しかしともかくコンポーネントは同等のものと交換され、ギヤボックスにはダメージはなかったため、シューマッハーは予選順位のグリッドから決勝をスタートすることができた。
決勝では20台すべてが完走し、ハースの2人は19位と20位だった。アゼルバイジャン決勝終盤で接触しかけた場面があったが、フランスでのふたりのバトルはクリーンだった。マゼピンは、自分に優れたレーステクニックがあることを、F1で初めて示せたといえるだろう。