スーパーGT開幕戦「OKAYAMA 300kmレース」で、関口雄飛は新たに移籍したLEXUS TEAM WedsSport BANDOHとともに、波乱のレースで無事ポイントフィニッシュを果たす。
新時代の幕開けとなった2014年のスーパーGT開幕戦が、4月5~6日、岡山国際サーキットを舞台に華やかに開催されました。
今年、関口雄飛はチームを移籍し、新たにトヨタ・レクサス・ドライバーの一員として、ミスターGTの異名を誇る脇阪寿一選手と共にLEXUS TEAMWedsSport BANDOHより引き続き国内最高峰のGT500クラスに参戦します。
金曜日の夕方にサーキットに到着した関口雄飛と脇阪寿一選手は、板東正敏監督やTRDのスタッフ、ADVANタイヤのスタッフとともにレースウィークへの戦略を練り、翌日のフリー走行、予選に備えました。
土曜日の天候は曇り。マシンのデリバリーの遅れから3月15日~16日に開催された岡山公式テストに唯一参加できなかったLEXUS TEAM WedsSportBANDOHとしては、1秒たりとも無駄にできる時間はありません。タイヤの評価やマシンのセットアップで、トライしなければならない課題が山積みだからです。しかしふたりのドライバーは焦ることなく、エンジニアやスタッフはもちろん、ドライバー同士のコミュニケーションを深めながら、着実にセットアップを煮詰めていきました。
午前9時のコースオープンと同時に、今シーズンへのやる気をアピールするかのように先頭を切ってコースインした関口は、マシンに不調を感じてそのままピットに戻ってきました。しかしフリー走行の限られた時間に修復できる作業ではなく、応急処置を施して再びコースイン。大切なのは目の前のタイムではなく、タイヤの評価とマシンのバランスを求めることとの判断です。
途中、GT300クラスのマシンが激しくクラッシュし、赤旗。そのタイミングでドライバー交代をし、後半は脇阪寿一選手がさらにマシンのセットアップを煮詰めました。バランスはかなり良くなり、予選への自信が深まりました。そして迎えた午後の予選、Q1のアタッカーに指名された関口は、予選開始4分後にコースインし、最初のアタックで暫定4番手のタイムをマーク。しかしフリー走行でのトラブルが完全には改善されておらず、100%エンジンのパワーが発揮できない状況であったことが判明し、それ以上のアタックを断念。予選終盤、コンディションが良くなりライバルたちがタイムアップを果たしていくなか、そのまま不本意な形で予選を終えることとなりました。結果は13番手で、残念ながら上位8台のQ2進出はなりませんでした。
「セットアップを変えて、マシンのバランスも大分良くなったのですが、本来のパワーが発揮できていない感じでした。でも自分に取って与えられた条件の中では、ある意味納得のいく仕事ができたと思います」と予選終了後に語った関口は、決勝に向けて「シーズンオフのテストがままならなかった我々のチームにとって、貴重なデータを収集する意味でも、決勝レースは絶対に完走しますし、それがまずは重要なテーマです」と意欲を見せました。
決勝当日。早朝から詰めかけた満員の観衆のなか、朝のフリー走行直前にひょう混じりの雨が振り出しました。インターミディエイトを選んでコースインした関口雄飛は滑りやすい路面のなかでトップタイムを連発。路面コンディションが乾き始めたところで脇阪寿一選手に交代し、決勝へのセットアップを煮詰めていきます。時間を惜しむかのようにセットアップに対する意見を戦わせるふたりからは、すでに何年もチームを組んでいたかのような信頼感が感じられました。
決勝レースは300㎞、81周の長丁場です。スタートドライバーを務める関口雄飛は、スタート直後の混乱を避けてポジションキープ。リボルバーコーナーで2台のマシンが接触、スピンしたこともあって、11番手で1周目のコントロールラインを通過し、淡々とレースを進めます。17周を過ぎた頃に突然、大粒の雨が降り出し上位陣のペースが落ちると、このチャンスを逃さず関口がプッシュ。23周目には10番手、24周目には9番手、そして36周目には8番手までポジョンをアップ。上位陣の相次ぐピットインにより、一時はトップにまで浮上しましたが、計算上は8番手。そのまま43周目まで引っ張り、脇阪寿一選手に交代。しかしコースイン直後から常にアクセルが開いた状態のまま走行するというトラブルを抱えた脇阪選手は数ラップに渡って暴れるマシンに手を焼きましたが、冷静にそのドライビングをアジャストし、再び追い上げを開始しました。
開幕戦で、全車がまったくの新型マシンということもあり、荒れたレース展開ではありましたが、安定したペースで最後まで走り続けた脇阪選手は、無事11位でチェッカーを受け、ポイントを獲得しました。レース後、板東監督は、「岡山での事前テストもできず、開幕戦直前になんとかシェイクダウンできた状態でしたから、ある意味、ここまでこれたことが奇跡のような気分でした。レース結果には不満が残りますが、次の富士に向けてのデータも取れたし、少しでも前進できたこと、そしていまの現実がわかっただけでも良かったと思います。ふたりのドライバーもいいコンビネーションで、限られた条件のなかでとても頑張ってくれたと思います」と胸をなでおろしました。
脇阪寿一選手はレース後、「アクセルがオンになったまま、ブレーキを踏んでもターボが効いた状態になっていたのに気がつかなかったのは僕のミス。自然吸気エンジンならわかったはずですが、久しぶりにターボに乗ったので気がつくのが遅れましたね。それが理解できて、意識的にドライビングを変えたことで、終盤にはマシンの特性がようやく理解できました。富士のテストで抱えていたトラブルの原因も、ここにあったのだとわかっただけでも良かったです。関口選手とはとても楽しい仕事ができそうですし、ドライバーとして素晴らしいものを持っています。まだ開幕したばかりですから、レクサスのデビューウィン(伊藤・カルダレッリ組)を素直に喜び、おめでとうと言いたいですし、チャンピオンは我々が獲得するという意気込みで、次の富士を目指します」と語ってくれました。
●関口雄飛のコメント
「シーズンオフから今回の開幕戦に至るまで、本当に多くの皆さんの協力やご支援を受けて、ここまでくることができました。僕のことを信頼して再びチームに受け入れてくださった板東監督や、ドライバーとして僕を自分と対等に扱ってくれる脇阪さんに、本当にいろいろなことを教わりとても感謝しています。今回のレースウィークは、自分たちにとってまだテストの延長のような形ではありましたが、数多くのセットアップを試し、タイヤを評価できたことで、次の富士への自信につながりました。特に濡れて滑りやすい状態でのスリックやインターミディエイトでの速さに関しては、ライバルたちにアドバンテージがあることもわかりました。それも大きな自信につながると思います」
「レースはスタートで自分を抑えてポジションをキープし、上位陣についていきました。セットアップがやや外れていて、厳しい状態になりつつあった頃、雨が降ってきてくれたのでタイヤも再びクールダウンでき、いいペースで走ることができました。ただ2カ所で黄旗が降られていたうえに、前方でGT300のマシンが5台でバトルをしていて抜くタイミングが遅れてしまったのが悔しいです。今回は結果以上に貴重なデータが取れたので、次は期待してください」
