それもそのはず。Gr.Cがベースでありながらもジャガー特有の美意識に根付いた美しいボディワークはフロント開口部が控えめにデザインされている。高速走行を前提にラジエターへの通過風量が設定されているのだろう。さらに競技車両ではボンネットピンでのイージーアクセスだったであろうリヤカウルも、このロードカー・バージョンでは「あらゆる場所にある数十個のネジ」を外し、数人掛かりでカウルを外さなければ、満足にエンジンを鑑賞することも、冷却水を足すこともできないほどスパルタンな仕上げとなっている。

 ジャガー由来のV12気筒に組み合わされるクラッチは、当時最先端のカーボンディスクを採用。「今の最新レースカーのように小径ディスクではなく、当時のディスクサイズをカーボンに置き換えただけ」というセットは、冷間時のシビアなつながりを要求するのはもちろん、ちょっとした調整の不備で「クラッチが切れずに立ち往生しました」という気難しさも持ち合わせる。それでも──。

「クラッチはワンオフで作成することもできますし、今回はプレートの締結力を調整しただけで状況が改善しました。何より、走らせていて他のスーパースポーツとさえも一線を画すシャシーの剛性感とスタビリティは格別です」とオーナー氏。

「今後はラジエター容量を拡大したいし、イベントなどにも積極的に参加して、多くの方にこのクルマの“走る姿”を見てほしい。あとは……将来的に折り合いがつけば、世界5台のLM仕様が全部日本にあるので、それもほしいな、と」

 乗る側にも、見る側にも、夢を見させてくれる1台である。

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