レース1では雨の中をプライムタイヤでステイアウトして4番手まで浮上したが、オプションに交換したところでタイヤのデグラデーションに苦しむことになった。
「アウトラップにはグリップが感じられて次のラップは良い走りができたと思ったんですけどタイムは全然良くなくて、ちょっとでもプッシュしようとするとリヤのグリップがなくてすごくオーバーステアになって。3~4周目くらいにはもうリヤが全く無くなって全然プッシュできなくなって。それにしても、あんなにタイヤが急に落ちますかね……?」
レース2ではフォーメーションラップでストール。スロットル開度が充分でなく自分のミスだったと認めるが、ピットスタートで首位から約20秒遅れで戦列に加わったものの上位との差はどんどん開いていった。
昨年までレースペースが遅かったアーデンは、今年ダムスからレースエンジニアを獲得したがまだ改善が見られず、さらにデータエンジニアを1名獲得し体制強化を進めている。しかしその効果が表われるのはまだ先になりそうだ。
「序盤はオーバーステアが強すぎてコーナリングスピードを上げられないのでペースを上げられなくて、フロントのグリップが落ちてバランスが取れてくるのを待つしかなかったんですけど、その後もキツかった。ブレーキバランスが表示されなくなってしまったんで全く見えない状態で走っていたし、普通にスタートできていたとしても相当キツかったと思います」
ワンメイクだからといってドライバーの腕だけで平等に競われるわけではない。それがヨーロッパのレースだ。昨年までGP3でチームメイトとして福住が対等に戦っていたジョージ・ラッセルやジャック・エイトキン、アレクサンダー・アルボンらが上位で戦う速さを見せているのと福住が下位に低迷しているのを見れば、ドライバーの能力だけでこの差が付いているわけではないことは明らかだ。
本当にF1を目指しFIA F2の上位で腕を競うのならば、ただ参戦する以前になすべきことがある。シーズンが折り返し地点を迎えようとしている今、いよいよその現実がはっきりと見えてきた。