全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの“エンジンテスト”は2日目(最終日)を迎え、前日に引き続き好天に恵まれた鈴鹿サーキット(三重県)を舞台として、トヨタ車を本山哲が、ホンダ車を昨日に続き井出有治がドライブして行われた。

 この日のメニューも基本的には1日目と同じく、今季最終戦を含む来季も見据えたエンジンの開発・熟成作業と、より高性能なブレーキの開発だった。

 加えて、昨日のレポートでも示唆した新たなデバイス、具体的には電気式パワーアシストステアリングの本格的な開発・熟成作業も、日本レースプロモーション(JRP)はカヤバ工業株式会社(通称社名・KYB株式会社)の協力を得て本格的に始めた。おもにデータ収集を主としていたこれまでの試験的・暫定的なテストから、来季の新規導入へ向けてさらに一歩踏み込んだわけだ。

 カヤバの電気式パワーアシストステアリングは、すでにスーパーGTのGT500/GT300マシンにも多数搭載されている。もっとも、「FN09はフォーミュラカーであるがゆえに、搭載する空間が限られているので、装置一式をスーパーGT用よりも小型軽量化・低重心化させる必要がありました。また、マシンの挙動もよりシビアになるので、JRPなどとともにさらなる性能向上に努めたいと思います」と、開発に携わったKYB株式会社の杉岡伸一氏は語っていた。

 ちなみに電気式パワーアシストステアリングは無償供給ではなく有償供給で、導入も各チームの任意選択制となる。つまり、来季より車両規則に「搭載可能」と新たに追記されるだけで、これを必要としていないチーム、これを搭載してこないチームもあり得るということだ。

 さて、2日目は午前9時から午後12時までの3時間の走行枠が確保され、トヨタ保有のFN09には本山哲が乗り込み、ホンダ保有のFN09には井出有治が昨日に引き続いて乗り込んだ。もっともこの日、ホンダは現場作業の一部を引き続きM-TECに任せたのに対して、トヨタは現場作業の一部をこれまでのルマンではなくインパルに初めて任せた。

 この日も、速さを追求するメニューではないのであくまで参考ながら、井出は1分42秒419、本山は1分42秒952のベストラップタイムをそれぞれ記録した。

 電動式パワーアシストステアリングを試したドライバーは、「自然な感触で違和感を覚えない」「競り合いの質をより高い水準に持ち込める」「クルマのセッティングの幅が広がり、より攻め込むことが可能となる」などと印象を語っており、これにはKYB株式会社の技術者やFN関係者も手応えを感じていたようだ。詳しくは別項のコメントをご覧頂きたい。

 なお、JRPとマニュファクチャラーによるオンシーズンのエンジンテストは今回をもっていったん終了するが、必要とあればオフシーズンにも実施するという。また、全日本F3などに参戦する若手ドライバーを対象としたルーキーテストや、来季のFNに参戦予定のチームによる合同テストの開催も計画されている。これらの期日や開催場所、参加チーム/ドライバーについては、JRPの発表を待ちたい。

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