新時代の幕開けを告げる2014年のスーパーGT開幕戦、第1戦岡山は6日81周の決勝レースが行われ、予選6番手からスタートした伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組KeePer TOM'S RC Fが、不安定な天候のレースを制し、新規定GT500車両での最初の優勝を飾った。
グリッド時の気温は8度。路面温度20度という状況だったが、体感的にはより寒くなるコンディション。そんな中、ほぼ満席のグランドスタンドが見守る中、これが初レースとなる15台のGT500車両を先頭に、ウォームアップラップとフォーメーションラップの2周が行われ、その後フォーメーションは1周追加。3周を終えた後ポールポジションのENEOS SUSTINA RC Fを先頭にスタートが切られた。
今季からGT500で採用されたカーボンブレーキは、加温しなければ制動力を発揮しないため心配された1コーナーだが、GT500全車が無事にクリア。しかし、1周目のリボルバーコーナーでPETRONAS TOM'S RC FとMOTUL AUTECH GT-Rがヒットしたか揃ってスピン。MOTULは一時コース上に接触してしまい、後続のGT300勢はパニック状態に陥るも接触はなし。両車とも大きく遅れたが、コースには復帰した。
大嶋和也駆る先頭のENEOS SUSTINA RC Fは、グイグイと後続を突き放していく一方、2番手のカルソニックIMPUL GT-Rは2周目の1コーナーでインを突いてきたS Road MOLA GT-Rと接触があったかコースオフ。KeePer TOM'S RC Fがその後れを突き、3番手に浮上していく。
昨年までのGT500車両とは明らかに異なるコーナリングを見せながらレースを展開していく新GT500車両は、7周目にはGT300クラスの集団に突入していく。一時、S Roadを駆る本山哲が大嶋に迫っていくが、カルソニックの後退で余裕があるENSOSは着実に300の集団をパスしていった。
しかし、15周を過ぎる頃になると上空が一気に暗くなりはじめた。19周目には、ストレートでもかなり強めの雨が落ち始める。この雨で路面は一気に濡れていくが、大嶋をはじめほとんどの車両はピットに向かわない。一方、雨でガクリとペースが落ちたのは2番手S Roadの本山。20周目にはKeePer RC FがS Roadをかわすと、翌周にはカルソニックもS Roadをパス。たまらず23周目に本山はピットへ向かうが、無情にも雨はすぐに上がってしまった。
一方、このコンディション下で一気に首位ENEOSとの差を詰めていったのは、KeePerのアンドレア・カルダレッリ。スリッピーなコンディションで26周目にはピタリと背後につけると、路面が乾いてからもENEOSの背後につけていく。勝負はピットストップが行われるまで膠着状態のまま進んでいった。
先頭を争う2台のうち、先に動いたのはKeePer。36周目にピットに向かうと、カルダレッリから伊藤大輔にスイッチ。翌周にはENEOSもピットに向かい、大嶋から国本に交代した。ここでチームルマンは素早い作業を行い、国本を先頭で送り出すが、伊藤は終盤に向けてジワジワと国本との差を詰めていく。ベテランらしく虎視眈々と首位を狙える位置につけると、チャンスがあれば近づきながら、それでも無理はせず国本に迫っていく。
そんな2台の戦いに決着がついたのは55周目。アトウッドコーナーを立ち上がった国本の加速がにぶり、KeePerが一気に横からパス! ENEOSはなんらかのトラブルが発生したか、ペースが上がらない。直後、トラブルが解消したか通常のレースペースに戻ることとなったが、時すでに遅し。KeePerが首位、ENEOSが2番手、3番手にカルソニックというオーダーに変化した。
伊藤は最後まで他を圧倒するペースで周回を重ねていき、新規定GT500クラス最初のレースでトップでチェッカー! KeePer TOM'S RC Fが優勝を飾った。伊藤にとっては12年SUGO以来の勝利、カルダレッリは嬉しいスーパーGT初勝利となった。
「雨が降ったりハラハラした展開でしたが、自分を信じて走りました」と笑顔の伊藤。また、カルダレッリも「自分のパートはトリッキーだったけど、優勝だけを目指していた。伊藤選手が勝利を獲得してくれて嬉しいよ」と喜んだ。
2位はENEOS SUSTINA RC F、3位はカルソニックIMPUL GT-Rという結果となり、レクサスRC Fがワン・ツー。4位はDENSO KOBELCO SARD RC F、5位はホンダ勢最上位のウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTとなった。心配されたGT500新車両のトラブルもそこまで大きく出ることはなく、全車がチェッカーを受けた。
