ポルシェ カレラカップ ジャパン 2009 合同テスト レポート

ポルシェ ジャパン株式会社(本社:東京都目黒区 代表取締役社長:黒坂 登志明)とポルシェ カレラ カップ ジャパン (PCCJ) 委員会主催による、ポルシェ カレラカップ ジャパン 2009年シリーズの合同テストが、鈴鹿サーキット(三重県)にて2009年4月14日(火)、15日(水)に開催されました。

国内外のモータースポーツイベントが軒並み開幕を迎え、すでに本格的なシーズン到来し始めた4月14~15日、鈴鹿サーキットにてPorsche Carrera Cup Japan (以下PCCJ) 2009の合同テストが行われた。昨年と同様、2日間に渡って開催されるこの合同テストは、全4回のセッションでトータル4時間弱の走行時間が設けられており、来たるべくシーズン開幕に向けて、マシンの感触を確かめたり、セッティングの煮詰め作業を行うことができる絶好の機会だ。

2009 シーズンのPCCJは、昨今の厳しい世界情勢にもかかわらず、18台のエントリーが予定されており、そのうち今回のテストディには15台が参加。また今年からGTドライバーとして活躍する影山正美(Masami Kageyama)がアドバイザーに就任し、参加しているカレラカップパイロットらのドライビングレクチャーを行うことになった。そしてゼッケンNo.88をつけたVIPカーは、販売台数世界一を誇るナビゲーションメーカー「GARMIN」のスポンサーが付いており、これをドライブのは新人の若手ドライバー塙 翔(S.Hanawa)。彼がシリーズを通し、カレラカップパイロットして成長していく新人育成プログラムとしての役目も担っている。

また新たに09モデルが3台増えたことにより、08&09モデルおよびプロフェッショナルドライバーで争われるクラスAと、それ以前のモデルで、トップアマチュアドライバーにより争われるクラスBの、昨年同様2クラス制を採用するものの、各クラスの台数に差がなくなったため、賞典に関しての区別がなくなったのも新しいニュースだ。さらに新レギュレーションとして、参戦しているチームに対してもポイントが与えられる、チーム賞も設定。こちらは1チーム2台まで登録することができ、ドライバーズポイント同様、シリーズタイトルが争われることになった。

今回の合同テストが行われた鈴鹿サーキットは、来る10 月に開催されるF1日本グランプリに向けて、パドックやピット周りの改修が行われており、また東コースの路面も再舗装されるなど、装いも新たに生まれ変わっている。そこでのテストプログラムは、まず簡単なオリエンテーションから始まり、コックピット内の計器類やシーケンシャルトランスミッションの操作方法、データロガー等を解説するコックピットドリル、その後いよいよ約45分の1回目の走行セッションというように進んでいった。

しかしながら初日の天候は朝からあいにくの雨。路面もところどころに水溜りがあるウエット状態であったため、全車がレインタイヤを装着しコースインしていく。ここでは各車とも様子見の走行だったようだが、セッション半ばあたりの時間帯に、デグナーカーブと最終コーナーで1台ずつがコースアウトし、赤旗中断。これらのマシン回収に時間がかかったため、残り3分でセッションは再開されるも、各車タイムアップはならず、結局#55水谷晃(A.Mizutani)(B)が2周目にマークした 2'34.272がベストタイムとなった。

続く15時すぎから60分間で行われた2回目の走行では、雨はさらに強さを増し、コース上には小さな川まで流れるほどの路面状況となってしまう。そのためセッション前半では多くのマシンがタイムアップを果たすことができず仕舞い。その後やや雨脚が弱まり、路面コンディションも若干回復の兆しが見え始めると、各車とも徐々にペースを上げ始めた。ここでは昨年クラスAシリーズ3位の#8清水康弘(Y.Shimizu)が、開始30分を過ぎたあたりで2分30秒をきるタイムをマークしトップ。しかし残り20分ほどとなったところで一瞬雨が強まると、1コーナーで#88塙(S.Hanawa)(A)がコースアウト。この処理に時間が掛かったため、セッションはこのまま赤旗終了となってしまった。

こうしていきなりのウエットコンディションで始まった合同テスト初日は、2度の赤旗中断となってしまうなど、カレラカップパイロットたちを大いに苦しめたようだ。また走行終了後にはパイロットらを集めて、アドバイザーである影山正美のオフィシャルドライビングレクチャーが開催された。ここではタイヤの使い方や、自らのインカー映像をもとに具体的なドライビングテクニックについて、様々なアドバイスを行ってくれた。そして当日夜には、ホテルでシーズン・インを告げるキックオフパーティが催され、チーム関係者やパイロットどうしはもちろん、主催者とも交流する場が設けられた。

明けて翌日、前日の悪天候が嘘のように晴れ上がった2日目は、参加パイロットとマシンの集合撮影が行われた。この日は天候の良さも幸いしたのだろう、午前10時からの3回目の走行では、開始と同時にすべてのマシンがコースイン。各々のチームが積極的にマシンのセットアップおよびタイムアップに励む姿が見受けられた。気温17度、路面温度24度とまずまずのコンディションとなったこのセッションは、昨日に引き続き好調な#8清水(A)が常にタイミングモニターのトップに居座り続け、また上位には新規参戦となる#92中村嘉宏(Y.Nakamura)(A)、そしてクラスBながら健闘を見せるマイケル・キム(B)が入るなど、非常に興味深い展開。結局トップは#8清水が奪取。14周目にマークした2'09.462がトップタイムとなり、セッションは終了した。

そして最後の走行となる4回目のセッションでは、テストの総括として、多くのパイロットがニュータイヤでタイムアタックに励んでおり、時折ピットは予選さながら緊迫した雰囲気に包まれていた。1時間15分の走行時間が与えられたこのセッションでは、気温19度、路面温度36度と絶好のコンディション。それゆえかほとんどのドライバーが全体を通してのベストタイムを記録していたが、そのなかでもめざましいタイムアップを遂げたのはクラスBトップタイムを記録した#55水谷(A.Mizutani)(B)だ。シーズンオフから走り込みを続け、トレーニングとともに自らを追い込む意味で、ランニングも始めたという#55水谷(B)は、「スピンもしましたけど、午前中にいろいろ試してみたのが良かったみたいですね。それとニュータイヤの使い方がバッチリ掴めました、今シーズンはひそかにクラスチャンピオンを狙いたいと思います」と、大いに自信をつけた模様。また相変わらず好調な#8清水(A)、さらにタイムを縮める2'08.626をマーク。これは昨年ほぼ同時期に開催された開幕戦で自身が記録したポールタイムを2秒以上も上回るタイムで、文句なしのコースレコードだ。「今回は非常に満足のいくテストでした。タイムが良かったのは路面とタイヤ、それと腕が上がったのかな(笑)。昨年惜しいかたちでチャンピオンを逃しているので、今年は全勝するつもりで臨みますよ」と#8清水は、すでに気合十分のようだ。

2009年シーズンのPCCJは、クラスA、Bとも昨年上位2名のパイロットが別カテゴリーにステップアップを果たすなどで参戦していないため、事実上シリーズ3位だったパイロットがチャンピオン候補の筆頭に挙げられるといっていいだろう。そのうちクラスAでは今回トップタイムをマークした#8清水(A)だが、クラスBでは#5高見沢一吉(K.Takamizawa)(B)が有力株だ。「終わってみないとわかんないですよ。今回テストに参加してようやくレースモードになってきた感じですかね。今日で大体感触は掴めたけれども…」と余裕なのか、終始マイペースなコメントの#5高見沢(B)であった。

こうして全15名のカレラカップパイロットが参加した、2日間のテストセッションは終了。全9戦で争われる2009年シーズンの開幕戦は約1週間後の4月 25~26日、岡山国際サーキットで開催される。今回のテストで好調なパイロットがそのまま勢いを持続するのか?それとも新たな伏兵が現れるのか?昨年に続きダブルヘッダー大会となる第1戦、2戦を制するのは果たしてどのパイロットになるのか、大いに注目したい。
 

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