5月9日~10日に行われる全日本F3選手権の第2大会、そして今季唯一の3連戦がツインリンクもてぎで開催された。土曜日に行われた予選で、2戦連続ポールポジションを獲得したのは山下健太(PETRONAS TOM’S F312)。その後、第3戦の決勝レースのみ9日のうちに行われ、スタートで山下の前に出たニック・キャシディ(PETRONAS TOM’S F314)が今季2勝目をマークした。F3-Nでは三浦愛(EXEDY RACING F307)が同じく2勝目をマークしている。

 専有走行の行われた金曜日までは、サーキット上空に青空が広がっていたものの、土曜日には一転して灰色の雲が。天気予報でも決して低くはない降水確率を告げており、いつ雨が降り出してもおかしくない状態になっていた。

 しかし、5月にしては暑過ぎるほどだった気温や路面温度は、確実に専有走行よりも下がっており、コンディションの向上も明らか。専有走行で最速だった山下のタイム、1分45秒681をターゲットに、さらに短縮されることも期待された。

 まず第3戦の予選では、2周のウォームアップの後、いきなり高橋翼(HFDP RACING F312)が1分45秒519をマークしてトップに立ち、これにチームメイトの福住仁嶺(HFDP RACING F312)が僅差で続くも、そこからの伸びを欠いてしまう。逆に次の周、一気にタイムを上げてきたのが山下だった。唯一1分45秒の壁を打ち崩す1分44秒540をマークすると、チェッカーを受ける前にピットに戻っていった。

 一方、2番手に躍り出たのはチームメイトのキャシディだったが、1分45秒020というタイムに満足できなかったのか、さらにもう1周アタック。しかし、1分45秒000をマークするに留まり、山下を上回ることはできなかった。3番手には高星明誠(B-MAX NDDP F312)がつけ、福住と高橋が4~5番手で続くこととなった。PPを獲得した山下は「コンディションが良くなったので、1秒以上も金曜日より上げることができました。もてぎはスタートが重要なので、失敗さえしなければ」と予選を振り返った。

 F3-Nでは最後にトップに立ったのは1分47秒756をマークした小河諒(KeePer TOM’S F306)。一時トップだった三浦愛がコンマ3秒差で続いた。

 第4戦の予選でも、福住が1分44秒789を早々と出して、第3戦では山下しか超えられなかった1分45秒の壁を崩したものの、次の周は1分44秒735に留まってしまう。その周にアタックをかけた山下が1分44秒431をマークし、またしてもトップタイム。これに1分44秒508で続いていたキャシディは、さらにもう1周アタックするもタイム短縮はならず。逆に最後の最後に、山下とキャシディの間に割って入ったのは、1分44秒492をマークして「インターバルにセットを変えたのが、うまくいきました」と話す高星。

 F3-Nでは引き続き、小河と三浦愛のシーソーゲームに。小河がリードしたかに思われたが、三浦愛が最後のアタックで1分47秒797のタイムでトップに。しかし、そのほんの数秒後に小河が1分47秒796、すなわち1/1000秒差で逆転を果たすことになった。

「僕は位置取りとかタイミングが悪く、あまりタイムが変わりませんでしたが、愛ちゃんがコンマ3秒上げてきたんですから、本当はもっと縮めなきゃいけなかった。反省しています」と小河。「僅差の2番手よりも、(ポールポジションに与えられる)1ポイントが獲れなかったのが悔しいです」と言う三浦愛は「スタートが得意なので、絶対すぐ抜いてみせます」ともつけ加えていた。

 予選終了から4時間余。第3戦の決勝レーススタート進行が開始し、16台すべてがスターティンググリッドに並んだ。心配された雨は、それまでぽつりぽつりと降ることはあったが、コースを濡らすまでには至らず。どうやら、まったく気にすることなくレースはできそうだ。

 そして、1周のフォーメイションラップの後、全車グリッドについてレッドシグナルの点灯を待つ。そしてすべて消えた時、山下は好スタートを切ったものの、キャシディも負けず劣らず。そればかりか、あえてニュータイヤを選んだことで山下を圧する蹴り出しで、1コーナーをトップでクリアすることに成功する。もちろん、離れることなく続いた山下だが、キャシディのガードは固く、少しもミスを冒さず。早々と後続の高星、福住らを引き離し、一騎討ちを繰り返していくが、逆転の決め手は欠いていた。

 7周目、8周目と、3周目に山下が記したファステストラップを高星が連続で上回り、トップ争いが三つ巴となることが期待された。しかし、高星はそのプッシュで力尽きてしまったようだ。終盤は再び差を広げられることに。その後も激しいトップ争いは続いたものの、要所を抑えながら、キャシディがペースを山下に合わせていたのは明らか。第2戦に続く連勝を、キャシディが飾ることとなった。

「スタートがとにかくうまくいって、最初の1周はギャップを作ることにとにかく集中した。予選だけでなく、レースでも山下のペースは自分よりも速かったから、前に出られたことがすべて。ここは抜けないサーキットだからね。ミスをしないよう走り続けて、こういった結果を得られたことをすごく喜びたいね」とキャシディ。また、高星、福住がそれぞれ単独走行の中、最後の見せ場となったのは高橋とルーカス・オルドネス(B-MAX NDDP F312)による5番手争いだったが、それぞれ大きなミスも冒さなかったため、そのままの順位が保たれた。

 F3-Nでは、PPの小河が痛恨のエンジンストール。幸い、すぐに始動できたものの、三浦愛だけでなくDRAGON(B-MAX Racing F308)にも先行を許す。それでもペースではライバルを遥かに上回ったため、3周目にはDRAGONを抜いた勢いで、すぐに三浦愛の背後に。しきりに牽制をかけた小河だが、三浦愛の対処は極めて冷静だった。6周目の5コーナーでアウトから抜こうとしたが、姿勢を完全に乱して接触こそなかったものの、スピンを喫してしまう。

 これで小河は再び3番手に後退、7周目にまたDRAGONを抜くも、その時点で三浦愛との差は約7秒。ファステストラップの連発で視界におさめたものの、最後はしっかり三浦愛が踏ん張った格好に。これで三浦愛が今季2勝目を飾るとともに、初めてホームコース以外での勝利を獲得することになった。

「スタートで前に出られて、結果的に逃げ切ることとなりましたが、決していい内容のレースではありませんでした。練習で学んだことや、チームが仕上げてくれたクルマをしっかり活かすことができなかったので。でも、チャンピオンを狙うためには、どんな形であれ、優勝できて良かったと思うことにします」と三浦愛。小河に続く3位は、3戦連続でDRAGONが獲得することとなった。

 なお、第5戦の決勝グリッドは、この第3戦の結果で決まるため、ポールポジションからはキャシディがスタートすることとなる。同様にF3-Nも三浦愛が最前列に並ぶ。

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