2009年SUPER GT 開幕戦
「KRAFT SC430初陣で手堅くポイントゲット!」

 ファン待望のスーパーGT開幕戦。モータースポーツシーズン本格到来を告げるこのレース。ここ数年開幕戦の舞台となって来た鈴鹿サーキットに代わり、2005年以来、久々に開幕戦の舞台となったのは岡山県の「岡山国際サーキット」めっきりと春らしい柔らかな日差しに包まれた岡山国際サーキットは、桜の開花宣言もすぐそこへと迫り、まさに春晴れといった好天の中迎えた土曜日。

 今シーズンから装いも新たに「LEXUS TEAM KRAFT」となったチームは、ドライバーにトヨタ自動車が「トヨタヤングドライバーズプログラムT.D.P.」で育成する石浦宏明(いしうらひろあき)、大嶋和也(おおしまかずや)というフレッシュな若手コンビを起用、2009年度スーパーGTレギュレーションへ完全に合致したLEXUSの新車「KRAFT SC430」でシーズンを戦って行く。

 石浦&大嶋のコンビは、2007年度にトヨタMR-SでGT300クラスのチャンピオンを獲得した時のコンビでもあり、ドライバー2人の息はピッタリ! マシンの方もシェイクダウンから順調にテストメニューを消化し、久々の開幕戦となる岡山対策もバッチリ!

 今シーズン、メディアパートナーとして「LEXUS TEAM KRAFT」の活動を様々な形でご紹介して頂く事となった自動車専門誌「Daytona」と、チームを長年支援し続けて頂いている、株式会社バンダイが展開するアパレルブランド「Real B Voice」さんのコラボカラーを纏ったマシンで開幕戦から優勝を狙う展開。

 様々なレギュレーション変更等が導入される今シーズンだが、最も大きなトピックスはレースが2Day開催となった事。これまでは木曜日にサーキットへ入り、金曜日にフリー走行、土曜日予選、日曜日決勝という3Dayの流れであったが、2Dayへ短縮された結果、チームは金曜の午前中にサーキットへと到着、慣れないスケジュールから慌ただしく設営を開始、土曜日の公式練習へ向け準備を開始した。

公式練習
3月21日(土)9:00~11:00
 午前9時。2Day展開初の走行となる公式練習は、ファンにとって約4カ月ぶりとなるGTカーのエキゾーストノートと共に開始。

 既にこのサーキットで2回のテストを消化してる「KRAFT SC430」は、セッション開始と同時に石浦のドライブによりコースイン!4Lap程タイヤを温めた所で軽く総合4番のタイムを記録し、まずまずのポジションとした所で細かなセッティングを行うため、ピットイン&アウトを繰り返し更にマシンを微調整。90分間のMIXセッション後半は大嶋へとドライバー交代し、ロングランも行いMIXセッションの走行を終了。

 その後クラス別走行時間帯で石浦が予選想定のアタックを行い、引っ掛かりながらも総合5番手とした所で公開練習を終了。予選に向けかなり手応えの感じられる公開練習となった。

公式予選13:15~14:05
スーパーラップ14:45~
 まだ……2Day展開に慣れていない事もあり、メカニック達は昼食もままならないといった、慌ただしい雰囲気の中迎えた公式予選。

 クラス別のアタック前に行われる30分間のMIXセッションで、最後のマシンセットの確認と、大嶋の基準タイムクリアを行う為、このセッションは大嶋のドライブでコースイン!ユーズドタイヤを履いた大嶋は危なげない走りでLap毎にタイムを上げ、悠々と基準タイムをクリアするとピットへ帰還。セッション残り15分、今度は予選へ向け最後の確認ラップの為、石浦がコースイン!予選へ向け納得の行くセットを見つけ走行を終了した。迎えたクラス別の走行時間帯、実質的な予選となるこのセッション、開始3分程した所でニュータイヤを装着した石浦が満を持してコースイン!

 慎重にタイヤに熱を入れ迎えたアタックラップ、セクター毎に自己ベストを更新し、この時点で総合4番手のタイムを記録。その後もタイムを上回る車が現れず、見事総合4番手で今年最初のスーパーラップへ進出を決めた。

 そして……いよいよ迎えたスーパーラップ。総合4番手でスーパーラップ進出を決めた石浦は、更なるポジションアップを狙いコンセントレーションを高めコースイン!ここまで4台のマシンがアタックを終えてるが、タイミングモニター上の石浦のタイムは全てセクターベストを示す赤文字表示!結果、この時点で石浦が暫定トップに!その後3台のマシンがアタックを行い、唯一同じSCを使う#38に惜しくも上回られるものの、見事にフロントロー(2番手)を獲得!

 記念すべき開幕戦、SC勢が1位、2位を独占する幸先の良い予選となった。

フリー走行
3月22日(日)9:20~9:50
 迎えた決勝日、前日の晴天が嘘のように岡山の空は朝から雨模様。夜半から降り続いた雨はフリー走行前にかろうじて止んだものの、路面は完全なウェット状態。

 ウェット宣言のもと、まずはスタートドライバーを務める大嶋がコースイン。路面状況、マシンセットを確認しつつ慎重に周回を重ね、5番手のタイムを記録した所で石浦へとドライバー交代。

 残り15分、石浦もマシンの状態を確認しつつチェックラップを重ね、雨の決勝を想定したウェットタイヤの皮むき等も行いプログラム通りに走行を終了。不安定な天候だが……マシンは相変わらず好調で、決勝での快走に期待を繋ぐフリー走行となった。

決勝レース(82Laps)14:00スタート
 いよいよ迎えた2009年度のスーパーGT 第1戦。お昼を境に一旦は雨脚が弱まりそのまま止むかと思われたが、岡山の神様はドラマチックなレースを望んだのか?まるでスタート時刻に合わせるかのように再び雨脚が強まり、各マシンがスターティンググリッドを目指す頃にはかなりの激しい雨が路面を叩く。

 各チーム共にグリッドまでいくつかのタイヤセットを持ち込み、ギリギリまで空を見つめながらタイヤ選択を行う非常に難しいコンディション。快方に向かうと読むか?雨脚が強まると読むか?ここで「KRAFT SC430」は「雨は止まない」と読み、深溝と呼ばれるレインタイヤをチョイス!定刻の14時、、ウェット宣言が出されたレースは雨脚が強まった事もありセーフティーカー先導による「SCタート」と決定。2周に渡るセーフティーカーランの後、各車一斉にスタート!

 スタート直後の1コーナーでは中団グループによる接触があったものの、フロントローからスタートしている大嶋は何の影響を受ける事無く無事にスタート。

 3周目、ピット前を通過する大嶋は4位で通過となるが、GT500デビュー戦となる大嶋は「スタート直後は順位を気にせず落ち着いて」の指示通りクレバーなドライブで徐々に自分のペースを作る展開。

 その後も雨脚は変わらず非常に厳しいコンディションの中、大嶋にとっては緊張を強いられるドライブが続き、6周目に5位、8周目に6位と順位を下げるが、9周目にはポールからスタートした#38を捉え再び順位を5位へと戻すなど……500デビュー戦とは思えない落ち着いた走りで周回を続ける。
 10周を過ぎたあたりから更に雨脚は強まり、さすがの大嶋も500では経験のない未知の領域となり、思うようにペースを上げる事は出来ないが、なんとかポジションをキープしつつ34周目、順位を4位とした所で石浦へとドライバー交代!クルーの迅速な作業によりコースへ戻った「KRAFT SC430」、まだルーティンを終えていない車両もいるものの40周目、石浦の順位は8位。トップと遜色のないタイムで前車を追走する体制となったが・・なんと10秒ストップペナルティの表示が!ドライバー交代の直前、大嶋がイエロー区間で追い越しをしてしまったという事で、41周目、石浦はペナルティエリアへ・・長く感じられる10秒間のストップの後、石浦は気持ちが折れる事も無く前車を追走すべくコースへと復帰!

 コース状況は相変わらず厳しい状況だが、石浦はミスなくコンスタントに周回を重ねチャンスを伺う展開。テールtoノーズまで持ち込むものの、ラインを外す事が出来ない状況で、簡単には追い抜く事も出来ず8位キープの状態となるが、58周目、遅めにタイヤ交換を行った#38がGT300のマシンをうまく使い石浦をオーバーテイク。70周を過ぎたあたりから石浦も前を行く#100のテールに付けポジションアップを狙うが、82周目、トップを行く#24がチェッカーを受け「KRAFT SC430」は9位完走、ポイントゲットで開幕戦のレースを終える事となった。

大澤尚輔監督
 若い2人のコンビにとっては「ほろ苦デビュー」と言う所でしょうか?練習~予選までは良い流れでマシンも結構高い次元に持ってこれたのですが……天候が予想以上に悪化して、この雨ではちょっとキツイ部分もあったかも知れません。なんとかポイントも取れましたし、マシンの状態も非常に良いので次の鈴鹿には期待してますが、余計なペナルティも貰ってしまいましたので、このあたりはもっとドライバーに頑張って貰わないといけませんね?戦闘力の確認という意味では非常に良いレースになりました。

石浦宏明
予選はセッティングで少し悩みましたが、変更がうまく当たった結果非常に良いタイムが出て自分では満足の行くものでした。決勝は……朝のウォームアップ迄は良い感じだったのですが・・雨の量が多くなりすぎたのか?決勝はリアのトラクションが掛からずに結構苦労しました。ドライでの速さはかなり上の方だと思いますので、今後はレインの走り方、クルマの作り方をもっと勉強していかなくては・・と反省してます。次の鈴鹿でまた良い走りが出来るよう頑張ります。

大嶋和也
予選で石浦選手が頑張ってくれたので、僕は2位からスタートとなったのですが、朝のフリー走行の時とは路面の状態が随分と違っていて、思ったようにタイムを上げる事が出来ませんでした。難しいコンディションの中、なんとか自分のスティントを走り切れたという事は良い経験になったと思いますが……順位を落としてしまったという部分では自分に不満が残り反省してます。なんとかポイントも取れましたし、テストからマシンの状態は非常に良いので、次の鈴鹿は納得のいくレースをしたいと思います。

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