酷暑のレースを戦い抜いた#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)が6位、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/ジャン・カール・ベルネ組)が7位にそれぞれ入賞
GT300クラスでは2番グリッドからスタートした#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)が逆転優勝を達成
2014年6月1日(日)・決勝 会場:オートポリス(4.674km) 天候:晴れ 気温:28℃(14:00時点)
路面温度:40℃(14:00時点) コースコンディション:ドライ 観客:2万4400人(主催者発表)
6月1日(日)、大分県日田市のオートポリスにおいて、2014 オートバックス SUPER GT第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」の決勝レースが行われました。
昨日の予選では、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)と#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)が予選1回目を突破。予選2回目で#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが6番グリッド、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが7番グリッドをそれぞれ獲得しました。さらに、#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮組)は9番グリッド、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/ジャン・カール・ベルネ組)は10番グリッド、#32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)は13番グリッドから決勝レースに挑みます。
この日も西日本は高気圧にすっぽりと覆われ、予選の行われた昨日に続いて各地で真夏日となりました。昨日、全国でもっとも高い最高気温を記録した大分県日田市は決勝日も30℃を越える暑さに見舞われ、山間に位置するオートポリスでも真夏のように蒸し暑く、SUPER GTに参戦する各チームはこのような厳しい暑さのなかで決勝レースを迎えることとなりました。
決勝当日は午前9時から30分間にわたってフリー走行が行われました。ここでHonda勢のトップに立ったのは1分38秒931をマークした#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTで、これに#32 Epson NSX CONCEPT-GTは10番手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは13番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは14番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは15番手で続きました。
決勝レースのスタートドライバーは、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは松浦選手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは金石選手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはベルネ選手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは中嶋選手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは武藤選手が務めます。
よく晴れた青空の下、午後2時に決勝レースが始まりました。スタートで大きな混乱はなく、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは6番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは7番手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは9番手と、スターティンググリッドのポジションを守ってオープニングラップを終えました。一方、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは11番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは14番手と、1つずつ後退して1周目を走り終えました。
4周目、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは後方から追い上げてきたライバルにポジションを奪われ、一時10番手へと後退しますが、その直後に目の前で繰り広げられたバトルの行方を慎重に見極めると、巧みにチャンスをつかみ取ってライバルの1台を攻略。#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは9番手のポジションを奪い返す力を見せ、ライバルたちと互角に戦えるマシンに仕上がっていることを印象づけました。
6周目、7番手を走っていた#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは、先に#8 ARTA NSX CONCEPT-GTをパスしたライバルに抜かれ、8番手へと後退します。さらに、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTもこれに続く形で#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTをオーバーテイク。#8 ARTA NSX CONCEPT-GT が8番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが9番手となります。
7周目、ベルネ選手はライバルの1台を攻略、12番手に浮上しましたが、続いてGT300クラスの1台をオーバーテイクしようとしてラインを外し、コントロールを失ってしまいます。これで#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは14番手へと後退しました。
8周目、#8 ARTA NSX CONCEPT-GT と#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT が、それぞれ#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTをオーバーテイク。NSX CONCEPT-GTどうしでポジションが入れ替わり、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTが7番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが8番手と1つずつポジションを上げ、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは9番手となります
10周目、11番手を走行していたライバルがスピン。#32 Epson NSX CONCEPT-GTは12番手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは13番手となります。
酷暑のもと、タイヤの摩耗が急速に進行してハンドリングが悪化するマシンが出てくる中、5台のNSX CONCEPT-GTは慎重に周回を重ね、レース後半の追い上げを期していました。
19周目、6番手を走行していたライバルを#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが相次いでオーバーテイク。これで#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは6番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは7番手へと駒を進めます。
20周目、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは目前を走行していたライバルの攻略に成功、8番手に浮上します。
同じく20周目、11番手を走行していたライバルに接触行為があったとしてドライブスルー・ペナルティが下されます。続いて10番手を走行していたライバルはタイヤ交換のためピットストップを実施。さらに別のライバルが遅れたため、23周目には#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは9番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは10番手となり、5台のNSX CONCEPT-GTはいずれもトップ10圏内に食い込む形となりました。
25周目、Honda勢のなかで唯一、ソフトタイヤを装着していた#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTがピットイン。給油、タイヤ交換を行い、小暮選手にドライバーを交代してコースに復帰しました。
これに続く形で、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは26周目、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#32 Epson NSX CONCEPT-GTは28周目、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは29周目にそれぞれピットストップを行い、給油、タイヤ交換、ドライバー交代を行いました。後半を担当するドライバーは、それぞれ塚越選手、リウッツィ選手、バゲット選手、山本選手です。
30周目、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTにエンジンの補機類に関係するトラブルが発生。塚越選手はマシンをコース脇に止め、残念ながらリタイアとなりました。
38周目までにGT500クラス車両の全車がピットストップを終えます。この段階でHonda勢のトップは#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの6番手。#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは9番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは11番手につけていました。しかし、この直前まで7番手を走行していた#8 ARTA NSX CONCEPT-GTはブレーキ系のトラブルが発生してコースアウト。その後、自力でピットまで戻ってきたものの、このトラブルのためリタイアを余儀なくされました。
40周目、7番手を走行していたライバルがタイヤ交換のためピットストップ。これにより、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは8番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは10番手に浮上しました。
山本選手は終盤に向けてラストスパートを仕掛け、7番手を走行するライバルの直後につけます。2台はテール・トゥ・ノーズとなって延々とバトルを演じ続けましたが、最後は山本選手がライバルのミスを誘発して攻略に成功、7番手に駒を進めます。
46周目、GT300クラス車両の1台が1コーナーで激しくクラッシュ。ドライバーは無事救出されましたが、その直後に同じく1コーナー付近でGT500クラス車両の1台に火災が発生、コースサイドにマシンを止めます。これらのマシンを排除するため、48周目から56周目までセーフティカーが導入されました。
セーフティカーが退去すると、各マシンは競技を再開。3台のNSX CONCEPT-GTは最後の追い上げを図りましたが、残念ながら順位を上げることはできず、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは6位、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは7位、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは10位でフィニッシュし、完走した3台のNSX CONCEPT-GTはそろって入賞を果たしました。優勝は#23 MOTUL AUTECH GT-Rでした。
この結果、チャンピオン争いのドライバー部門において、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは8位、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは12位、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは14位、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは15位、#32 Epson NSX CONCEPT-GTは16位となりました。
一方、GT300クラスでは、2番グリッドからスタートした#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)はピットストップを素早く終えると、それまでトップを走っていたライバルの攻略に成功。ここで首位に立つと最後までそのポジションを守りきり、今季初優勝を果たしました。また、9番グリッドからスタートした#0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)も、5位まで追い上げてフィニッシュしました。
SUPER GT第4戦は7月19日(土)、20日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催されます。
コメント
松本雅彦|Honda GTプロジェクトリーダー
「決して満足のできる成績ではありませんでしたが、開幕戦、第2戦に比較するとマシンの仕上がりに関しては着実な進歩が見られたレースでした。そうした中、暑さの影響で#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTにトラブルが発生したのは残念でした。ただし、次戦からは新しいエンジンを投入することで、今回を上回る成績を残せると考えています。引き続き5台のNSX CONCEPT-GTに熱いご声援をお送りくださいますよう、お願い申し上げます」
小暮卓史(6位 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)
「厳しいレースでしたが、チームも武藤選手も一生懸命がんばってくれたので、Honda勢の最上位で終えられました。100%の力を出しきれたという感じではないですが、やっとかたちになってきたと思います。これまでのレースでマシンは着実に進歩しています。ものごとには段階があり、まずはしっかりポイントを取り、その流れを味方にしていき、次はもっと上の順位で終われればと思っています。次戦のSUGOではテストの際のラップタイムも悪くなかったですし、あとはガンガンいくだけです」
武藤英紀(6位 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)
「自分のスティントで抜かれてしまい、自分自身の課題が見えてきたレースでした。ただ、小暮選手が安定したペースで走り、チームがすばらしい仕事をしてくれて、最終的に6位フィニッシュを果たせたので、ベストは尽くせたかと思います。今日、出てきた課題を一つひとつクリアしていければ、次戦も必ず前で争えますし、予選に関しては徐々にパフォーマンスを発揮できているので、次戦にはもっと前にいきたいと思います」
山本尚貴(7位 #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「いつもと違ってJK(ジャン・カール・ベルネ選手)がスタートドライバーでしたが、彼のスティントでコースオフがあり、そのロスが大きかったです。交代してからはマシン、タイヤともによかったので、マシンのパフォーマンスは引き出せたかなと思います。欲を言えば、セーフティカーの導入が周回遅れになったあとのタイミングだったので、ポジションアップするチャンスを失ってしまったことが残念です。ただ、パフォーマンスを確認できたことは収穫ですし、まだまだ開発が必要な部分も見えてきましたので、今後につながるレースができました。次戦のSUGOはテスト走行の感触もよかったですし、今日、新たに発見したポイントもあるので、今のポジションよりも確実に上を狙っていけると思っています」
ジャン・カール・ベルネ(7位 #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「スタートでは後方グリッドのライバルに抜かれて苦しい思いをしました。その後、ライバルの1台をオーバーテイクしましたが、GT300車両を追い越したときにラインを外してしまい、ここで路面の滑りやすい部分に足を踏み入れてコントロールを失って順位を落としました。ただし、マシンのセッティングは良好で、ハンドリングのバランスも好ましいものでした。チームはすばらしい仕事をしてくれたと思います。次戦が開催される菅生は好きなコースですし、マシンの調子もいいはずなので、さらに上位を狙って戦っていくつもりです」