November 16 2014, RACE
SUPER GT Round 8
日本ツインリンクもてぎ

#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)が最終戦で3位表彰台を獲得
#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)は8位入賞を果たす
GT300の#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)と#0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)は12位と13位でフィニッシュ

2014年11月16日(日)・決勝  会場:ツインリンクもてぎ(4.801km)
天候:晴れ 気温:18℃(13:40時点) 路面温度:24℃(13:40時点) コースコンディション:ドライ 観客:3万2000人

 11月16日(日)、栃木県芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎにおいて、2014 オートバックス SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」の決勝レースが行われました。

 15日(土)に行われた予選では、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)が3番グリッドを獲得。また、#32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)は6番グリッド、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)は8番グリッドを手に入れました。さらに、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)は9番グリッド、#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮組)は12番グリッドから、それぞれ決勝レースに臨みます。

 午前9時15分から30分間にわたって行われたフリー走行では、セッション開始直後に#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが、1分41秒685を記録してトップに。#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが1分41秒944で続き、2番手となりました。途中、トラブルでストップしたマシンを排除するため、約5分間の赤旗中断を挟み、30分間のセッションが終了。Honda勢のトップは、1分40秒771をマークして4番手となった#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTでした。#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは7番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは8番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは10番手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは12番手でした。

 今回の決勝レースは、通常のシリーズ戦よりも50km短い250km。すべてのチームに対して、レース中に少なくとも1回のピットストップを行い、ドライバーを交代することが義務づけられていました。スタートドライバーを務めたのは、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTが松浦選手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが金石選手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが山本選手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTが中嶋選手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが小暮選手でした。

 午後1時、ローリングスタートで53周の戦いが幕を開けました。#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはスターティンググリッドと同じ3番手を守りましたが、6番グリッドからスタートした#32 Epson NSX CONCEPT-GTは3コーナー付近で軽いコースアウトを喫し、最後尾までポジションを落としました。これと入れ替わる形で、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが5番手に浮上。#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTも7番手へとポジションを上げましたが、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは13番手にポジションダウンしてオープニングラップを終えました。

 その後、4番手を走行するライバルは、スタート直後にアクシデントに遭った影響もあってペースが上がらず、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに乗る金石選手はこれを激しく追い立てていました。そして1秒以下の接戦を繰り広げたあと、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは8周目に攻略に成功します。しかし、直後にブレーキ関連のトラブルが発生してペースダウン。そのままコースをほぼ1周してピットに戻り、問題を起こした部分の補修作業を行うこととなりました。

 10周目が終わった段階で、Honda勢のトップは引き続き3番手の#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTで、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTも7番手のポジションを守って周回を重ねていました。いったんは最後尾まで後退した#32 Epson NSX CONCEPT-GTは11番手までばん回。#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは14番手となり、その後の追い上げを期していました。
#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは、前を走るライバルを次第に追い詰めていき、13周目には、1秒を切るところまでその差が縮小。その後も果敢に追走する中、2番手のライバルに10秒間のペナルティーストップが科せられます。直後、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはピットストップを行い、給油とタイヤ交換を実施。ドライバーは山本選手から伊沢選手に交代しました。ところが、作業がすべて終わったところでエンジンがストールしてしまいます。ほどなくエンジンを再始動させてコースに復帰しましたが、これで10秒近くタイムをロスしました。

 これに先立つ14周目、ブレーキトラブルの補修作業を終えた#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTがコースに復帰し、レースを再開しました。ドライバーは引き続き金石選手が務めました。

 23周目、#32 Epson NSX CONCEPT-GTと#8 ARTA NSX CONCEPT-GTがピットイン。給油、タイヤ交換、ドライバー交代を行ってコースに復帰しました。後半を受け持ったドライバーは、#32 Epson NSX CONCEPT-GTがバゲット選手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTがリウッツィ選手でした。

 さらに、25周目には#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT、27周目には#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTがピットストップ。同様に給油、タイヤ交換、ドライバー交代を行いました。レース後半を担当したのは、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが武藤選手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが塚越選手でした。

 GT500クラスの全車がピットストップを終えた31周目の段階で、Honda勢のトップは5番手の#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT。#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは9番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは10番手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは13番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは15番手となって周回を重ねます。

 41周目、#32 Epson NSX CONCEPT-GTはターボの配管に関連するトラブルが発生したため、ピットストップを余儀なくされます。チームは5分ほどかけて補修作業を終えると、マシンを再びコースに送り出しました。

 これと前後して、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTに乗る伊沢選手は、目の覚めるような猛追を開始します。伊沢選手はまず、41周目に3番手争いを演じる2台の直後につけると、そのバトルの推移を見極めつつ、4番手のライバルにプレッシャーを与えていきました。3台は0.5秒ほどの間隔で激しい攻防を繰り広げていきましたが、45周目の4コーナーで、伊沢選手がライバルの攻略に成功。4番手に浮上します。続く46周目には、1コーナーでライバルのイン側に飛び込んでオーバーテイクし、3番手となりました。

 その後も#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは、2番手のライバルよりも1秒近く速いラップタイムで追い上げていき、46周目に10.2秒だった間隔は、48周目には6.7秒、52周目には3.6秒まで縮まりました。しかし、53周目に2秒までギャップを縮めたところでチェッカーフラッグが振り下ろされ、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは3位でフィニッシュしました。

 Honda勢でこれに続いたのは、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの8位で、さらに#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは12位、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは14位、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは15位で完走を果たしました。

 この結果、シーズン通算で64ポイントを獲得した山本選手は、ドライバーズランキングを4位で終えました。Honda勢でこれに続いたのは、通算24ポイントで12位となった塚越選手と金石選手で、23ポイントを獲得した小暮選手と武藤選手は14位。松浦選手とリウッツィ選手は14ポイントで16位、中嶋選手とバゲット選手は12ポイントで17位でした。なお、優勝は#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)で、松田選手とクインタレッリ選手は、ドライバーズランキングのチャンピオンに輝きました。

 GT300クラスでは、Hondaが開発したレーシングハイブリッドシステムを搭載する#0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)と#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)が5番グリッドと6番グリッドからスタート。決勝レースでの追い上げはならず、#55 ARTA CR-Z GTは12位、#0 MUGEN CR-Z GTは13位となって完走を果たしました。

 これで2014年シーズンのSUPER GTは全日程を終え、今後、チームやドライバーは来シーズンに向けた準備に取りかかります。

コメント
松本雅彦 | Honda GTプロジェクトリーダー
「表彰台には上がりましたが、予想以上に苦戦したというのが正直な感想です。もてぎに多い、小さくクルッと回り込むコーナーに、マシンをしっかり合わせきれなかったのが理由です。ただしその中で、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTの山本選手と伊沢選手は、とてもがんばってくれました。とりわけ、ピンチヒッターとして登板した伊沢選手は、(GTレースでの)一年間のブランクなど、全く感じさせない活躍をみせてくれました。気温が低い状況で、ミシュランタイヤが高い性能を発揮したことも、3位表彰台という結果につながりました。ただし、今年はミッドシップカーやハイブリッドに関する開発が十分でないまま開幕戦を迎えたため、シーズン前半戦はライバルチームに追いつくことを目標に、開発を進める形となりました。これについては一応の成果を挙げましたが、まだライバルを突き放すところまでは到達していません。来シーズンに向けては、マシンの開発はもちろんのこと、チーム体制やドライバーのラインナップまで、全体をしっかりと見直し、タイトル獲得を目標としてシーズンに臨むつもりです。ファンの皆さま、SUPER GTを戦うHondaに、一年間にわたって声援をお送りいただき、本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます」

山本尚貴(3位 #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「前にいたライバルと、同じかやや速いくらいのペースで走行していたので、オーバーテイクしたかったです。けれども、途中でそのライバルにペナルティーがあったことは分かっていたので、無理をせずに伊沢選手につなげました。自分のスティントではいいレースができたかなと思います。ピットストップでタイムロスがあり、『もったいないな、残念だな』と思いましたが、すばらしいばん回でした。最高のパートナーですね。僕は今年、3名のドライバーと組ませてもらいましたが、それぞれ最高のパートナーでしたし、シーズン最終戦にふさわしいレースができたと思います。今シーズンは前半戦に苦しみました。僕らや開発陣だけでなく、ファンの皆さまも苦しませてしまいましたが、そのような状況の中でもあきらめることなく、みんなが一生懸命がんばった結果が、最終戦にこうして、一つの形に結びつきましたし、来年につながるレースになりました。来年は開幕戦から好調を維持して戦いたいと思いますので、引き続き応援をよろしくお願いします」

伊沢拓也(3位 #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「エンジンをストールさせてポジションを下げてしまいましたが、最低でも、表彰台には上がらないといけないと思っていました。マシンもタイヤもとても調子がよく、そこは信じられましたので、あとは自分次第でした。予選、決勝ともに、最低限の仕事しかできませんでしたが、なんとかがんばりました」

小暮卓史(8位 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)
「序盤は、集団の中で混戦状態のレースをしていましたが、その中で、僕たちだけが異なるタイヤをチョイスしていました。そのタイヤがタイヤかすをピックしてしまったことで苦戦しました。踏ん張りながらレースをしました。タイヤかすがはがれてペースが上がってきたころに、ピットインのタイミングとなりました。交代した武藤選手は、僕とは異なるタイヤのチョイスをしました。ペースは悪くなかったので、僕も武藤選手も、ベストは尽くせたかと思います。ただ、8位フィニッシュは納得できるものではありません。今シーズンはエンジンやシャシーなど、いろいろなことが変わりましたが、それに対して先手を打てませんでした。データがないということに、どうしても振り回されてしまうところがあり、僕たちの力を100%発揮できたかというと、決してそうではありません。ただ、この経験を基に積み上げてきたものがあるので、来シーズンはこのような結果にはならないと思います」

武藤英紀(8位 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)
「小暮選手から、ポイント獲得圏内でバトンを受け継いたので、なんとかその順位をキープしてゴールしたいと思っていました。ライバルの1台を抜くのに時間がかかってしまいましたが、なんとか抜けてよかったです。マシンはタイヤかすを拾ってしまうというアクシデントはありましたが、状態はよかったです。今シーズンは序盤に苦しみました。チームやHondaが一生懸命がんばり、マシンが速くなってきましたが、あと一歩という感じです」

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