8日、ワールドシリーズ・バイ・ルノーの終盤2戦に出場することが発表された国本京佑に、ヨーロッパでのレース出場を決めたきっかけ、そして今の心境を聞いた。
Q:今回、ワールドシリーズ・バイ・ルノー(WSR)に参戦することになったきっかけは?
国本:まずWSRというレースがあるということを知って興味を持ったので、7月中旬にル・マン(ブガッティサーキット)でのレースを見に行ったんですね。そうしたら、レースの内容も面白かったですし、ドライバーのレベルも高かった。日本では少なくなっているオーバーテイクが毎周繰り広げられていますし、ドライバーがみんな若くてアグレッシブなんです。僕自身ドライバーなので、レースを見ているだけなのはあまり好きじゃないんですけど、それでも見ていて面白かったし、観客も多くて、すごく盛り上がっていました。クルマもカッコいいですしね。そしてその時に、ほとんどのチームと話をして帰ってきました。それぞれどういうチームかということも聞きましたし、WSRというレースについても色々と話を聞いてきました。その後、帰国してから約1週間経った頃に、エプシロン・エスカディから、「シリーズ最後の2戦、出てみないか?」というメールが来たんです。
Q:そのメールを受け取った時の気持ちは?
国本:「よっしゃ!」っていう感じでした(笑)。もちろん、そんなに早く話をいただけるなんてちょっと予想外の部分もあったんですけど。エプシロン・エウスカディでは、ル・マンまで出ていたドライバーのひとりがその後乗らないことになって、僕にオファーが来たみたいですね。
Q:ル・マンの現場でチームとも話したということですが、エプシロン・エスカディにはどんな印象を持っていますか?
国本:僕が見に行った時の印象では、正直、そんなに強いチームだという印象はありませんでした。F1のテストドライバー経験者が乗っているんですけど、リザルトも15位ぐらいだったので。でも、チームの財政状況は安定しているし、現場で資料を見せてもらって、工場も立派だなって思いましたね。
Q:では今回、乗るのを決意した理由は?
国本:やっぱり、このまま日本だけでやっていても、F1に行くことは厳しいと思うんですね。だから限られたチャンスを生かして、少しでもF1関係者が見ているレースで活躍する必要があると思ったんです。WSRでは、ルノーのF1も走らせていますし、多分F1関係者も見に来てくれていると思うんですよね。それに、今回のことに関してはトヨタも『いいんじゃないの?』と理解を示してくれましたし、新しいチャレンジを応援してくれていると思います。
Q:シリーズ終盤2戦で走るということですが、その2戦での目標は?
国本:初めての環境でレースをするので、早く環境に慣れること。サーキットもクルマも初めてですから。来週の月曜日にはポーで1回テストする機会があるので、そこでクルマやチームに慣れたいと思っています。レースウィークに入ったら、関係者の目に付くような走りをしたいですね。30台弱いるので大変だとは思いますが。
Q:今後のスケジュールは?
国本:明日日本を出て、チーム(スペイン)に行ってシート合わせとミーティングをします。その後、月曜日にテストをした後、イタリアでニュルのシミュレーションをしてからレースウィークに入るということになりますね。この話が決まってから、一応ニュルに関してはコース図も見ましたし、You TubeでF1のオンボード映像も見ました。それ以外は、何とかなるんじゃないかなって思っています。チームの本拠地はスペインですけど、チーム内の言語は“スペイン語訛り”の英語ですし(笑)、コミュニケーションの面についても心配していません。
Q:最後に、旅立つ前の今の気持ちは?
国本:乗るからには、自分自身もチームとのコミュニケーションもベストな状態でレースに行きたいですね。ただ、結果を求めるといいことはない。それよりも、レース内容とか、サーキットに行って自分にできることをやって、結果的に良かったな~と思えるようにしたいです。クルマもレースもそうですが、スペインもドイツも行ったことがないですし、今は相当ワクワク楽しみな気持ちですよ(笑)。
