2009 SUPER GT 第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」(3/21~22)
岡山国際サーキット(1周3.703km)
観客動員:予選10,500名、決勝23,000名 合計73,600名
3月22日(日)、開幕戦となる2009 SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝が行われ、最後尾からスタートしたDUNLOP SARD SC430は、途中一時11位まで順位を上げたが71周目にメカニカルトラブル発生により緊急ピットイン。時間内に修復不可能なトラブルと判明し戦列復帰とはならずに15位完走扱いとなった。
■公式練習走行
LEXUS TEAM SARDとチーム名称変更し、アンドレ・クートに加え平手晃平を擁して新体制で臨む2009年。開幕前のテストでは様々なデータを取得。これまでのテストの集約を見せる最初のレースとなる第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が岡山国際サーキットで始まった。今季並々ならぬ決意で臨むチームの意気込みは強い。開幕スタートダッシュを決めて、少なくとも今季1勝を挙げることが第1の目標である。カラーリングやレーシングスーツも一新され、LEXUSのロゴとともに、より力強い印象の出で立ちとなっている。
21日(土)午前中の公式練習走行時の天候は、爽やかな快晴に。走行前には去る3月9日に急逝したトヨタGTアドバイザーで元TOYOTA TEAM SARD監督の大橋孝至氏へ弔意を示す黙祷が執り行われた。また、すべてのLEXUS TEAMメンバーやトヨタ関係者は今回喪章を着けて第1戦に臨んでいる。9時からのセッション開始時点は気温8度/路面温度13度とまだ低い。アンドレがまずコースインし状況を確認。路面はまだグリップが少なく滑りやすい状況ながら上位タイムを刻む順調な走り出し。全体的にグリップがなく、またリアも滑りやすいとコメントしたアンドレ。2つめのタイヤで1分26秒542の11番手タイムをマークした。続いて平手も7周ドライブ。この頃にリアのトラクションが不足。調整を行うため走行を取り止めた。午前中の公式練習走行は、アウトのインを含めトータル35周の走行となった。
■公式予選
21日(土)午後の公式予選1回目開始時点は、気温は18度/路面温度30度と上昇し、春の訪れを感じさせる陽気となった。公式予選は30分間の混走の後に10分間のGT500クラス単独が設けられ、昨年とは違ったタイムスケジュールが組まれている。新しい規則とフォーマット、そしてタイヤの使い方をどの様に組み立てるかが重要なポイントに。午前中の公式練習走行では、まだ実力を出し切れていない状況で、スーパーラップ圏内の8位以内確保が目標となる公式予選が始まった。
まずは平手が予選基準タイムクリアを行い、単独の時間でアンドレでアタックをする予定を組んだDUNLOP SARD SC430。明日の決勝は雨模様の予報で、今回のタイヤチョイスにも影響を及ぼす状況。決勝がドライであればスーパーラップで使用したマーキングタイヤでスタートしなければならないが、決勝がウェットであれば色々な選択肢が考えられる。様々な要因を鑑みて混走および単独の予選時間帯の組み立てが加藤眞オーナー兼総監督の下で主要スタッフにより決められた。
DUNLOP SARD SC430、痛恨のトラブルに泣く
しかし予選1回目開始早々にコースインした平手から、無線でまさかの車両の不具合がレポートされた。そして、次の1コーナーで駆動系のメカニカルトラブルが発生。痛恨のトラブルにより緊急ピットインを余儀なくされてしまった。残された時間は少ないがトラブルの程度によってはまだ戦線復帰が可能とあって、スタッフによる原因究明の懸命な作業が迅速に行われた。車両側のチェック、データとの照らし合わせ、平手のトラブル発生状況のコメントなどスタッフが輪になってトラブル追求と手立てが検討された。しかし、時間は刻々と過ぎてしまい、時間内にすべてを修復することは叶わず。結果、2人のドライバーとも予選を満足に走りきれなかったDUNLOP SARD SC430は、予選不通過の扱いに。明日の決勝は、両ドライバーの朝のフリー走行のタイムによって救済措置が判断され、GT500クラスの最後列からのスタートとなる見込みとなった。
■決勝
22日(日)決勝日は気温15度/路面温度15度の雨。強く降ったり小雨となったりと安定しない天候。9時20分から雨中のフリー走行が30分間行われた。両ドライバーともこのフリー走行の走りによって決勝出走許可が審査委員会によって決定される。まずはアンドレはウェットタイヤを装着して9周走行。5周目にはその時点で2番手となる1分38秒576のタイム。続いて、交代した平手も9周を走行し、4周目に1分38秒442のタイム。そして、フリー走行後のサーキットサファリでは決勝用ウェットタイヤの準備を行った。フリー走行では平手の1分38秒422で12番手タイムとなった。両ドライバー、クルマとも走りには問題ない事が大会審査委員会によって確認され、午後の決勝は15番グリッドからのスタートとなった。
■決勝スタート
スタート時も雨は強く降ったり小雨となったりと安定せず予測が難しい天候。どちらに転んでも天候が変わり易いため、極力1ピットストップで終わらすにはリスクのあるタイヤ選択を強いられる。気温16度/路面温度16度の中で安全のためセーフティカー先導によるスタート方式に変更された。小雨の降る中、2周回の先導の後にいよいよ今季熱戦の火蓋が切って落とされた。
雨中の本領を発揮できず
本格的なスタートをステディな走りで切ったアンドレであったが、現在の路面コンディションとセットとタイヤの状況がマッチしないのか序盤からペースが上がらない。コースオフ、接触によるアクシデントなどが頻発する中で、安全にクルマをコース上に何とかとどめて走行するアンドレ。選択したタイヤには雨量が多くなり過ぎ、クルマは滑りやすくペースアップが出来ない状況ではあったが、順位は11位にまで上がっていた。だが10周目を経過した頃から、一気にペースダウンしてしまったアンドレ。時折、ペースアップするもあまり状況は変わらず。チームは周回をしなければならない最低周の28周終了時点でアンドレをピットに呼び戻すこととした。
チームの目論見とは違う雨量となった開幕戦。アンドレは28周を完了させ13位でピットイン。素早く平手と交代したDUNLOP SARD SC430は、ペースを一気に上げた。交代直後は中々タイヤが温まらなかったが、交代後12周ぐらい走ってようやくタイヤが温まり、ほぼ他車と同じぐらいのペースで周回する平手。GT300をラップする際に水の多い場所を走行させられながら、難しいコンディションに対応した走りを見せた平手。ペースの上がらない前走車とのギャップを詰め1つでも順位を上げるべく、視界不良で困難な状況の中でハードなドライビングを続けた。
突然の異音
しかし、70周を完了し71周目周回中に緊急ピットイン。平手は、クルマから異音がすると訴えた。異音の原因を特定するため、クルマをピットの中へ素早く運び込むメカニック。ジャッキアップを行い、駆動系全体をチェックするも目視と音では問題箇所を特定できず。無理をして戦列に復帰させてもこの状況では得るものはないと判断したチームは戦列を離れる選択をすることとなった。
これまでのテストでは順調にプログラムを進めていたDUNLOP SARD SC430。’08最終戦や雨中の事前テストでは、調子の良さから雨を味方につけられればという思いが強すぎたのかも知れない。悪天候と思わぬメカニカルトラブルで後退を余儀なくされた開幕戦。トップの70%以上を走行していたため、GT500クラスの15位での完走扱いとなった。ドライバーポイントは得られず、チームポイントは1点を記録した。次に向けて虚心坦懐に物事を進め解決していかねばならない。4月7日(火)・8日(水)もてぎでのタイヤメーカー開発合同テストを経て、4月18日(土)・19日(日)に開催される第2戦鈴鹿での奮起が期待される。
アンドレ・クート
「今回はスタートから雨が増えてとてもハードなドライビングとなった。真っ直ぐ走るのもままならないほど路面状況は悪化していった。プッシュしようにも危険な状態で常にステアリングとの格闘となってしまったんだ。無線の調子も良くなく、状況をうまくピットに伝えられなかった。良いレースで今季をスタートできなかったが次に向けて頑張りたい」
平手晃平
「事前のテストでの調子を出し切れれば…という思いはあります。500にステップアップして感じるのは、やはりロスなくGT300をパスする難しさでした。特に雨の今回は難しかったです。次の鈴鹿のレースは好きなコースですし、実力を思い切り出し切って目一杯走りたいです」
加藤眞総監督
「今回は状況判断が非常に難しいレースとなりました。自分達の考えの思い切りの足りなさが敗因でしょう。困難な状況で2人のドライバーは良く走ってくれたと思います。エンジニアリングにまだまだ不足している点が課題として浮き彫りになりました。次戦は我々の地元に近い鈴鹿ですし、応援してくれる皆さんに良いレースを見せたいと思います」
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