しかし、このヒートで8位に入ったルーカスが続くレース2のリバースポールを確保すると、地元での躍進を誓った若きスター候補生がこの勝機を逃すまいと奮闘。レース終盤にはアントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/マン)がテール・トゥ・ノーズで迫ったものの、冷静に対処したルーカスが12周の攻防を制して、ETRC初勝利を挙げてみせた。
「こうして表彰台の上に立つのは素晴らしい気分だよ! この勝利を祝うべく、僕の周りには家族、友人、多くの知人が一緒にいてくれたんだ。ここで勝つことはたくさんの意味があるし、僕の祖父コニーのためでもあった。彼は(この勝利を)とても誇りに思ってくれると思うよ」
初勝利を挙げた息子が運気をもたらしたか、明けた日曜午前の予選はハーン一家に流れが傾き、ハンガリー出身の“絶対王者”キスは暫定ポールタイムを刻んだものの、スーパーポール・セッションで彼のトラックから黒煙が上がるトラブルが発生。
シリーズ規則に従いすぐさまブラック/オレンジの旗が掲出され、条文の「黒煙を発するトラックはピットに入り、エンジン制御と排気設定を調整する必要がある」との文言をクリアする必要に迫られた。
しかし時間内に技術的課題を解決できなかったレベス・レーシングのマンは、残念ながら予選タイム抹消の憂き目となり、レース3は10番グリッドからのスタートに。この結果、レンツをコンマ2秒上回ったハーンが今季初のポールを手にすることに。
こうして昨日達成された息子の偉業を祝福するべく、すべてのお膳立てを整えた父ヨッヘンは、レンツとのドイツ人対決となったヒートで、バッテリーの不具合にも見舞われたライバルを差し置き独走体制へ。そのままレンツ、アルバセテを突き放したハーンが、2021年ミサノ戦以来となる今季初優勝を飾った。
そして週末最終ヒートのレース4は、この日の予選をパワーステアリングのトラブルで不出走としていたアンダーソンが、前ヒートで最後尾から8位まで猛烈な挽回を見せてリバースポールを獲得する。そのままスタートから首位を守ったイギリス人は、残り3周で4秒あったギャップを猛然と削って来た王者キスを抑え切り、自身2度目の総合優勝を達成。3位にはラッコとの熾烈なサイド・バイ・サイドを制したハルムが入り、週末2度目の表彰台に上がっている。
依然としてスタンディング上で大量リードを築くキスに対し、ハーンが2位浮上を果たして追撃体制に入り、レンツ、ラッコが続くオーダーへと変化した2022年のETRCシーズン。折り返しとなる第5戦は、サマーブレイクを挟んだ9月3~4日にチェコ共和国のアウトドローモ・モストで争われる。


