FIAシングルシーター・コミッションのゲルハルト・ベルガーは、F3マカオ・グランプリにおいて、新レギュレーションのエンジンを搭載した車両ではなく、旧規定のエンジンを使用して開催される可能性に言及した。

 F3レースの中でも歴史と伝統を誇り、毎年激しい戦いが展開されているマカオグランプリは、ヨーロッパから多くのF3チームと、将来F1参戦を狙うドライバーが参戦。一方で日本からも多くのエントラントが参戦しており、トムスはこれまで5勝という成績を誇っている。

 そんな中、今季からF3用エンジンには新規定が導入されており、リストリクターを拡大した2リッター直噴4気筒エンジンが採用された。ヨーロッパでF3用エンジンを供給しているメルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、日本で供給しているトヨタ/トムス、無限/ホンダ等のメーカーに加え、多くのマニュファクチャラーに門戸を広げる規定となっていた。

 しかし、ヨーロッパではメルセデスベンツ、フォルクスワーゲンが急転直下、今季のヨーロピアン・チャンピオンシップに新規定エンジンを投入しないことを決定。今季、新規定で争われるF3シリーズは、全日本F3のみとなっていた。すでに全日本F3開幕戦鈴鹿で、トヨタ/トムスTAZ31、ホンダMF204D、戸田TR-F301という3種類のエンジンが実戦投入され、世界的な注目を集めた。

 シーズン開幕前には、毎年各シリーズの最終戦後に争われるマカオグランプリでは、すべてのエントラントが新規定エンジンを搭載することが決められていたものの、ヨーロピアン・チャンピオンシップのエントラントからは、終盤の2戦にあたるホッケンハイムとポールリカールに参加した場合、エンジンを換装しマカオまで空輸する時間が足りないという声が上がっていた。

 英AUTOSPORTは、これらの声に対しFIAは新エンジン規定車に対し、バランス・オブ・パフォーマンス(BoP)を行うことを検討していると伝えるが、リストリクターを設けることは信頼性に問題を生むこと、ダラーラシャシーにはウエイトを積むスペースがないことから、現実的ではないとしている。

 この問題に対し、シングルシーター・コミッションの代表を務めるベルガーは、英AUTOSPORTに対し「我々は異なるシナリオを考えている。ひとつのロジックとして、今ヨーロッパで走っているエンジンを使うことだ」と、旧規定のエンジンをマカオで使うことを示唆した。

 もし旧規定のエンジンがマカオで採用された場合、“オンルール”でシリーズを展開している全日本F3のエントラントは、旧規定のエンジンに換装してマカオに参戦しなければならない。ベルガーは日本の状況について、「そこには少数のマシンがいるが、我々はこのスポーツのために、正しい方策を見つけなければならないんだ」と語った。

 英AUTOSPORTのマーカス・シモンズはこの状況について、「日本チームの参加は、このカテゴリーの長期的な成長のために不可欠なものだ。日本チームとマカオは、誠意をもって13年レギュレーションへの対応を進めた。FIAは旧規定を採用するならば、日本勢との橋渡しをする必要がある」と厳しく論説している。

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