富士スピードウェイでの開幕から、わずか1か月あまり。スポーツランドSUGOでの第2戦を経て、早くもGAZOO Racing 86/BRZ RACEのシリーズ第3戦が鈴鹿サーキットで開催された。

 今回も70台と多数のエントリーを集めたものの、タイムスケジュールの関係で予選、決勝レースを土曜日のうちに行うワンデイイベントとあって、コンソレーションが行われず。ただでさえ狭き門であるにも関わらず、サーキットからの要請によりレースウイークになって予選通過は45台から40台に減らされ、不満を口にするエントラントは少なくなかった。

 予選は2組に分けられ、まずAグループでは真っ先に計測ラインをカットした山野直也(P.MU RACING 86)が、わずか1周のアタックで2分35秒059をマークしてトップに。2番手には大西隆生(オートバックスG7 86 ポテンザ)、3番手には神谷裕幸(N中部ペトロナスGY WM 86)と、ヴィッツレースのチャンピオン経験者が続くも、それぞれタイムは36秒189、37秒298と、いかに山野のタイムが圧していたかが分かる。

 続くBグループのトップは、初参戦でスーパー耐久ST-2クラス3年連続チャンピオンの阪口良平(FK-TECacreBRZ)で、36秒792をマーク。これにポルシェカレラカップジャパンにも参戦し、目下ポイントリーダーの近藤翼(マナチュラKOTA-R BRZ)が37秒355、そして谷口信輝(コウベトヨペット86)が37秒576で続いた。

 その結果、山野が2戦連続でポールポジションを獲得。「練習中のタイムは36秒フラットがベストだったんですが、少し修正しなくちゃ……と思っていた部分もうまく合わせられたんですが、1秒縮められたのは正直、想定外(笑)。もしかしたらGTのラバーが乗って、コンディションが良くなっていたのかもしれませんね」と山野は語る。

 決勝レースは「エアコンを切りたくなくなる(苦笑)」と誰もが語るほど、厳しい暑さの中での戦いとなった。ここでジムカーナドライバーでもある山野は、絶妙のスタートを切って1コーナーにトップで進入。その直後では阪口に近藤が迫るも逆転はならず、谷口が大西と神谷をかわして4番手に浮上する。

 激しいバトルが繰り広げられている間に、全力を振り絞った山野はオープニングの1周だけで約3秒の差をつける。これこそ山野いわく必勝の法則で、「このクルマはバトルをして少しでも失速すると、取り戻すのに他のレーシングカーより時間がかかるんです。だから、スタートを決めて何が何でもバトルしたくなかった」という。その言葉どおり、ひとり優雅に山野は逃げていく。

 2周目のヘアピン立ち上がりで神谷がスピンを喫して脱落してしまうも、2番手争いは激しくなおも続いていた。まずは3周目のスプーン進入で谷口が近藤をパス。そして7周目の130Rでは近藤が大西にも抜かれていた。だが、さらに激しかったのは阪口と谷口のバトルだ。何度も牽制をかける谷口を、そのつど阪口がしっかり封じ込み、プロ同士の戦いはトップの山野が逃げまくっていただけに、むしろ観客の視線を釘づけにしていた。「谷口選手とのバトルは苦しかったけれど、何とか2位になれてホッとしています」と阪口は語った。

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