ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルは22日、2008年以来23号車ニッサンGT-Rのステアリングを握ってきたブノワ・トレルイエと、2012年シーズンの契約を更新しないと発表した。
トレルイエは2002年に、引退した星野一義に代わって当時の全日本GT選手権(JGTC)に参戦。チーム・インパルから08年にはニスモに移籍し、本山哲とのコンビでニッサンGT-Rをデビューイヤーのチャンピオンに導いたほか、数多くの勝利を挙げてきた。
そんなトレルイエは、日本での活動と並行して母国フランスのル・マン24時間にも挑戦。ペスカローロ・ジャッドやペスカローロ・プジョーで印象的な速さをみせ、2010年にはアウディワークス入り。今季はアンドレ・ロッテラー、マルセル・ファスラーと組みル・マン24時間の総合優勝を飾った。
来季に向けてトレルイエは、アウディでWEC世界耐久選手権への参戦が噂されているが、スーパーGTとWECでは日程が重なっている部分が多く、トレルイエの去就が注目されていた。そんな中ニスモは22日、トレルイエと12年の契約を結ばないことを明らかにし、「来シーズンは新たなチャレンジに取り組む決意を固めたため、ニスモはトレルイエ選手のさらなる飛躍を願い、申し出を承諾しました」とトレルイエを“送り出す”発表を行った。
ニスモを離れることになったトレルイエは、「日本では12シーズン過ごしましたが、そのうち約10年がニッサンとの契約でした。F3で2年間戦った後、ニッサンは僕にプロドライバーになるチャンスをくれました。そして星野さんや本山さんといった日本で最高のドライバーに支えてもらいました」とニッサンへの感謝をプレスリリースの中で述べている。
「日本で多くのことを学び、そして今度は世界最高峰の選手権に参加することになりました。ニッサン/ニスモを去ることは大変さびしいですが、スーパーGTとこの選手権というハイレベルなシリーズをふたつ掛け持ちして、それぞれにベストを尽くすということは、僕にとっても、僕の家族にとってもとても大変なことです。今回の決断は僕のレース人生において最も難しい選択と言えます」
「日本の皆さんは僕を暖かく受け入れてくれ、日本は僕の人生の一部となっていると感じています。今は自分の親戚か両親の家を去るような気持ちがします。これまで応援、サポートしてくれた日本のファンの皆さん、メディアの皆さん、スポンサーさん、チームのみんな、そして日産に感謝しています。最後になりますが、皆さんにとって来年が良い年になるように、そしてまたいつか日本を訪れることをお約束します」