VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの前身、V8スーパーカー時代の1996年から参戦してきた“古豪”ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)が、2019年限りでVASC参戦を取り止め、シリーズから撤退することを決断した。その背景には、2020年導入予定だった共通フロントサスペンション/アップライトを巡る、オーガナイザー側との見解相違があったとみられている。
10月第3週の金曜を持って、来季2020年のエントリー登録が締め切られたVASCだが、そのリスト内にシリーズを牽引してきた名門チームの名が記されていないことが判明した。
「そう、我々はシーズンエントリーのフランチャイズ(エントリー枠)を更新しないことに決めた」と語るのは、VASCの運営にも携わった経歴を持つチーム代表のギャリー・ロジャース。
「おそらく、この決断に際して人々の胸のうちを想像するに、『あいつらは一体全体、何を考えているんだ』と不思議に思われていることだろう」と続けたロジャース。
「しかし、我々こそ今後のチームのために、今ここで何をすべきか。改めて考える必要があると思ったんだ」
現在、チームのタイトルスポンサーを務めるブーストモバイルと、長年GRMを支援してきた大手オイルブランド、バルボリンの支援で活動を続けてきた彼らだが、ブーストモバイルCEOであるピーター・アダートンは、VASCが2021年に導入を延期した共通フロントサスペンション&アップライトを、1年前倒しで計画どおり実施するようシリーズに強く働きかけてきた。
「もちろんコスト削減も主要な目的だが、グリッド全体で異なるパーツが使用され、それが要因でドライバー力量と異なるレース結果を見続けるのに、うんざりしているのが真実だ」と語ったアダートンCEO。
「もともと、フロントの共通化も当初プランでは2020年導入で進んでいたはずだ。それをスーパーカーのシリーズ運営が2021年まで延期したのが事の発端だ。導入に多くの費用はかからないのに、なぜ遅らせる必要があるのか」