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F1ニュース

投稿日: 2015.10.23 00:00
更新日: 2018.02.17 11:07

ロータス小松礼雄コラム:エースドライバーの重要性


 ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。

 厳しい資金難でレース以外の気苦労、そして物理的な問題に直面しているロータスF1チームと小松エンジニア。第15戦ロシアGPでは、グロージャンが大クラッシュをしてしまう結果に……。また、ロシア前に発表されたグロージャンのハース移籍、そしてルノーとの基本合意報道について小松氏が語る。

 F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第16回目の一部をお楽しみ下さい。

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小松礼雄コラム 第16回


ロマンのハース移籍による影響
エースドライバーのチームでの役割

 今回、ロシアGPの話に入る前にロータス・チームの今後に関わる発表がありました。まずはロマン(グロージャン)が来季からF1参戦するアメリカのハースに移籍することが発表されましたが、これはウチにとっては、はっきり言って良くないですよね(苦笑)。今年の成績を見れば分かりますが、鈴鹿の予選はロマンが8位でパストール(マルドナド)が13位、ロシアの予選ではロマンが8位でパストールが14位。ドライバーとしてパストールよりロマンの方のレベルが高いのは明らかです。ですので、チームのナンバー1ドライバーを失うということは非常に良くないです。

 何の影響が一番大きいかと言えば、たとえばウチに開発資金があってクルマをアップデートできるとして、開発のプライオリティを付ける上で、自分たちが今、どのポジションにいるのかを知るのが非常に重要になります。たとえばロマンが8位のポジションならば、それはほぼクルマのパフォーマンスを出し尽くしていると理解できるので、それで自分たちの正確な位置が見える。だけど、たとえばロマン抜きに直近の予選結果を見たら、鈴鹿は予選13位、ロシアは予選14位。これでは自分たちがどこにいるのか分からないわけです。信頼できるリファレンス(参照となる指針)がなくなります。

 たとえばキミ(ライコネン)がウチで乗っている時に良かったのは、とにかくキミという信頼できるリファレンスがいて、その時点ではまだロマンは何度かキミに予選で勝って速さはあったけどレース経験が少なかった。でも、キミはレースパフォーマンスが非常に安定していたから、ウチのクルマのロングランパフォーマンスが把握しやすいわけですよ。それが一流ではないドライバーが乗ってロングランが安定しないとペースが分からなくなる。その場合、タイヤの使い方が悪いのか、クルマのバランスが悪いのか、それともドライバーが安定しないのか、原因がはっきりと特定できなくなるわけです。

 今のウチのふたりは、はっきり言ってトップチーム、たとえばメルセデスの(ルイス)ハミルトンと(ニコ)ロズベルグ、フェラーリのキミと(セバスチャン)ベッテルのコンビに比べて勝っているわけではない。トップと比べてギャップがある状況です。もちろん、最近のロマンは結構いい線いっているとは思いますけどね。でも来年、そのロマンが出て行って、替わりにウチに来るドライバーがロマンより優秀だとはあまり考えられない。

続きはF1速報有料サイトでご覧ください

「ロマン移籍は個人的感情よりもチームのリファレンス」
「ルノーとの基本合意で感じる現場レベルの心境」
「ロシアGP,グロージャンのクラッシュはミス」