FIA国際自動車連盟は、4日に行われたワールド・モータースポーツ・カウンシルで、将来世界各地で開催されている国際的なGTシリーズから、GT3車両による参加者を集める『FIAワールドカップ』を行うことを検討していると明らかにした。

 安価な車両コストでヨーロッパをはじめ日本のスーパーGTやスーパー耐久、GTアジア、また南米などでも広く活用されているFIA-GT3車両。ヨーロッパではFIA-GTシリーズが唯一FIAの冠がかかったGT3カーのレースとして開催されていたが、2014年に向けて、シリーズをプロモートしていたステファン・ラテル・オーガニゼーション(SRO)とFIAの間で契約が切れ、来季からFIA-GTシリーズは『ブランパン・スプリント・シリーズ』として開催される。

 FIAでは、この決定を受けて4日のワールド・モータースポーツ・カウンシルで、代わりとなるプロモーターとの契約について議決を取ったが、これは否決。その代替案として世界各地で開催されているGT3カーによる国際シリーズから上位のドライバー、チームを集め、年に1回の『ワールドカップ』を開催する意向があると明らかにした。

 FIAによる年に一度の“ワールドカップ”という試みは、1990年代中盤に各国で開催され隆盛を誇ったクラスIIツーリングカー(スーパーツーリング)で行われた実績がある。1993年から95年まで『ワールドツーリングカーカップ』がモンツァ、ドニントン、ポールリカールで開催され、イギリスやスペイン、フランス、イタリアなどから各国の上位が参加。1994年には日本のJTCCを代表してアンソニー・レイド(ボクスホール)、スティーブ・ソーパー(BMW)が参加した実績がある。

 この『ワールドカップ』開催は今後、ワールド・モータースポーツ・カウンシルで検討されていくとされているが、ヨーロッパで開催されているインターナショナルGTオープンの代表を務めるイエス・パレハは、FIAの提案を歓迎する意向を示した。パレハは、自身がFIAによる“代わりとなるプロモーター”だったという。

「ワールドカップは成功するはずだよ。他のチャンピオンシップと切り離されていたとしてもね。私はこのレースのプロモーターでありたいし、このイベントに多くのアイデアがある」とパレハ。

 また、今年までFIA-GTをプロモートしていたラテルも、この計画に興味を示している。

「我々がもうFIAシリーズじゃないからといって、完全にFIAと離れているわけじゃない。最初のBoPを行うFIAの仕事に興味を持っているし、異なるタイヤやコースに合わせられた内容にも興味がある」とラテル。

 ラテルは今季、FIA-GTシリーズ最終戦として、アゼルバイジャンのバクーで『バクー・ワールドチャレンジ』と称したレースを開催した。このレースがFIAの考える『ワールドカップ』に値するだろうと言う。

「もし開催するなら、ヨーロッパのシリーズから台数を集めただけではうまくいかないだろう。我々は日本のスーパーGT300クラス、GTアジア、ブラジルGTからもマシンを集めなければならない」

「私はそのレースを開催する興味があるとFIAには話している。重要なのは、世界中からマシンを集めるだけのコストをカバーできる開催地を見つけることだ」

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