IZODインディカー・シリーズ第3戦となるトヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチは15日決勝レースが行われ、ウィル・パワー(ペンスキー)が優勝。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は最終ラップまで3位を走り表彰台を目前としながら、追突され8位でフィニッシュしている。
ロングビーチでのレースは今年が38回目の開催。毎年多くの観客を集めるこのイベントは、今年も観客席が満員の盛況だった。やや涼しめのコンディションで行われたレースは、2ストップと3ストップに作戦が分かれることとなった。
ポールポジションからのスタートだったダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)は、マシンのセッティングもベストではなく、燃費をセーブして2ストップで走り切る作戦だったこともあって序盤にポジションダウン。5番手スタートだったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)ともどもマシントラブルが発生してしまう。ガナッシ勢はグラハム・レイホールは序盤に追突されてリタイアと、散々なロングビーチとなった。
フロントロウ外側からスタートしたジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)は、スタート直後のターン1でフランキッティをアウト側からパス。しかし、コーナー立ち上がりでこの2台は接触。ルーキーは外側の壁にヒットしてレースを終えた。オーバーテイク自体は決して無謀なトライではなかったのだが……。
フランキッティが後退した後には、まずはジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)が、続いてサイモン・ペジナウ(サラ・フィッシャー・ハートマン)がレースの主導権を握った。しかし、ペジナウは3ストップ作戦で、2ストップで戦ったパワーが85周のレースの71周目にトップに立った。
2番手に後退しながらも、終盤に激しい追い上げを見せ、あわや大逆転の初優勝を飾ると見られたペジナウ。彼自身が「あと1周あればアタックできたのに」と悔しがったとおり、0.8675秒届かずの2位となった。それでも2位はキャリアベストで、チームにとっても最高位でのフィニッシュとなった。
惜しくも初優勝に手を届かなかったペジナウは、「ファンタスティックなレースだった。マシンはスタートから最高だった。今週末は雨もあって走行時間が非常に少なく、走り出しのマシンがあまりハンドリングの良くないものだったために難しい戦いになっていた。しかし、チームが決勝に向けては素晴らしいマシンを用意してくれた」と語った。
ファイナルスティントでのパワーは燃費セーブを行っているとは思えないハイペースの走りでゴールまでを走り切り、バーバーからの2連勝を飾った。「素晴らしい1日になった。12番手グリッドから勝てるとは正直思っていなかった。しかし我々の作戦担当、エンジニアたちが見事な仕事をしてくれた。クルーたちのピットストップも最高で、10グリッド降格を跳ね飛ばしてくれた。最後はペジナウが迫って来ていたが、燃費セーブをギリギリまで心がけ、最後の2周はプッシュした。それで十分だったよ」とパワーは喜んでいた。
そんなレースの中、琢磨は2ストップ作戦を選択した。序盤のイエローでピットに入らずトップも走行した。作戦は見事に的中していたのだ。レース中盤にはアグレッシブな走りでポジションアップを見せた。ところが、2回目のピットストップの後は燃費をセーブする辛抱強い戦いを強いられ、琢磨はそれを見事にこなしていたのだが、最終ラップにライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が無謀な追い越しを仕掛けて追突、琢磨だけがスピンし、表彰台を逃した。
インディカーはハンター-レイに30秒加算のペナルティを課し、3位から6位へと降格された。しかし、琢磨の初の表彰台フィニッシュは、ハンター-レイのラフなドライビングによって消されてしまった。
「チェッカーフラッグを見たい。今年はまだ見てないから」と琢磨は怒りを抑えて語った。
「ブラックでのスタートは、まわりがみんなレッドだったから厳しかったんですけど、何とかポジションを守って、リスタートでは順位を上げていけていたほどでした。レッドに換えてからもプッシュして走って、トップに立つことさえできました。ウィル・パワーもパスしたし、いいレースが戦えていたと思います」
「2回目のピットストップからゴールまでは燃費セーブが大変で、特に最後の方は燃費がキツかったんですが、それもこなしてゴールを目指していました。それが、最終ラップにハンター-レイにぶつかられた。本当に残念」と琢磨は話した。