スーパーフォーミュラ最終戦の搬入日となった6日、鈴鹿サーキットで、チャンピオン獲得の権利を残す石浦宏明、中嶋一貴、アンドレ・ロッテラー、ジョアオ-パオロ・デ・オリベイラの4名が会見に臨んだ。最終戦を控えながらも終始穏やかな雰囲気で展開したこの会見だったが、首位で最終戦を迎える石浦に、追う立場でもあるロッテラーが、冗談ながら“口撃”を仕掛ける場面も。和やかな会見で繰り広げられた、“場外戦”の一部をお届けしよう。
会見では、4名ともにまずは今週末に向けた意気込みを回答していく。その後、チャンピオン経験者の3人の戴冠の際の状況に話が及ぶと、まずは一貴が初戴冠を果たした2012年を振り返り、「鈴鹿に来る時点で自信があまりなく、予選の時点で『終わった』と思っていました。でも、頑張ればいいことがあるかなと思います」と回答。一方、ロッテラーはチャンピオンの重圧を次のように語り、笑いながらも先制ジャブを放つ。
「とてもタフな状況だと思う。プレッシャーだらけでミスも起こすかもしれないし、本当に大変だと思うけど、応援しているよ。心配しないで、僕たちがちゃんとプレッシャーをかけてあげるから(笑)」
また続けて発言したオリベイラも、「プレッシャーを感じた時はお腹をいっぱいにすることだ。レース前に大きなラザニアを食べたらどうかな(笑)?」とラテンのノリで回答。外国人ふたりが波状攻撃を仕掛けていく。
その後、石浦が自らにかかるプレッシャーについて「いつも通りにやれればいけると感じていますが、いつも通りやれるかどうかが勝負なのだろうと思うので、そこは意識していきたいと思っています」と話すと、ロッテラーはすかさず「僕は同点で2回チャンピオンを逃しているからね。気をつけて(笑)!」とチクリ。(※ロッテラーは2004年と13年に同点でタイトルを逃している)
2レース制という普段とは異なるレースフォーマットに話が及んだ際も、「リーダーにとっては大変な週末になると思うよ」とロッテラー。
「ひとつミスをすれば後ろから迫ってくるわけだから、本当に大変だと思う(笑)。僕たちはただポイントを稼ぐだけ。エキサイティングな週末になるんじゃないかな」と、自らの意気込みを語りながら、プレッシャーをかけていた。今週末のチャンピオン争いは実質的には石浦と一貴の“一騎打ち”になると見られているが、冗談まじりながらロッテラーが早くも一貴を援護射撃した形となった。
一方の石浦は、苦笑交じりながらも終始笑って受け流す。早くも“口勢”を仕掛けるトムス陣営を前に、周囲としてはどうしてもプレッシャーの影響を考えてしまうが、石浦自身は週末に向けて冷静な自己分析を披露した。
「立川(祐路)監督とも話していたのですが、何かうまくいかないことがあったら必ず『プレッシャーだ』と言われるのだと思います。でも考えてみれば、もし仮にプレッシャーがまったくなかったとしても、(スーパーフォーミュラは)そんなに簡単なレースではないと思う。チャレンジャーとして、そういう気持ちでやるしかないと思っています。どちらにせよ、そんなに簡単ではないということは、自分が一番よく分かっています」