ポルシェ カレラカップ ジャパン 2009 第1戦/第2戦 (岡山) レースレポート

ポルシェ ジャパン株式会社(本社:東京都目黒区 代表取締役社長:黒坂 登志明)とポルシェ カレラ カップ ジャパン (PCCJ) 委員会は、ポルシェ カレラカップ ジャパン 2009年シリーズ 第1戦/第2戦を、2009年4月25日(土)、26日(日) 岡山国際サーキット(岡山県)にて開催いたしました。

■公式予選 [4月25日(土)]
天候:雨 気温:14℃ 路面温度:16℃

本格的なレジャーシーズンとなる、ゴールデンウィークに突入した4月25日、ポルシェ カレラカップ ジャパン(以下PCCJ)2009シリーズの開幕戦が行われた。新たなシーズンを迎えたPCCJ最初の舞台は、昨年の鈴鹿サーキットから、ここ岡山国際サーキットへと移し、初戦から1大会2レースのダブルヘッダー、全16台の911GT3Cupによって熱戦の火蓋が切って落とされる。

レースウィークの初日、金曜日の練習走行では初夏を思わせるような暖かい陽気であったものの、予選当日には天候が一転し、朝から雨が降り続いている。さらにコース状況も、ヘアピンへと続く高速コーナーに、ところどころに川が流れるほどで、シビアなドライビングが要求される難しいコンディションだ。そんななか、定刻どおりの10時から始まった予選では、#55水谷晃(B)を先頭に、コースインした16台全車がレインタイヤを装着、30分間のタイムアタックに臨むこととなった。

気温14℃、路面温度は16℃と肌寒く、低めの路面温度となった予選セッションは、コースインラップの翌周、計測開始となったラップに、#6中山良明(A)がすぐさま1'55.731のトップタイムをマークする。しかし1コーナー先の高速ウイリアムズコーナーで、1台のマシンがコースアウト、他のマシンもスピンするなど、現場が混乱したことにより、多くのマシンがタイムアタックを休止してしまう。そしてコースクリアとなった後、再アタックを開始するが、#6中山(A)のタイムを上回るどころか2分を切るのがやっと、といった状況だ。また#6中山(A)も、自身のタイムを上回ることができず、セッション半ばまでトップタイムは更新されずじまい。こうしてタイミングモニターの最上位には、#6が刻まれ続けることになった。

そんなこう着状態を破ったのは、昨シーズン、クラスAランキング3位の#8清水康弘(A)だ。前日の練習走行でもトップタイムを刻んでいた#8清水(A)は、残り時間が10分ほどになったところで、1'54.309をマークし、トップに躍り出る。そのころになると、やや雨が弱まったことも幸いし、他のカレラカップパイトッロたちも軒並みベストタイムを更新し始めた。そして残り時間も僅かとなったセッション終了間際、今シーズンからPCCJ初参戦の#92中村嘉宏(A)が、#8清水(A)を上回る1'53.471のマークし、その座を奪い取る。

このままポールポジション獲得かと思われたが、その背後からアタックに入っていた#8清水(A)が、すぐさまこのタイムを塗り替えるとともに、続く最終のアタックラップで1秒以上も突き放す1'52.303を記録。この瞬間、2009年のPCCJ開幕戦のポールポジションが#8清水(A)に決定した。#8清水(A)は、「雨が強まったり弱まったりするごとに、路面のグリップが変化していたので、とても難しいコンディションでした。決勝もウエットでしょうから、とにかくスタートを決めて前に出ることが重要ですね」とコメント。決勝に向けて気を引き締めていた。

またクラスBでは、セッション序盤にスピンを喫したものの、その後は順当にタイムを刻んでいた#16マイケル・キム(B)が、自身初となるトップタイムをマーク。#16マイケルは「コースはかなり危険な状況だったね。でも何とかタイムを出せたよ」と、嬉しさを内に秘めた様子だ。そして2位には「アタックを失敗しました」という#55水谷(B)が入った。

こうして、いきなりの雨に見舞われた開幕戦の予選であったが、難しいコンディションであったにも関わらず、出場した全車が無事決勝グリッドに着くことになった。予報では雨は止むものの、予選同様ウエットコンディションでの戦いが繰り広げられるであろう決勝レースは、この後13時40分からスタートする。記念すべきオープニングレースを制するのはどのパイロットなのか?クライマックスへ向けての緊張感が高まってきた――。

■第1戦 決勝 [4月25日(土)]
天候:雨 気温:15℃ 路面温度:20℃

待ちに待ったポルシェ カレラカップ ジャパン(以下PCCJ)2009シリーズの開幕戦、その決勝レースが4月25日、岡山国際サーキットでいよいよ始まった。午前中の予選時より雨は小降りになったものの、路面は相変わらずウエットコンディションのまま。スタート前のダミーグリッド上には、ポールポジションを獲得した#8清水康弘(A)の光り輝くオレンジのマシンを筆頭に、色とりどりのカラーリングが施された15台の911GT3Cupが並び、華やかな雰囲気を醸し出している。

予定時刻よりもやや遅れた13時40分過ぎ、グリーンフラッグが振られフォーメーションラップが開始。いよいよ2009年PCCJ最初のレースに向けて気持ちが高まる。そして再びグリッド上に帰ってきたマシンは、レッドシグナルがブラックアウトされた後、轟音を響かせながらスタートを切った。そんな緊張が最高潮を迎えたそのスタートシーンでは、ポールポジションの#8清水(A)が絶好の動き出しを決める。また後方では4番グリッドの#6中山良明が失速。後続のマシンに次々とかわされ、最後尾まで順位を落としてしまった。

注目の第1コーナーで、ホールショットを決めたのは#8清水だ。そしてやや離れて3番グリッドからポジションをひとつ上げた#13吉田基良、#92中村嘉宏、そして新人若手育成プログラムにより参戦を果たした#88塙翔(A)の順で進入していく。ここではアクシデントもなく、全車がクリアスタート。15周による熱い戦いが始まることとなった。

予選でも2位#92中村(A)に1秒以上の大差をつけていた#8清水は、その速さをすぐさま発揮し、オープニングラップを終了した時点で早くも4秒弱のマージンを築いていく。そして3周目にはこの日のファステストラップとなる、1'52.816をマークしながら、早々と逃げ切り体制に持ち込む勢いだ。また1コーナーを2位で通過した#13吉田だったが、ダブルヘアピンでオーバーランしてしまい、5番手まで順位を落としてしまった。

レースのほうは、6周目までトップ#8清水(A)を先頭に、#92中村(A)、#88塙(A)、#16マイケル・キム(B)、#13吉田(A)、#55水谷晃(B)というポジションで進行していくが、後方から激しい追い上げを見せ毎周にわたって順位をアップしているマシンがいた。スタートを大失敗してしまった#6中山(A)だ。#6中山(A)は、9周目には6番手までポジションを回復し、3番手のベストタイムも記録するなど、気迫あふれる走りを披露、最終的には5位を獲得するに至った。

その後トップを快走する#8清水(A)は、2週間前に行われたオフィシャル合同テストでの勢いをそのままキープするかのような磐石の走りを見せつつ、#92中村(A)に9秒ほどの差をつけトップでフィニッシュ。嬉しい開幕戦ウィナーの称号を得た。「はたから見ると楽に感じたかもしれませんが、毎周マシンと格闘していましたよ。地元岡山での初優勝と、PCCJ初のポールトゥウィンを実現できて、とても嬉しいです。このまま全勝するつもりで次も行きます」と、#8清水(A)。また2位#92中村(A)は、「PCCJ初レースで2位はまずまずの結果でしょうが、自分的には全然満足していません。明日のレースは“打倒!清水”で頑張ります」と気合十分だ。3位に入った#88塙(A)は、最初の3周でプッシュして、何とか上位のポジションをキープしようと必死に走りました。とりあえず表彰台に乗れて良かったです」とホッとした表情を浮かべていた。

またクラスBでは、#16マイケル(B)が多少のミスをもろともせず、終始攻めの走りで見事初優勝を決めた。「スタートはいつも悪かったんですけど、今日はうまくできました。後半はクルマが滑りやすくてドライビングが難しかった。何とか無事にフィニッシュできて良かったです」と、#16マイケル(B)。2位には#8清水(A)同様、テストから好調の#55水谷(B)が入ったが「今日はボロボロでした。マシンは問題なかったんですけど、スタートして5周くらいしたら、集中力が切れてきてしまって・・・。1周のタイムではいいところにいっているんですけど、これからはレースをどうまとめるかが課題ですね」と、本人は自分自身に不満げな様子だ。また3位に#54天本昌呉(B)が入ったことで、ディレクション・チームは1~3位を独占する嬉しい結果となった。

開幕から雨のレースとなってしまい、各所でコースアウトするシーンが見られたものの、大きなアクシデントに見舞われることなく終了した2009シーズンのPCCJ第1戦。翌26日11時から行われる第2戦も、ウエットコンディションでのレースが予想されているが、クラスA、Bともアタマひとつ抜け出したかたちの#8清水(A)と#16マイケルが連勝を決めるのか?それともそれに待ったをかけるパイロットが現れるのか?と興味は尽きない。いずれにしても素晴らしいバトルが見られることを、大いに期待したいものだ。

■第2戦 決勝 [4月26日(日)]
天候:雨 気温:12℃ 路面温度:19℃

幸いにも前日の雨の天気予報が外れ、空からは日差しが差し込めるなか、ポルシェ カレラカップ ジャパン(以下PCCJ)2009シリーズの第2戦が、岡山国際サーキットで開催された。晴れてはいるものの、つい1時間ほど前までは雨が降っていたため、気温・路面温度ともやや低めのコンディション。しかしながら路面はほぼドライへと変化していたこともあり、ダミーグリッド上のマシンは全車がスリックタイヤを装着、11時のスタート時刻を待つこととなった。

ダブルヘッダー大会となる今回の開幕ラウンドでは、第2戦の決勝グリッドが前日のレースにおける順位ではなく、ファステストラップによって決定される。そのためポールポジションは第1戦ウィナーの#8清水康弘(A)、2番手には同じく2位の#92中村嘉宏(A)が獲得しているが、3番手はスタートのミスから6番手まで順位を挽回した#6中山良明(A)が並んでおり、その顔ぶれは少々異なっていた。

そして11時過ぎ、いよいよ2009年PCCJ第2戦のスタートが切られた。ここでは前戦のミスで順位を落とした#6中山(A)が、あろうことか再びスタートをミス。またしても下位に沈んでしまう。一方他の上位陣は、ポールポジションの#8清水(A)をはじめ、#92中村(A)、#13吉田基良(A)、#88塙翔(A)、#16マイケル・キム(B)、#55水谷晃(B)の順で1コーナーを順当にクリアしていったかのように見えた。ところが2番手の#92中村(A)は、レッドシグナルがブラックアウトするよりも一瞬早く動き始めてしまったようで、オープニングラップですぐさまジャンプスタートの判定が下され、ドライビングスルーペナルティを受けてしまう。

打倒清水に燃えていた#92中村(A)であったが、そんな前向きな気持ちがやや裏目に出てしまったのだろうか。実際ペナルティでピットインするまでの数周は、#8清水(A)に肉薄する走りを見せていたので、なおさら悔やまれることであろう。このペナルティにより、3 周目を終えた時点で、#8清水(A)はすでに2番手の#13吉田に6秒もの差をつけて独走状態を築き始めた。とはいえ2番手#13吉田(A)と3番手の#88塙(A)の1秒ほどの差で2位争いを、またそこから少し離れて4番手の#16マイケル(B)以降、10番手の#6中山(A)まで7台のマシンが、タイム差1秒以内でひしめき合うなど、ワンメイクレースらしい激しいポジション争いを展開していた。

レースも中盤を迎えたころ、トップは相変わらず#8清水(A)が、後続と10秒以上の差を広げ単独走行を続けていたが、3番手以降に変化がおとずれた。8番グリッドからスタートした#9小林賢二が徐々に順位を上げ、ついにはペースの上がらない#88塙(A)をヘアピンの立ち上がりでパス、3位までポジションアップに成功。2番手#13吉田(A)の背後を脅かすまでの走りを見せたのだ。「クルマを壊してもいいから気持ちで負けるな、と坂東監督にゲキを飛ばされたのが効きました。ここは苦手なコースだったんですが、何とか前に喰らいついていけるように頑張りましたよ」と、#9小林(A)は興奮気味に語っていた。

そして終盤、レースはさらなる盛り上がりを見せる。今回もスタートで大きく出遅れた#6中山(A)が、3番手#9小林の後ろにピッタリとつき、#13吉田(A)と3台による3位争いを展開。3車は1秒以内の間隔で、ワンミスで順位を入れ替えてしまうような息詰まる戦いだ。また少し離れたところでは、ずるずると順位を落としてきた#88塙(A)を先頭に#16マイケル(B)、そしてドライブスルーペナルティーを受けた#92中村(A)と#55水谷晃(B)、これに#5高見沢一吉(B)と#2桜井澄夫(B)が加わり、クラスA、Bが入り乱れてのバトルが繰り広げられたのだ。

こうしてコースの各所で熱いバトルが展開されたPCCJ第2戦は、クラスAでは2位に24秒以上も差をつける独走で#8清水が優勝。#8清水は「スタート直後、中村さんがピッタリと後ろについてきたのには焦りました。今回は昨年のチャンピオンの都築晶裕さんも着ていたのでいいレースが出来てよかったです」と磐石の走り。2位の#13吉田(A)は「後半タイヤが辛かったけど何とか逃げ切れました。清水さんには離されすぎですね。次はもっと頑張ります」と嬉しさも半分といった感じであった。

そしてクラスBでも、第1戦に続いて#16マイケル(B)が勝利を挙げた。「スタートからポジションをキープしつつ水谷さんとバトルできました。その後は彼が徐々に離れていったので、そのままフィニッシュできた感じですね。」と、#16マイケル(B)。前戦に引き続き2位を獲得した#55水谷は「今回はいいモチベーションで走れたんですが、途中でスロットルにトラブルが出て、ペースアップが難しかったです」と、やや悔しげな表情だ。また3位の#5高見沢は「ここまで4位、3位ときているので次は2位かな(笑)。今回はニュータイヤで初めて走って、そのフィーリングがすごく良かった。うまく走れたね」と、次のレースに向けて気合が入っていた。

結果的にクラスA、クラスBとも#8清水(A)、#16マイケル(B)の連勝となった2009年のPCCJ開幕ラウンド。このまま彼らの独壇場となってしまうのか?またその後に続くグループでは目まぐるしく順位が変わるなど予想ができない展開など見所も多い。次の第3戦はゴールデンウィーク明けにスポーツランド菅生で開催される。

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