スーパーGT300クラスに参戦するaprと、半導体大手のフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは12日、都内で記者発表会を行い、7月27日〜28日に開催されるスーパーGT第4戦スポーツランドSUGOから、車載向け次世代ドライバー・アシスト・システム(ADAS)の実走実験を行い、それに伴いマシンをニッサンGT-RニスモGT3を投入すると発表した。

 今季は開幕戦からPanasonic apr PRIUS GT、IWASAKI apr R8という2台体制で参戦していたaprは、これまでMR-2やカローラアクシオ、そしてプリウスと、トヨタ車を数多く走らせてきたが、第4戦SUGOから、第2戦までOGT Bonds Racing GT-Rとして参戦していたニッサンGT-RニスモGT3を走らせることになった。

 トヨタとニッサンのマシンの2台体制という、これまでの国内モータースポーツではあまり考えられなかったチーム体制となるが、今回IWASAKI OGT Racing GT-Rとともにapr、そしてフリースケールが実施するADAS実走実験のために、「業界や系列の垣根を越え、日本国内の素晴らしい技術やアイデアを融合し、日本の自動車業界、そしてモータースポーツを盛り上げていきましょう」とフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのデイビッド・M・ユーゼ社長は語った。

 今回GT-Rに搭載されるADASとは、2012年からフリースケールと“OGT!(One Great Team)”と呼ばれるパートナー企業が開発しているシステム。コース上を走るレーシングカーから速度、回転数、ステアリング舵角等の車両情報を収集。マシンの前後左右360°に搭載されたカメラにより車両周辺情報を探知、また、ドライバーからも発汗や心電、筋電という身体データを取得。時間軸上で同期を取り、これを解析。将来の市販車における予測安全や運転支援、緊急時対応等に活用するというもの。また、医療分野や高齢化社会等にも応用が期待されているという。

 このADASを振動や騒音、高熱、Gなど過酷な環境となるレーシングカーを使って開発するというのが、フリースケールとOGT!の狙い。特に多くの台数が走るスーパーGTで開発することが重要だという。このADASシステム開発は、シリーズをプロモートするGTアソシエイションの了解を得て進められるもので、将来はaprのもう1台、Panasonic apr PRIUS GTに搭載することはもちろん、レーシングカーおよびドライバーの安全対策としてスーパーGT参加全車に搭載することも想定しているという。また、現段階では車両内のSSDにデータが蓄積されるが、将来はLTEでデータ通信を行い、リアルタイムでの解析や、ホスピタリティ等で状況を見ることができるようになるとのこと。

 これらの開発装置は、すでにこの日展示された30号車GT-Rに設置。前後バンパー、サイドウインドウ部にカメラが取り付けられている。システム全体は8kgほどの重量とのことで、これを搭載したままIWASAKI OGT Racing GT-Rはレースに臨むことになる。

 気になるチーム体制は、岩崎祐貴とイゴール・スシュコがコンビを組み、第3ドライバーとしてWEC参戦経験ももつ小林賢二が決定。Panasonic apr PRIUS GT同様、金曽裕人代表がチーム監督を務める。

Iwasaki OGT Racing VP

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