更新日: 2023.11.14 15:31
豪州の“聖地”でSC乱発。ハフとエルラシェールが同点で最終戦マカオへ/TCRワールドツアー第8戦
豪州大陸で2週連続開催となった新生TCRワールドツアーは第8戦が、そして地元のTCRオーストラリア・シリーズは最終戦となる第7戦が、11月10~12日に“聖地”バサーストで開催され、難攻不落のマウントパノラマはトラブルやアクシデントによるセーフティカー(SC)多発の激しい週末に。
しかし前戦シドニーの雪辱とばかりに世界戦組が奮起し、レギュラー勢ほぼ初体験のトラックで、サンティアゴ・ウルティア(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)、ノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)、そしてヤン・エルラシェール(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)らが勝利を飾る展開に。
これで6位、4位、3位と週末はトラブルを避け「スマートな」勝負に徹したロブ・ハフ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が、エルラシェールと384点の同ポイントで並び、次週の最終戦マカオ“ギア・レース”を迎えることとなった。
前戦シドニー・モータースポーツパークでの勝負を終え、選手権首位ミケリスとハフが1ポイント差で乗り込んできたバサーストの週末は、引き続き地元シリーズの競技規則適用で最大105点の積み増しが可能な3ヒート制となり、チャンピオンシップを考えても重要な天王山に。
長くてパワーを要求されるストレートや、上りと下りのセクション、そして高速コーナーと低速コーナーが混在する“コンクリートウォールに囲まれた山岳路”など、シーズンのこの段階でのミスが真に致命的なものになりうる、シビアな勝負が待ち受ける。
その走り出しで不運に見舞われたのは元ポイントリーダーのエルラシェールで、FP1のアウトラップからエンジンに不調を抱えた新型リンク&コー03 TCRは、FP2に向けエンジン交換を強いられる。また、このラウンドを前に10kgのコンペンセイション・ウエイトを課されたハフのアウディも、豪州大陸輸送中のトラブルでエンジンを損傷。同じく新エンジンへの交換作業を強いられた。
これによりWTCR世界ツーリングカー・カップ“2冠”のエルラシェールは、予選を前に5グリッド降格のペナルティが適用され、一方で2012年のWTCC世界ツーリングカー選手権王者ハフには「不可抗力」としてノーペナルティの裁定が下った。