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スーパーGTニュース

投稿日: 2010.10.29 00:00
更新日: 2018.02.15 23:14

吉本大樹「アンダーステアが酷かった」


【2010年スーパーGTシリーズ最終戦(もてぎ)】

台風被害で第7戦が中止になったため1戦減って全7戦となった2010年スーパーGTシリーズ。その最終戦の舞台となるのは栃木県に位置するツインリンクもてぎ。今回のレースはオーバーテイクが難しいとされるツインリンクもてぎが舞台だが、ウェイトハンデは0kg。まさに各陣営全力での真っ向勝負となる。さらにレース距離は通常のSUPER GTのレース距離よりもやや短い250km。それだけにワンミスが致命傷となることも考えられる。この真っ向勝負の1戦をtriple a Vantage GT2はどう戦うか。見逃せない1戦となる。

【Result】【土曜日】
公式練習1回目:12th/1'56"452
公式予選1回目:1st/1'56"346
公式予選(Q1):16th/1'56"368
公式予選(Q2):1st/1'54"381
公式予選(Q3):9th/2'14"120

グリッド:9th

【Result】【日曜日】
フリー走行:2nd/1'56"499
決勝:23th(Driver'sPoint:0pt/Team'sPoint:0pt)

シリーズランキング:14th(11pt)/Team'sRanking:15th(20pt)

【公式練習、予選】
【公式練習】天候:晴|コース:ドライ|気温/路面温度 開始時10℃/19℃ 終了時20℃/25℃
【公式予選1回目】天候:晴|コース:ドライ|気温/路面温度 開始時19℃/22℃ 終了時22℃/25℃
【ノックダウン予選】 天候:晴|コース:ドライ|気温/路面温度 開始時20℃/22℃ 終了時19℃/21℃

triple a Vantage GT2、予選1回目とQ2でトップタイムをマーク

3月に開幕したスーパーGT 2010年シリーズは7ヶ月に渡る激闘を経ていよいよ最終戦を迎える事となった。マシン特性的には今回のもてぎよりも得意と目された第7戦富士が台風被害の影響で中止となった事はtriple a Vantage GT2にとってポイント獲得のチャンスが減ってしまったという意味で痛手ともなったものの、チーム、ドライバーは気持ちを新たに、ウェイトハンディが0kgとなり真っ向勝負となる今回のレースでの「初優勝」を狙いサーキットへとやってきた。そして迎えた土曜日公式練習セッション。

このセッションでまずステアリングを握ったのは松田選手。その松田選手はコースインからマシンのチェックを行いながら徐々にペースアップ。まずは計測3周目に1'57"117のタイムをマークする。そしてその後吉本大樹にバトンタッチ。その吉本はピットインアウトを繰返しながらマシンセットを煮詰めていき1'56"452までタイムアップ。しかし「セットが決まってこなかった」と、この後でのタイムアップはならず。このセッションを12番手で終える事となった。

しかし午後に入り行われた公式予選1回目。公式練習からのインターバルでマシンセットを変更してきたtriple a Vantage GT2は午前中から大きくステップアップした走りを見せる事となる。まずマシンに乗り込んだのは松田選手。この公式予選1回目はこの後に行われるノックダウン予選に進む為の基準タイムをクリアする事がまず第一の目的となる為、松田選手は無理をする事無く1'57"498をマークしたところでピットイン、吉本大樹とドライバーチェンジを行う。するとその吉本は計測2周目に1分56秒台に乗せる1'56"992をマーク。更に翌々周には1'56"346までタイムアップ。「他もまだまだタイムアップの余地は残して走っているから・・・」とは言うものの、見事このセッションをトップでクリアする事となった。

そしてそこから1時間弱のインターバルで迎えたノックダウン予選。、まず最初のQ3に挑んだのは松田選手。その松田選手は計測3周目に1'56"368をマーク、4周目でのタイムアップはならなかったものの、16番手でQ2進出を決める。するとこの後Q2に出走した吉本大樹が公式予選1回目に続き驚きのタイムを叩き出して見せる。わずかに7分間のセッション、ワンチャンスを物にしなければならない緊張のアタックラップで何と1'54"381のトップタイムをマーク。1周のみのアタックでまさにスーパーラップを決め、トップでQ3へと進出を果たす事となった。その後最後のQ3は再び松田選手がステアリングを握ったが「タイヤを温存するために」アタックは行わなかったtriple a Vantage GT2。翌日の決勝は優勝に向けた作戦を携え9番グリッドからスタートを切る事となった。

【決勝】
天候:曇|コース:ドライ|気温19℃|路面温度21℃

tripleaVantageGT2、速さはアピールも
最後は無念のギアトラブル

前日の予選では公式予選1回目とQ2でトップタイムをマークする等、見事な走りを見せたtriple a Vantage GT2。そのtriple a Vantage GT2はこの日朝?に行われたフリー走行でも2番手タイムをマーク。Q3でタイヤを温存した為スタートは9番手からながら、決勝スタート前からその存在に大きな注目が集まった。

この日のもてぎはコースコンディションはドライながら上空は曇空。それでも各陣営の今シーズンの集大成がぶつかり合う最終戦には、この日だけで3万2千人、前日からの延では4万5千人もの観客が詰めかけ、まさに日本最高峰のレースイベントに相応しい盛り上がりの中でスタートの時を迎える事となった。その決勝レースは14時ちょうどにフォーメーションラップがスタート。2列縦隊に並んだ24台のGT300マシンが最終コーナーに姿を見せると、ホームストレート上ではローリングからのスタートを知らせるグリーンシグナルが点灯。大歓声の中、今シーズン最後の雌雄を決する250kmの戦いが始まった。

このスタートでtriple a Vantage GT2のステアリングを握ったのは松田選手。この日のtriple a Vantage GT2の作戦は、「集団での走行を避け早めのピットストップ〜クリアラップでプッシュしポジションアップを狙う」というもの。しかし燃料を多く積んだ状態の序盤戦、マシンを操る松田選手からは「アンダーステアがキツイ。バイブレーションも出ている」との無線が。それでも松田選手は大きくポジションを落とすことなく周回を重ねると、出走全車の先陣を切って15周目に作戦通り早めのピットイン。吉本大樹に最後のレースを託していく。

その吉本は停止時間を少しでも短縮する為にアンダーステアが強い事は理解しつつもタイヤはリアの2本のみを交換しピットアウト、すぐさまプッシュを開始する。ここからは他のマシンがピットに入り始めるまでにその差を削り、更にプラスのマージンを稼がなければならない時間帯。ところがマシンの挙動はアンダーステアとフロントタイヤから出るバイブレーションが強いうえ、リアタイヤのみを交換した事も影響しアンダーステアが更に顕著に表れてくる事に。それでも吉本はわざとリアタイヤを消耗させる走り方をする等マシンバランスの修正を試みながらも好ペースを維持。スタートからの数周で2番手を走行したマシンのペースが上がらずその間にトップのマシンは逃げてしまっていたものの、この時点で自力での単独2番手浮上が見える位置でレースを展開していく。

ここまで最終戦での有終の美を飾るべく積極的なレース運びでポジションアップを狙ってきたtriple a Vantage GT2。ところがその直後、吉本から「6速が無くなった」との無線連絡が…。それでも「それ以外は使える。このまま走り続けてもいいですか?」との問いにチームは最後まで諦めない姿勢を崩さず、吉本に引き続きGOサインを出した。6速のギアが無くなり1速〜5速のみでの走行を強いられることになってしまった吉本であったが、あきらめる事無く自らの知恵と経験を駆使しながら手負いのマシンで周回を重ね、何とこの状況の中、6速が無いとは思えないタイムで周回を重ね、レース終盤の42周目時点で6番手に付ける意地の走りを披露する。

ところがチェッカーまで残り6周となった43周目。満身創痍の状態ながら5番手のすぐ背後まで迫ってきたところで、遂にギアが悲鳴を上げマシンストップ。最終的に規定周回数は周回していた為、結果上は23位完走というリザルトで2010年最終戦を終える事となった。

これで11月の富士特別戦を除く全てのシリーズ戦日程が終了した2010年のスーパーGTシリーズ。チームとしてのデビューシーズンながら第3戦富士では初の表彰台を獲得、その他にも幾度となく要所で光る走りを見せ、世界でも最高レベルと評されるGTシリーズにおいて確かな存在感を刻みこんだtriple a Vantage GT2。この活躍は11月の富士特別戦でも発揮される事が期待される。

【吉本大樹コメント】
富士がキャンセルになってしまったことで、我々には余裕がありませんでした。チャンピオンシップにはかかわっていませんでしたが、第3戦以降表彰台に乗っていなかったし、第3戦以上の結果が欲しかった。そして今回のレースはその可能性がありました。短い距離のレースで、我々のマシンの様な燃費の悪いマシンは不利ですが、ストラテジーとチームの持つパフォーマンスでそれを埋める事ができると思っていました。

土曜日のフリー走行では思った以上にマシンがキマっていなかったんですが、予選へ向けて幾度もセッティングの変更を行い、結果的に凄く良いマシンが仕上がり、同日に2度のセッショントップタイムを出す事が出来ました。決勝に向けたセッティングも良い具合に進んだんですが、実際の決勝ではコンディションの変化が影響したのか、アンダーステアが酷くなってしまいました。松田さんはアンダーと戦いながら2番手の団子のままバトンを渡してくれました。バイブレーションが出ている事も報告はしてくれていたのですが、「勝負」をする意味ではフロントタイヤを変える事は頭にありませんでした。実際、変えなかった事は正解だったと思います。ただ、朝のフリー走行でもっと決勝のコンディションを見据えたセッティングが出来ていたら良かったのに…ということだけです。自分の判断が甘くて良いバランスで決勝を迎えることができなかった。それでも、自分の中に掲げていたペースよりは大幅に遅いラップながら徐々に前との差を縮めながらポジションアップしていけましたが、途中で6速が無くなったり、色々ありました。最終的にはギアが1速でスタックしてしまいレースを終えました。5速でスタックしていたらなんとか完走は出来たんですけどね…。でもしかたがない。皆やりきったレースだから悔い無しです!

本当にあっという間のシーズンでした。よく考えたら全日本GT選手権、及びSuper GTで1シーズンを戦ったのは今期が初めてです。初参戦のチームでVantageを操る事ができ、チーム皆で喜びや悲しみを分かち合う事ができ、非常に内容の濃いシーズンでした。

残るノンタイトルのJAF戦では普段のSuper GTとは全く違うレース展開になるでしょうが、とにかく勝ちたいので「勝利」の二文字にこだわって立ち向かいたいと思います。賞金ガッポリ獲ってチームメンバーをご馳走に連れて行きたいです!!

まずは2010 Super GTでtriple a Vantage GT2を応援して下さった皆さん、ありがとうございました。そして来月の富士特別戦は今年最後の戦いの地。皆さん応援宜しくお願いします!


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