朝には晴れ間さえ見せていた、全日本F3選手権第4戦の舞台、岡山国際サーキットだったが、午後になって天気が急変。再びウエットコンディションの中でレースが行われることとなった。優勝を飾ったのは、予選12番手だった安田裕信(Three Bond)。タイヤ選択が決まって大逆転を果たした。Nクラスは佐藤公哉(NDDP EBBRO)が初優勝。
午後になって降り始めた雨は、瞬く間に路面を濡らしたものの、スタート直前になって再びやみかけた。霧雨がぱらつく程度で、25周と周回数が長いことを思えば、いずれ水も捌けるのは確実。スタート進行の段階では、ほとんどのドライバーがスリックタイヤを装着してピットを離れた。だが、それぞれグリッドに着く頃、霧雨が小雨に。
グリッドでレインタイヤに交換したのは、予選10番手の岩崎祐貴(イワサキインダストリーF308)と安田。また、Nクラスの小泉洋史(staff-one-CMS)と久保田克昭(ハナシマレーシングF306)は、あらかじめピットでレインタイヤを装着していた。
どちらのチョイスが正解だったかは、すぐに明らかになる。フォーメーションラップのうちに雨足は一気に強まったからだ。1コーナーにトップで飛び込んだのは、ポールシッターの国本雄資(PETRONAS TOM'S F308)で、2番手はひとつポジションを上げた嵯峨宏紀(DENSO・ルボーセF308)。そしてNクラストップの関口雄飛(EBBRO AIM F307)が続いたものの、オープニングラップのうちに岩崎、安田はごぼう抜きを果たし、1周まわってきた時にはそれぞれ4番手、5番手にまで躍り出ていた。2周目に入ると、岩崎、安田が先行する3台をも抜き去ることに成功。
しかし、岩崎はトップを守りきれず。3周目のヘアピンで安田が逆転を果たしたからだ。このふたりがスリック勢を圧する中、3周目から5周目にかけてピットに駆け込むマシンも。3周目に佐藤、山本尚貴(NDDP EBBRO)、黒田吉隆(ACHIVEMENT by KCMG)が、4周目には小林崇志(NDDP EBBRO)が、そして5周目にケイ・コッツォリーノ(TODA FIGHTEX)がレインタイヤに交換。彼らは周回遅れとなってしまう。
スリックタイヤで必死にこらえるドライバー同士、国本と嵯峨、そして関口による総合3番手争いは激しさを極めた。しかしながら、レインタイヤを装着するトップ2台とは8秒ほどのタイム差があり、18周目には周回遅れに。そこに迫って来たのが、ファステストラップを連発していた佐藤だった。スリックタイヤ勢は成す術なく、20周目には相次いで佐藤に抜かれることに。同時にそれは佐藤のNクラストップ浮上をも物語っていた。続いて迫ってきたのはコッツォリーノ。21周目に国本を抜いてCクラス3番手に躍り出ていた嵯峨を、ファイナルラップに逆転する。嵯峨はその直後にコースアウト。せっかくの力走をふいにしてしまう。
そんなことなど、つゆ知らずという間隔がまさにピッタリだろう。安田は悠々と逃げ切りを果たし、今季初優勝。「レインタイヤで行こうというのは、僕とエンジニアの判断。ラッキーでした。このところスーパーGTも含め、辛いレースが続いていたので、これで流れが変わるといいな、と思っています」と安田。なお、ルーキー岩崎が初めて表彰台に上がり、コッツォリーノは2戦連続で表彰台をゲットした。一方、4連勝ならずの井口卓人(PETRONAS TOM'S F308)は、中盤のコースアウトもあって5位でゴールするのが精いっぱいだった。
Nクラスでも佐藤が初優勝。これに続いた関口は両クラス通じ、表彰台上がったドライバーの中では唯一スリックタイヤで押し通したドライバー。そのあたりに意地を見せつけた。3位は最終ラップの最終コーナーでチームメイトの小林をかわした、山本が獲得している。
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全日本F3:第4戦決勝、雨を見方に予選12番手の安田が逆転勝利。Nクラスは佐藤が初優勝
