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国内レース他ニュース

投稿日: 2010.07.01 00:00
更新日: 2018.02.15 20:54

雨・霧・トラブルにも負けず takuma-gp team KOMACHI、S耐富士で8位入賞


スーパー耐久シリーズ 2010
Rd.4 SUPER TEC

日時 : 2010年6月26日(土)〜27日(日)
場所 : 富士スピードウェイ(静岡県) 4,563m
天候 : 予選日 小雨/決勝日 : 雨
路面 : 予選日 セミウェット/決勝日 ウェット
予選 : 総合23 位/ ST-4クラス4位
決勝 : 総合27 位/ ST-4クラス8位
     (ベストラップ 2分11秒095)
観客数 : 14,900人(予選日含む)
エントラント名 : takuma-gp team KOMACHI
車名 : SAMURAI 無限ADVAN DC5
車両 : ホンダ・インテグラ
車番 : 24
ドライバー : 青木拓磨/土屋武士/Takamori.com
タイヤ : ヨコハマタイヤ

 今年、14年ぶりに国内レースへの復帰を果たし、ハンドドライブで全日本級のレース「スーパー耐久」に挑戦している車いすドライバー青木拓磨。旧知の友人である土屋武士をはじめ、彼をバックアップする仲間達「takuma-gp team KOMACHI」が再びサーキットに姿を現すこととなった。開幕戦以来となるチャレンジ2戦目は、梅雨まっただなかの2010年6月26日〜27日に静岡県・富士スピードウェイで開催された「スーパー耐久第4戦SUPER TEC」。車輌は開幕戦同様24号車「SAMURAI 無限ADVAN DC5」(ホンダ・インテグラ)。ドライバーに青木拓磨、土屋武士、Takamori.comと息の合った3人が名を連ね、今レースも土屋武士が代表を務める「Team SAMURAI」がメンテナンスを請負う。開幕戦以降、ハンドドライブシステムの改良のために時間を掛けて第2戦/3戦をスキップ。その成果が試される4時間の耐久レースが幕を開けた。

雨・霧・トラブルにも負けず、力強く走り抜いた
「takuma-gp team KOMACHI」
スーパー耐久富士4時間レースで8位入賞

■6月26日(土) -公式予選-小雨・セミウェット
 お昼前から小雨が断続的に降り出し、湿度も高く梅雨特有のじっとりとした空気に包まれた富士スピードウェイ。本レースは2Day開催のため土曜日に公式予選が行われた。

 セミウェットコンディションで迎えた公式予選は、まずAドライバー予選が午後1時45分にスタート。ST-4クラスにエントリーしている24号車は前日の金曜日に練習走行を行ったが、ドライコンディションでの走行だったため、青木にとってはぶっつけ本番のウェット路面での予選となった。慎重に路面コンディションを確認しながらラップを重ねる度にペースアップする青木。ラストアタックとなった計測6周目にはそれまでの自己ベストタイムを1秒近く縮め、クラス10位でチェッカーとなった。続いて行われたBドライバー予選では、唯一土屋がドライタイヤを装着してコースイン。だが開始直後に赤旗が掲示され予選は一時中断。約20分後に再開されると、雨がほぼあがっていたこともありライバル勢も数台ドライタイヤでアタックへと向かった。走行ラインが少しずつ乾いていく難しいコンディションでの予選は、土屋の読みが当たりドライタイヤ装着車の上位争いとなった。土屋がトップタイムを出せばすぐにライバルもベストタイムを塗り替える。その繰り返しで白熱した予選は、土屋がクラス2位、総合でも38台中10位と大健闘。予選総合結果はA・Bドライバーの合算タイムで決定され、24号車はクラス4位、総合23位と大きな飛躍を見せた。

 午後4時からはCドライバー予選が行われ、Takamori.comがコースイン。この予選は順位には影響しないが、明日の決勝へ向けたマシンの最終調整の重要なセッションとなる。小雨が降る中、ドライタイヤで予選基準タイムを僅か1周でクリアするとTakamori.comはさらにペースアップ。クラス4番手のタイムをマークしながらも、タイヤの皮むきなどしっかりと決勝へ向けた準備をこなし、24号車は好調をキープしたままこの日の走行を全て終えた。

■6月27日(日) -決勝-雨・ウェット
 土曜日の夜から雨・風が強くなり、荒れた天候となった富士スピードウェイ。天気予報では快復傾向と伝えていたが、雨は強弱を繰り返すだけで午後12時55分のレーススタート時刻を迎えても一向にあがることはなく、路面は完全にウェットコンディション。そのため2周に渡りセーフティーカーが入り38台の隊列を先導した後、4時間の決勝レースは正式にスタートが切られた。

 24号車のスタートドライバーは土屋武士。土屋はクラス4番手から順調な走りでポジションをキープしていく。各車のタイヤが温まってくると、やはり2戦のブランクが大きいのかマシンの差が出始め、特にストレートスピードに伸び悩んだ24号車は8周目までに9位に順位を下げてしまう。だが周回を重ねる度に土屋は徐々にペースアップ。雨が激しくなると、ここはベテラン土屋の腕の見せどころ。難コンディションでもしっかりとオーバーテイクも見せ、ライバル勢が早めのピット作業やトラブルで順位を落とす中、土屋は開始から1時間半が経過した頃には3位まで順位を上げ、トップと遜色のないラップタイムを刻んでいく。そしてレース半分の2時間、周回にして54周を走り切り、クラス2位まで順位を上げてピットイン。給油を済ませTakamori.comに交代した。レースは第2スティント、6位でコースに復帰した24号車は順調そのもので、Takamori.comが快走を続ける。だが走行開始から16周目のストレートで突然のスローダウン……、ピット出口付近でマシンを停めてしまう。しかし、Takamori.comはピットと連絡を取り合い諦めることなく、あらゆる策を講じ再びエンジンスタートに成功。ピットまで何とか戻れたため、24号車はこのタイミングで青木にドライバー交代を行った。

 開幕戦ではスタートドライバーを担当した青木。その時はマシンから降りるだけだったが、今回は乗り込まなければならない。当然時間のロスは増えると予測されたが何度も練習を重ねた結果、通常とほぼ同タイムでドライバー交代を終了し、マシンの調整/給油/フロントタイヤ交換を終えて戦列に復帰した。レースは濃霧の影響でちょうどSCカーが導入されており、24号車は2周遅れながらも8位で戦列に復帰。約45分間という長時間に渡るSCカーランの時間を無駄にすることなく、青木はハンドドライブシステムのミッション不具合や走り方を調整に費やした。霧が晴れてレースが再開したのは午後4時20分。青木は残り35分間の中で、アクセルが戻らないというアクシデントに見舞われ一度はピットに戻ったものの、後方と差が開いていたためポジションはキープしたまま快走。そして午後4時55分に高々とチェッカーフラッグが振られ、長丁場の決勝レースの終わりを告げた。青木は27周を力強く走り切り、クラス8位、総合27位でしっかりとチェッカードライバーを務めあげた。

■高橋佳町監督のコメント
スーパー耐久の4クラスは、プロとプライベーターとの境目が一番少ないクラスなので、プロがプライベーターに負けることもあるし、プロがプロだからこそ勝てるということもあります。そんな難しいクラスでいかにして順位を上げていくか、今チーム作りの大変さを痛感しています。ドライバーは自分の腕を上げる必要があるように、マシンも性能を上げて乗り手に相応しい車に仕上げるということがおのずと求められてきます。両方が揃った時に初めて結果がついてくる。今一番必要なことは、青木選手が乗って速く走れるセッティングをなるべく早い段階で見つけることだと思っています。そういう意味では今回はリザルトだけ見たら前回とあまり変わりませんが、内容は確実にステップアップしています。また、予選では天候を味方につけた部分があると思われるかもしれませんが、環境の変化に対応できる力があったからこそ運も味方につけられたのではないでしょうか。2戦目の参戦にあたり、必ずしも前回より良い結果を出せるという確率はそう高くはない中、次の段階を視野に入れた状況でレースを終えられたことは大きいです。牛歩の歩み程度かもしれませんが、チームの総合力が備わってきたのだと感じます。とは言え、目指しているものはもっと高いところにあるのでこれからも頑張っていきます。

■Aドライバー 青木拓磨選手のコメント
メカニックのみんなが操作系の変更など時間をかけて整備を行ってくれたおかげで、大きなトラブルもなくさらにステップアップした充実したレースが出来ました。雨はもてぎの練習走行でクラッシュしているので悪いイメージしかなく、予選は全く攻められなかったです。決勝では2人のドライバーの好走のおかげで盛り上がり、僕も絶対完走したかったし後方とのディスタンスもあったので無理をせず、自分のスティントを全うすることが大事だと思って走っていました。4輪レースっていうのはマシン並みにしか動かないってことが前回のレースで分かったので、今回はそのことを頭に入れながらレースに臨んでいました。他のタイムは意識せず、自分の出せる範囲でのタイムアップの仕方を思い描いてベストを目指す。2輪と一番違うところはそこなんですよね。2輪は自分が頑張ればなんとかなっちゃう部分があって、ラリーもそうだけど4輪はまず自分との戦いをすればいいんだと。前回はそれが分からず他と比べてイライラしていたところもあったのかもしれない。だから今回は周りからも「拓磨今回は落ち着いているな」ってよく言われました。完走のイメージも掴めたし雨のレースも経験できた。こうして自分のマイレージを少しずつ重ねていって、どんどんベストを上げていきたいと思います。今日は悪天候の中を応援していただきありがとうございました。

■Bドライバー 土屋武士選手のコメント
今回はしっかりと準備期間もあり、金曜日の練習走行から流れの良いまま予選に臨みました。天候の変化に対する読みが当たり順位も4位でした。決勝日は雨でしたが周りの実力が高く、ポジション的にはあれが今の実力かなぁという感じです。でもコーナリングでは負けていないことも分かったので、今後はストレートスピードを伸ばせれば追い付けることも見え収穫もありました。戦略的にも1回目のスティントを伸ばしたことで幅も広がり良かったのですが、Takamori.com選手のスティントでマシンにちょっとした不具合が生じてしまい2周遅れになりました。その後、青木選手も頑張ってポジションをキープして完走できました。次のステップに上がるための課題も見えて、自分の中ではすごく納得のいくレースでした。ハンドドライブシステムはレースをやればやるほど色々な不具合が出てくるし、青木選手がパイオニアだけあって苦労もあるけれど、それを一緒にクリアしていくっていう活動は進んでいます。時間をかけてでも続けていきたいと思っていますし、止めるわけにはいきませんからね。今日は雨の中を応援ありがとうございました。

■Cドライバー Takamori.com選手のコメント
金曜日のドライでの練習走行で、3人のタイム差が1秒以内に入ったので「これはいけるぞ」という強い感触がありました。戦略も開幕戦とは大きく変えて土屋選手がスタートで、青木選手がチェッカーというプランで益々期待が高まりますよね。でもレースではちょっとしたトラブルが出てしまい表彰台には届かず残念でした。トラブルの原因はこれからチームが調べるので今は分かりませんが、ストレートで突然異音がしてスローダウン。無線でピットと交信しながら色々なスイッチを試して何とか繋がったという感じでした。丸々1周損しちゃったわけですが、SCカーがちょうど入っていたので青木選手に替わりました。レース的には開幕以上に楽しませていただきました。また次回も乗りたいと思うのでスポンサーを頑張って探そうかなぁと思います。今日もたくさんの応援をありがとうございました。


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