長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はベルギーGPでの戦いぶりを振り返る。
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■評価 10/10:伝説に残るレースをしたフェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝1位
スパでのフェルスタッペンはただただ素晴らしかった。予選で後続に大差をつけて最速タイムをマーク、パワーユニット交換のペナルティで14番グリッドからスタートし、セーフティカー出動で序盤、ポジションを上げることができなかったにもかかわらず、8周目にはすでに3番手にいたのだ! そしてさらに10周後にはトップの座を確保し、「今回のマックスは、7列目からでも余裕で勝てるだろう」という皆の予想どおりのレースをしてみせた。
2002年や2004年のミハエル・シューマッハー&フェラーリ、あるいは2013年後半のセバスチャン・ベッテル&レッドブルを思わせる圧倒的な強さであり、伝説的なレースといえるだろう。
■評価 9/10:Q3進出&入賞。ほぼ完璧だったアルボン
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選9番手/決勝10位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選2番手/決勝3位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選5番手/決勝7位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は満点に近い出来だった。予選でチームメイトがQ1で敗退するなか、実力でQ3に進出。決勝ではアグレッシブなタイヤ戦略を採り、早々に最初のピットストップを行い、最終スティントを長めに取った。ラ・スルスでロックアップしたことで、エステバン・オコンに抜かれた。そのミスのせいで満点をつけられなかったが、ほぼ完璧な週末だった。
カルロス・サインツ(フェラーリ)は、チームメイトを上回るパフォーマンスを見せた。それにもかかわらず、マシンに勝つ力がなかったのは、不運としか言いようがない。サインツはこの週末、すべてを完璧にこなし、圧倒的速さを持つレッドブルの1台を破ってポールポジションから決勝をスタートした。
決勝でF1-75はソフトタイヤを履いた時だけはそれなりの速さを発揮したので、サインツは序盤をリードすることができたが、ミディアムとハードではマシンの力が足りず、サインツにできたのは3番手を守り切ることだけだった。賢くタイヤを温存し、終盤、ジョージ・ラッセルに対してうまくディフェンスした。
エステバン・オコン(アルピーヌ)は、リザルトではチームメイトの後ろではあったが、彼にとって今シーズンベストの週末だったといえるだろう。Q3で1回のランで5番手タイムをマーク、その後、チームメイトにトウを与えて助けた。オコンは、予選でレッドブルとフェラーリを除くと最速だったのだ。
パワーユニット交換により16番グリッドからスタートし、最終的に、3番手スタートのチームメイトの2.3秒後ろの7位を獲得した。オコンはスピードが素晴らしかったうえに、ダブルオーバーテイクも披露して、観客を興奮させた。