タイのブリーラムに建設され、10月4日〜5日にスーパーGT第7戦が開催されたチャーン・インターナショナル・サーキット。建設開始から1年ほどでスーパーGT関係者が称賛する素晴らしい規模のサーキットを建設し、3日間合計で13万人もの観衆を集め成功裏に終わったイベントだが、そうなると今度は現地で観戦してみたいもの。では、日本からアクセスしてみた場合はどうなるのだろうか? 今回、編集部はすべて“自力手配”で取材を行ったので、その様子をお届けしておこう。

●宿泊施設はいろいろ注意が必要? ネットは充実
 今回、宿泊はブリーラムで5泊、月曜日にバンコクまで移動して1泊の計6泊。ブリーラムで宿泊したのは、サーキットからクルマで15分ほどの市内のホテル。奇遇にもグッドスマイル 初音ミク Z4のドライバーふたりと同じホテルだった。

 予約には、agoda.comやExpedia等の海外ホテル予約サイトを使用したが、いろいろとトラブルもあった。オートスポーツ本誌取材班(web組とは別行動)は市内のホテルを予約していたものの、現地に着いてみると「予約は取れていない。部屋はない」と言われ、初日はいわゆるラブホテル的な場所に宿泊を強いられたりもした。

 我々が宿泊したホテルは、比較的新しめのホテルで中は清潔感もある。フロントは若干の英語が通じる。こちらの人はバスタブに浸かることはないようで、シャワーのみ。また、タイの宿泊施設は多くが禁煙なようで、タバコは外に出なければならない。

 ホテルで困ったのはタオルの繊維が異様に肌に残ること。あとはホテルに限らず、市内でもサーキットでも虫が多いことだ(脇阪寿一選手のYoutube動画もご参照あれ)。日本から蚊取り線香や虫除けスプレーは持参することをお勧めしたい。小さな羽虫のようなものが食事中も入ってくるほか、サーキットにたくさんいたのはバッタやタガメ、巨大な蛾等々。虫が苦手な人はちょっと精神的に厳しいかもしれない。

 ただタイに来て驚いたのは、こちらのインターネット環境。バンコク市内ではスマートフォンにLTEも入るほか、ほとんどの場所で3Gが途切れない。ブリーラム市内でも3Gは快調(決勝日は多くの人が集まったせいか、かなり繋がりづらくなった)。ホテルのWifiやサーキット内も速さがあり、ネットで困ることはほとんどなかった。

●食事事情は割と充実。パクチー苦手な方は要注意

 食事については、バンコク市内ではまったく困ることはない。日本食はかなり現地でも人気なようで、いたるところにラーメン屋や回転寿司がある。ブリーラム周辺でも、洋食は普通に食べられる。

 現地の屋台のような場所では、タイ料理を食べることもできる。編集部はブリーラムでラーメンのようなものを食べたりしたが、店によってはパクチーも入っている。サラダにもパクチーがよく入っており、苦手な人は要注意だ。

 現地のコンビニエンスストアでは、日本と同様にさまざまなものを買うことができる。カップラーメンもあり、こちらは味をしっかり見極めればなかなか美味なものも。飲み物も、日本とはそれほど変わらないものをペットボトルで購入できるが、要注意なのはお茶。見るからに日本茶……というものがあるのだが、飲んでみると甘い。『お〜いお茶』は日本と同じ味だった。こちらは飲み物はかなり甘いものが多く、缶コーヒーも非常に甘い。コンビニには日本のお菓子もある。せんべいもあり、買ってみたがそれなりに美味。おつまみ系もあった。

 また、ブリーラム・ユナイテッド・インターナショナル・サーキットからクルマで10分ほどの距離のところに、『Big C』というスーパーマーケットがある。こちらは医療品や電化製品も揃うほか、ミスタードーナツ等の飲食店もある。チームマネージャーはかなり重宝したようだ。

 サーキット内ではモーターショーも開催されていたが、その周辺にも飲食ブースが数多く出ており、軽食やアイスクリームも購入できた。ただ、先にチップを買わなければいけないようでかなりシステムに苦労した。

●エンターテインメントはサーキット周辺はそれなり。射撃もアリ
 タイは観光で行っても非常に見どころがたくさんある国。バンコクからブリーラムに向かう時に、1時間ほど寄り道をすれば有名なアユタヤ遺跡にも寄ることができるほか、ブリーラム周辺にも遺跡が点在する。

 ブリーラム市内については、編集部員はそれほどエンターテインメントを体験することはできなかったが、チームスタッフやドライバーはタイ式マッサージ等を楽しんだ様子。また、市内で象が歩いていることもあったそう。

 サーキットはこれまでもお伝えしているとおり、サッカーのタイ・プレミアリーグの強豪、ブリーラム・ユナイテッドの本拠地そばにある。スタジアムのニュー・アイモバイルスタジアムは、夜な夜な現地の若者たちが集まるスポットになっており、そばにはブリーラム・ユナイテッドのグッズショップがある。

 こちらでは、ブリーラム・ユナイテッドのユニフォームやウェア、グッズ等が販売されており、お土産にはちょうどいいかも。しかもレプリカユニフォームは非常に安く、その場でマーキングも無料でしてくれる。せっかくなので、現在セレッソ大阪で活躍し、今季途中までブリーラム・ユナイテッドに所属した平野甲斐選手のユニフォーム(アウェイ用。ホーム用のマーキングがもうなかった。まあヒラノ繋がりで……)を買ってみたが、お値段なんと日本円で2400円ほど。ホーム用は5000円ほどのようだが、Jリーグチームのレプリカが1万円を超えるのがほとんどと考えると、非常にお安い。タイの物価は全体的に安めだが、それでも破格だ。

 聞くところによると、ブリーラム・ユナイテッドではユニフォームの値段を下げ、その分数多く販売しブリーラムの人々に着てもらう……という戦略を採っているのだとか。実際、ブリーラム市内では10人にひとりと言っても過言ではないくらい、多くの人たちがチームのユニフォームを着ている。スポーツで町おこしをする典型のようだ。

 また、スタジアムの裏手にあたり、サーキットのターン9の裏側にあるエリアには、『ブリーラム・ユナイテッド・シューティングクラブ』という射撃場がある。レースが終わった後の月曜日に立ち寄ってみたのだが、3000円で拳銃で10発、もしくはライフルで20発ほどを撃つことができた(英語で射撃の仕方を教えてくれる)。もちろん海外旅行で銃を撃つことができる国は多いが、エンターテインメントとしてはけっこうオススメだ。

●“微笑みの国”を感じた1週間
 これまでモータースポーツの取材では、アジア圏では台湾や韓国、マレーシアを訪れたことがあるが、タイは初めての訪問だった。事前にさまざまな“ウワサ”が飛び交っていたため戦々恐々としながら訪れたが、訪れてみると、意外に(?)快適。しっかりと対策を立てておけば、日本戦とは異なるかなり楽しい観戦をすることができそう。

 そして何より、タイに行って感じたのはタイの人々の優しさ、温かさ。“微笑みの国”と言われている国だが、言葉が通じなければ通じないなりに一生懸命に、笑顔で対応してくれる。1週間ほどの滞在ではあったが、それは存分に感じることができた。

 ふだんとはまったく異なる雰囲気のスーパーGT観戦になるのは間違いないブリーラムでのレース観戦。来季、綿密に計画してトライしてみては?

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